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第54話 (6月) (3) ※R18
「…いいの?」
「うん…。 何で?」
遠慮がちに聞いてきた凪。
彼の膝に乗った紅葉は首を傾げた。
「いや、昨日の今日だからさ…(苦笑)
触らせてくれるんだ…?」
無防備なバスローブ姿の恋人を前にそっと手を差し入れていく凪…
「んっ、あ…、うん。
でも…ッ! 暗くしててね。
あと優しくして?」
「了解…。」
その程度の要望なら全く問題ない。
2人は見つめ合いながらホテルのベッドに沈んだ。
「あん…っ、あ…ぁ、ん、んー…
…ふ、ぁっ、ン…」
「声可愛いね。
もうちょっと奥いい?」
声を我慢していた昨夜とは違い、甘く蕩けるような声色に気を良くする凪。
「あっ! ダメッ!
ァー…やっ、んんッ!
深い…っ!」
「でも優しくしてるでしょ?
気持ちいい…?」
優しい動きが逆にもどかしくて、ゆっくりと競り上がる快感に背中を反らせる紅葉。
「…いい!
あ…そこ、したら…だめぇ!
…あ、イッちゃう…っ!」
「ん、イッていーよ。」
「ァッ、ん。
や、凪…っ!
い…っ! あ、イく…ッ!!
来ちゃう…!」
ドライで達する紅葉の中はびくびくと痙攣するようで、締め付けもキツく凪も程なくして達した。
「んん…ッ、」
先に呼吸を整えた凪が体勢を直そうと紅葉の脚を下ろすと、鼻にかかる声が聞こえた。
「あ、まだ動かない方がいい?」
「うん、まだちょっと…だめ…。
あ…っ!」
「中すごいね…
連チャンになるけど、もう1回イッとく?(苦笑)」
「や、だめ…ッ、
んん。 凪くんも…まだおっきいよ…?」
「紅葉の中めちゃくちゃ気持ちいーからね。
…俺ももう1回いいよね?
ゴム変えるからちょっとだけ待って。」
「あ…ッ、動いちゃ…あっ!」
「……イッてるね…(苦笑)」
少し紅葉が落ち着くのを待ってゆっくり自身を引き抜く凪。
手早くゴムを付け替えるとジェルを足して再び紅葉の中へ…!
「きもち、い…」
小声でそう告げる紅葉の頬を撫でて口付ける凪。
「あぁ、気持ちいいな…。」
優しくそう伝えると凪の首に腕を回す紅葉…。
しばらく濃厚なキスを楽しみ、途中からは体位を変えた。
ベッドベッドの縁を掴んだ紅葉を後ろから抱く凪。背面座位と背後位の間くらいの絶妙な角度で弱いところを突かれ、紅葉はどうしても甘い声が出てしまう…。
「は、ぁッ!
や…、聞こえ、ちゃう…っ!」
「隣? 空室かもよ?
いたとしてもどーせ会わないし、知らないヤツだよ。」
「あーっ!んんッ!」
凪は気にするなと紅葉を宥めて行為を続けたのだった。
お互い十分に満たされて、シャワーを浴びた。
「出演順決まった?
LiT Jはセットリストどんな感じ?」
凪の配慮もあるが、だいぶ体力もついて2度抱かれてもまだ起きていられるようになった紅葉。
ベッドに寝そべりながら凪にイベントLIVEのことを聞いた。
「おー。
明日3組目で明後日がトリ。
セトリ? これ…。
まぁ、明日やってみて明後日は変えるかもだけどね。
あ、Ryuにリハの記録撮らせてるよ。
見る?」
「見るっ!!」
凪のドラムを叩く映像に釘付けの紅葉。
目をハートにさせて、まるで凪のファンだ。
「カッコいいね!
冒頭のSEもすごい! 雰囲気出てるーっ!」
「ありがと。
…早くまたLinksでもLIVEやりたいな。」
「そうだねっ!」
「LiT Jもマツくんのベースもいいんだけど、やっぱりお前のベースと合わせるのが一番しっくりくるんだよな。」
「…嬉しい。」
紅葉は凪にキスを贈った。
「まだ食ってるから…(笑)」
すっかり遅い時間になってしまったが、凪が食べているのは紅葉が保冷バッグに入れて持参したお弁当だ。
「…そうだった! うん、生姜焼美味しいね!」
料理長直伝のタレだ作った生姜焼は絶品である。LIVEのリハーサルと恋人との甘い時間を過ごしたあとの疲労回復にも最適…。
「…少し食べる?」
「食べるっ!」
あーん、と分け合って微笑み合った。
翌朝…
「はよー…」
紅葉を(凪の)実家へ帰し、LIVE会場へやってきた凪。
そこへリオ(他バンドのドラマー)がやってきた。
「…凪くんって性格悪いっスね!」
「あ? いきなり何?(苦笑)」
絡まれてもすぐにキレることは流石になくなった。
「昨夜はずいぶんお楽しみだったみたいで…!」
「はぁ…?
え、何?
もしかして部屋隣だった?(苦笑)」
何の因果なのか隣はリオの部屋だったようだ。思いがけず紅葉の声が漏れていたのだろう…凪も複雑な気持ちだった。
「ひどいよ、俺、幼馴染みに手出すタイミングわかんないって相談してたとこなのに!
ってか、浮気だよね? …最低。 バラしていい?」
「誰に?何を?
相手フツーに紅葉だけど?」
「っ?! まさかここまで呼んでんのっ?!」
「たまたまね。
ここ、実家近いから。
…あ、紅葉? 着いた? 了解ー。
母さんと芝居だっけ?
少し休んでから行けよー?
俺もこれから支度する。
うん、じゃあまた…。
…何、リオ、勘違いして怒ってんの?(苦笑)
浮気とかねーから(笑)
カリカリしてねーで、ちゃんと機材確認しろよー。」
「えっ?
待って! 凪くんマジでごめんって!
許してっ!
あと私事の悩みにアドバイスを下さいませ!」
「うるせー…
知らねーよ。
幼馴染みでも今は恋人なんだろ?
まずは話し合えば?
何?…あー、相手が誰とも付き合ったことないって?
…なら、フツーに向こうのペース合わせて進めればいーじゃん?
焦ったとこで意味ねーし。
周りと比べる意味なんてもっとねーよ。
お前何見てんの?
つーか、何盗み聞きしてんの?
真剣に付き合うなら…真剣に相手と向き合えよ。そこが出来てないから進まないんじゃねーの?
…以上。」
「…はい……。」
凪は口早にそう告げるとローディをやってくれてるRyuを呼んで今日の流れの確認へ向かった。
End
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