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第52話 (6月) (2) ※R18
2人は馴染みのドイツ料理店でランチを済ませると平九郎と梅と共に東京を出発し、夜遅くに凪の実家に到着した。
久しぶりの再会に喜ぶ両親と紅葉を宥めて、家の中を駆け回る愛犬たち(平九郎、梅と実家の小麦)をなんとか落ち着かせ、その日は休むことに。
もちろん、紅葉念願の温泉は欠かせない。
凪は事前に義弟にお願いして貸し切り露天風呂を押さえている。
「温泉最高…っ!」
疲労回復にもお肌にも良いという天然温泉に仲良く2人で浸かる。
熱めのお湯と外気の涼しさ、夜空を眺められる解放感が堪らないとご機嫌の紅葉。
しばらく広い浴槽を堪能するといつもの定位置である、凪の前に来て背中を預けた。
「凪くん、朝お手伝いするの?」
「んー、少しはね。」
凪のことだ。少しと言いつつきちんと手伝うのだろう、早朝の厨房は大忙しだ。
2日間のイベントLIVEを前に明日は午後からリハーサルもある。
今日も移動で疲れているだろうからと、凪の身体を心配する紅葉。
「僕もお手伝いする!」
「ありがと。
適当に母さんの相手頼むね。
なんかいろいろ張り切ってるみたいだけど、嫌なことは断って大丈夫だから…」
「うん。でも…いつも特に問題ないよ?」
「そっか…(笑)
で…、昼間は忙しいだろうけど、夜は?
抜けれそう?」
「お迎えに行く?」
紅葉は凪を振り返って聞いた。
「迎えっていうか…、タクシー代出すから明日の夜とか…逢いに来てくれる?」
色っぽい表情の凪に珍しくそんなお願いをされて紅葉は即刻頷いた。
ほんのり頬が赤いのは温泉に逆上せたからではない。
「…良かった。」
凪もご機嫌だ。
少なくとも2泊3日の1人寝は回避出来そうだ。
「ホテルで待ってたらいい…?」
それともLIVE会場?と訊ねる紅葉。
「ホテルで。
今回のイベント、リオもいるからさー(苦笑)」
以前、紅葉に好意を持っていた後輩で、話は分かるバンドマンだが、凪は未だに警戒している。
「そうだったね。
久々に話したいかも。
その後、幼馴染みの…陸くんだっけ?と、どうなったかなー?」
「さぁー? どーかな?
あ、適当に聞いとくから。」
極力紅葉とリオを接触させたくないようだ。
凪の台詞に思わず紅葉も苦笑いをした。
「終わったら真っ直ぐホテル帰るから部屋で待ってて。」
「うん、分かった。
じゃあなんかご飯持って行くね。」
了解ーと、一瞬キスをして目が合うと凪に顎を捕らえられた。
「…抱きたいからそのつもりで待ってて?」
「っ!!」
凪の宣言に固まる紅葉。
「えっと……!」
「だってこっちの部屋だとイヤなんでしょ?(苦笑)」
「うん、だって…! 恥ずかしいよ…。」
凪の両親もいるので声が漏れないかハラハラするし、シャワーを浴びたり、洗濯物だったり…いろいろ気にするようだ。
「最近ちょっと健全過ぎてるから…」
それはそれで良いのだけど…と凪は紅葉の腹部に腕を回してその細い身体を引き寄せた。
「そう、かな?(笑)」
「こんな雰囲気のとこでくっついてたら…ムラっとならない?」
「…ちょっと…なる…かも…っ!」
月明かりに照らされた凪はカッコいいし、美しくてさっきからずっとドキドキしている。
それは凪も同じなようで、良質の温泉で更にすべすべになった恋人のきめ細かい肌に触れ、スイッチが入ったようだ。
そのまま深く口付けられて、思わず身を捩る紅葉。
「ダ、メだよ…っ!
ここじゃ…。 お湯…! 汚しちゃう…!」
「どーせもう入れ換えるよ?」
「あ…ッ! でも…!
ん…っ! やっ、だめ…。
凪くん…ッ!」
紅葉のNOは頑なだった。
声も音も響くので気になるし、逆上せそうだと言う。
「じゃあこっち来て?」
「…外はイヤなんじゃなかった?」
キャンピングカーや車内はダメで、露天風呂なら良いのかと疑問に思う紅葉…。
シャワースペースに連れられて抱き寄せられる。
「じゃあ部屋にする?」
「………。」
「待てないでしょ?
…大丈夫、触るだけ…。 ね?」
熱が高まっているのは紅葉も同じなのでそれ以上は何も言わなかった。
もう時間も遅いので、いつまでも決まらずにグダグダするよりは、ここでOKを出して、明日も早くから活動する凪を休ませてたかった。
キスと愛撫を受け入れながら、なんとか声を抑える紅葉…。
出しっぱなしにしたシャワーの音である程度は書き消されるが、深夜なので音も響きやすくハラハラする。
「ん、ふ…っ!は…ぁ…ッ!」
「イク?」
凪の手淫に上り詰めた紅葉はコクコクと頷いた。
「…いーよ。」
「んんっー!」
脱力する身体を支えて貰い、キスを交わすと紅葉は凪の前に跪いた。
手と口で懸命に愛撫をし、時折凪の顔を見上げると、優しいけど欲情した熱い瞳と目が合って胸が高鳴る。
「紅葉…、続きはこっちでしていい…?」
「えっ?」
紅葉の口淫を止めた凪は、紅葉を立ち上がらせるとピタリと背後に回った。
「な、に?」
「大丈夫。
いきなり挿入したりしない。
手、ここね。
で、膝をなるべくギュッて閉じてて。」
「…っ!!」
予期せぬ事態(素股)に驚く紅葉。
反射的にストップをかけようとしたが、すぐに触れ合っている箇所を中心にこれまた想像以上の快感が追ってきて言葉にならなかった。
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