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第88話 (10月) (4) ※R18

身体はずぶ濡れ、心はふわふわしたままとりあえずお風呂に入った。 「本当に…?」 「んー?」 凪は後ろから紅葉を抱き締めながら湯船に浸かり、プロポーズの緊張から解放されリラックスした時間を過ごしていた。 「あの……本当に僕でいいの…? 今回もだけど…今後もいろいろ面倒かけるよ…?」 一方紅葉は自信なさそうに聞いた。 「当たり前だろ。 面倒とか思ってないし…。 お前しかいないって思ったから改めてプロポーズしたんだよ? …逆に紅葉は俺で大丈夫? 全力で幸せにするつもりだけど、…きっと時にはまた泣かせることもあると思うよ? …あ、浮気が原因ってことはないけどな。」 結局いつも泣かせてる…と凪は辛そうな顔をした。 「僕は出逢った時から凪くんしかいないって決めてるから!」 「ふ…っ! それはすごい告白だな…。 でもさっき…… “言われたくない!”とかってさ、プロポーズバレてて、断られるかと思ってめちゃくちゃ焦った…(苦笑)」 「あれは…! だって…別れ話かと思って……。 そしたら真逆で…!もう、本当にビックリ…! すごい、すごい嬉しくて…最高の誕生日になったよ。」 「良かった…。 俺もホッとした。 これからいろいろ将来的なことも決めていこうな?結婚式どうするかとか、こどものことも…真剣に…」 「凪くん…っ! うん…。」 お風呂から上がって、飲み物を取るために冷蔵庫を開ける凪。 「あ…!」 「? どうしたの?」 「いや… 本当はさ、夕方行こうと思ってたんだよ。 夕陽見ながらってシチュエーション狙ってさ…!で、帰って来たら食事して、OK貰える前提でお祝いにと思って…小さいケーキも買ってあったんだ。アップルパイは作ったけど、誕生日だし。 …どうする? 食べる?」 せっかくなので食べようかなと言う紅葉の前に可愛らしいホールケーキが出された。 小さめにカットしてもらい、食べてみるととても美味しかったのだが、紅葉は数口でフォークを置いた。 「…? どうした? お腹いっぱい?」 「お腹はまだ大丈夫なんだけど…! なんか…胸がいっぱいで入らない…! …あとは明日食べるね。」 「…了解。」 凪も1口だけ口をつけたケーキを冷蔵庫にしまった。 愛犬たちにおやすみを告げて寝室へ移動した2人。 セオリー的には愛し合う流れなのだろうが、凪は紅葉を気遣って「雨で冷えたから今日は暖かくしてもう寝よう」と言ってくれた。 紅葉は「でも…」と、凪の手を掴んだ。 「焦らなくていいって…。 記念日だからSEXしないといけない決まりはないし、一緒にゆっくり克服していこ?」 凪は紅葉の髪にキスを落とした。 優しい彼を前に紅葉は今の自分の気持ちを述べた。 恥ずかしくて俯いてしまったけど、もう大丈夫だと伝えたかったのだ。 「…凪くんの気持ち、本当に嬉しかった。 だから…僕…克服、出来そう…。」 紅葉の台詞に驚きつつも優しく微笑む凪。 顔を上げた紅葉にゆっくりと口付けた。 「大丈夫?」「怖くないか?」何度も聞いてくれた凪。 自分自身にかけた呪縛から抜け出した紅葉はその度に「大丈夫。」と答えキスをねだった。 触れ合っただけで幸せで、凪の愛撫が気持ち良くて知らないうちに「もっと…!」と口にしていた紅葉。 久しぶりに繋がろうとなると紅葉の中は狭くて凪の指でもキツかった。 それでも凪はたくさんの時間と愛情をかけて丁寧に解してくれた。 紅葉が緊張したり、怖くなったりしないように声をかけて、キスもたくさん与えてくれた。 その甲斐もあり、紅葉はなんの不安もなく凪に身を任せることが出来たし、何度も気持ちいいと伝えた。 凪にも気持ち良くなってもらいたくて口で頑張ってみたり… お互いたくさん触れ合った。 「凪くん…! もう…大丈夫だから…! …きて……っ!」 腕を伸ばして凪を求める紅葉。 「本当に無理だったら殴って止めて?」 凪はそう告げると紅葉の足を抱え、慎重に自身を進めた。 「あー…っ!」 痛みは全くないが、質量のある凪のモノが挿入される圧迫感に驚き、紅葉の身体が反射的に逃げようとする。 初体験の時と同じだと凪は紅葉の頭を支えた。 「…頭ぶつける…!(苦笑) キツイ? 抜く?」 「ん…っ、やだ…! …もう挿った…?」 「…あと半分くらい? 苦しいなら全部は挿れないから…」 紅葉が落ち着くのを待つ凪。 「……ん…。 大丈夫? 凪くん…ちゃんと気持ちイイ?」 「あぁ。 スゲーイイし。 めちゃくちゃ幸せ…。 紅葉は?」 「ふ…、僕も…幸せ…! 温かくて…気持ちイイ…。 良かった…! ちゃんと出来た…! …嬉しい…!」 凪は紅葉の目尻に溜まった涙にキスをすると、ゆっくりと動き出した。 甘くて幸せな時間を過ごして、眠りにつく直前に紅葉は凪にお願いをした。 「あのね、誕生日だから… 特別にもう一回言って欲しいな?」 「…“お誕生日おめでとう”?」 「違うよ(笑) もう1つの方……っ!」 分かっていて、わざと外したのだろう、凪は照れ臭いじゃんと笑っていた。 「えー…? ダメー? お願い、お願いっ! 実はビックリしすぎてちゃんと聞いてなかった!」 情事後に甘える紅葉はすっかり元通りの紅葉だった。 紅葉の心を治したのは凪だった。 きっと凪にしか治せないのだと紅葉も思った。 「何ー? お前ねー…通りでボーっとしてるはずだよ。 こっちは一世一代の覚悟だったのに…(苦笑)」 「ごめんね。 今録音…? あ、録画…するから!」 「それはダメ…。 だいたい…真っ裸だよ?(笑)」 「あ…(苦笑)」 シーツを纏っただけの紅葉が「そっかー…」と諦めモードでもぞもぞしていると… 紅葉を組強いた凪は目を合わせてあと一回だけな?と囁いた。 「…俺と結婚して下さい。」 「…っ! 喜んで…!」 キスで答えた紅葉は凪の大好きな満面の笑顔だった。 勢いよく裸のままベッドに正座すると、三つ指をついた。 「不束者ですが、末永くよろしくお願いします!」 深々と頭を下げる紅葉に凪は穏やかに笑いながらも優しくシーツをかけてやる。 「こちらこそ…。 …それ…ググったの?」 「うんっ! “日本式プロポーズのお返事の仕方”っ!」 凪は恋人…改め婚約者の紅葉を抱き締めて笑った。 End

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