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第45話 (3月) (9) ※R18

「ごめんな、せっかく来てくれたのに…! なんか変なこと言われた?」 「凪くんの彼女だって言ってた…。」 「違う。因みに元カノとかでもない。 ただのストーカー。」 「だよね、良かった…!」 「…ごめん。嫌な思いしたよな…。」 「ううん、僕も…ちょっと意地悪言っちゃった。差別的なこと言われてカッとなって…!」 「何?」 「"凪くんって背中に2つホクロあるよね?"ってカマかけたら"そうね、セクシーよね。"って言うから"…背中には1つもホクロないよ。胸に小さいの3つと、右太ももに2つと、左腕に1つだけだよ"って……騙してしまいました…」 「お前最高…っ!ってか、ホクロなんてよく覚えてるなぁ…(笑) まぁ、キスマガッツリ見えてるし、説得力あったんじゃね?」 「えっ?! どこっ?!」 凪はココ…と、カットソーの首もと、鎖骨を指差した。 「っ!! 恥ずかし…っ!!」 「何か持って来たの?」 「あ…! カツサンド…! ケーキはいらないって言うから…食べる?」 「食べる。」 凪の好物だ。 ブランド物より商店街のカツサンドが何倍も嬉しかった。 「俺もー!」 他のメンバーも手を伸ばし、みんなで食べる。 まだどこか元気のない紅葉を心配する凪。 「紅葉は? 食べないのか?」 「……実はお家出る前に測ったらニキロ太っちゃって… モデルの仕事あるのに…!」 どうやらさっきのことは気にしていないようで、テンションが低い原因はこれらしい。 「あんま変わってなさそうだったけどなぁ…(苦笑) 大丈夫。 明日からしばらくヘルシー料理にするから。」 せっかくだから一緒に食べようと、紅葉にカツサンドを1つ差し出した。 「ありがと…。 ん、おいしい…っ!」 やっぱり笑った顔が好きだと凪は紅葉の頭を撫でた。 そしてLIVE 「凪ー! ハピバー! 誕生日を迎えて抱負をどーぞ!」 Aoiにマイクを向けられた凪は立って話始めた。 「抱負? んー…そうだな…。 大事な人を護れる男になる、かな。」 「ヤバイ…、格好いいんだけど!」 「それ以上強くなってどーすんの? 見たよ、動画。 凪のキックボクシングの先生さ、日本で3位とかでしょ?何で互角?(苦笑)」 「えー、凪は何になりたいの?」 「…そこそこ料理が出来て、それなりに強くて、めちゃくちゃ巧いドラマーかな(笑 あ、誕プレに休み下さい。」 「それは社長(光輝)に言ってー!(笑)」 会場を沸かせ、楽しいLIVEになった。 「お疲れー!」 LIVEと打ち上げ兼凪の誕生日パーティーを終えて、2人はタクシーに乗り込む。 凪は黙々とスマホを操作しているが、左手はちゃんと紅葉と繋いでいる。 「…さっき撮ったのTwitterに載せていい?」 「うん。あ、待って! 僕変な顔してない?」 身を寄せて一緒に画像を確認する。 楽屋で紅葉が撮ってくれたLiT Jのメンバーとの写真をSNSに載せて、朝紅葉と撮ったツーショットは凪個人のTwitterにアップした。 これで誕生日の仕事は終わりだと凪はスマホをポケットにしまった。 帰宅後は手短にお風呂に入って寝室へ。 帰国したばかりの紅葉はさすがに疲れが見える。 「昨日の今日で疲れたでしょ? 寝よ?」 「うん。 凪くんもお疲れ様! 今日のLIVEもとってもカッコ良かった!」 そう言うと凪に抱き付いてキスを贈る紅葉。 そのままベッドでゴロゴロしながらキスとハグを繰り返す2人…。 だいぶコントロール出来るようになってきたが、やはりLIVE後は興奮が残っていて、恋人を求めたくなってしまう。 「これ以上してるとスイッチはいるんだけど?(苦笑)」 凪は少し困り顔で紅葉に告げた。 「ホント? えっと…じゃあ…何して欲しい? お誕生日だから…何でもいいよ?」 割りと乗り気な恋人に凪は思わず頬が緩んだ。 「そんなこと言って…俺が悪い男だったらどーすんの?(笑)」 「…え…っ?! んと……ドキドキしちゃう…っ!」 紅葉の可笑しな返事に笑い合った。 それからキスを繋ぎ、凪は紅葉の唇を親指の腹で撫でると耳元でそっと囁いた。 「…じゃあ…ココでしてくれる?」 恋人のリクエストに紅葉は微笑んだ。 2人の夜は長くなりそうだ。 2人とも今年も一緒に誕生日を過ごせる幸せに感謝したのだった。 End

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