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第113話 (4月) (4) ※R18
「もしかして…緊張してる?」
「すごく……。」
どうしようもなくガチガチの紅葉を心配する凪。
いつもと同じような手順で行為を進めているはずだが、部屋や雰囲気がいつもと違うせいか、先ほど珊瑚に積極的にいけと言われたせいか…紅葉の緊張は凪にまで伝わってきた。
「もうちょっと飲みながら話す?」
「うん、そうしたい…。」
少し迷いつつも、紅葉は凪の気遣いに頷いた。
ベッドに座ってシャンパングラスを傾ける2人…。
冷たく飲みやすいアルコールが心地好い。
「疲れた?
2人で暮らしてる環境は変わってないけど、紅葉は大学卒業して生活リズムが今までと違うし…。
式の直前は準備とか段取り覚えたり、なんか慌ただしかったよな。」
「うーん、そうだね。
なんかね、疲れっていうか…結婚式の時もだけど…最近ずっとドキドキしてて…!」
グラスの水滴を指で掬いながら紅葉はそんなことを話し始めた。
「ドキドキ?
緊張が続いたせい?」
「うんと…
なんか…凪くんがカッコ良くて…っ!」
「はは…っ!」
予想外の紅葉の台詞に凪は笑った。
結婚式の準備もパートナーシップの申請についても凪がリードしてくれた。
式の当日は緊張からあたふたする自分を優しくフォローしてくれたし、今日のサプライズも含めていつも自分を喜ばせようといろいろ考えてくれている。
改めて凪の素敵なところを実感すると胸がいっぱいだし、28歳になった彼の見た目も大人の色気が更に増してカッコ良くて…!
(ツアーを前に凪は筋トレ強化している)
紅葉は今でも凪に一目惚れした時と同じように恋に落ちているのだ。
そのことを伝えるとさすがに凪は照れ臭そうに苦笑し、それでもやはり嬉しそうだった。
「そりゃどーも。
俺も…何て言うか…、式と申請が無事に終わって“これでようやくお前を手に入れられた”って実感してる…。」
「…僕はずっと凪くんのだよ?」
「そうだな…。
俺も紅葉のものだよ、ずっと。
しばらく世間がうるさいかもだけど…俺たちは今まで通り…時々はこんな贅沢もしつつ、普通に生活していこうな?」
「うん
ふふ…、嬉しいな。
幸せ…。」
微笑みながら凪の肩に頭を乗せてきた紅葉のグラスをそっと受け取って抱き締めた。
「紅葉…」
ほんのりアルコールが回っていい感じにリラックス出来たようだ。
紅葉の腕が背中に回ったところでゆっくりと唇を合わせる。
たくさん口付けて、優しく髪を撫でた。
一度顔を離し、合わさる視線…。
澄んだ綺麗な瞳を見つめる……もう大丈夫そうだ。
「紅葉…、
優しくする。」
「…うん。」
真剣な凪の言葉に頷いて身を任せる紅葉。
ゆっくりベッドに押し倒されて、手を握られた。
重なる指輪を目にするだけで胸がいっぱいになる。
「大事にする。」
「うん。」
「紅葉と過ごす1日1日を大切にする。」
「うん。」
凪は誓うように額や頬に優しいキスを贈ってくれた。紅葉は短い返事をするだけでいっぱいいっぱいだが、心が通い合っていくのをしっかりと感じていた。
「俺さ…もう分かってるかもしれないけど、言葉足りなかったり、頑固なとこもあるから…時には喧嘩したり、すれ違うこともあると思う…
今日…2人の関係オープンにして、周りからも…いろいろ言われて嫌な思いすることもあると思うけど…
それでも…
俺が出来る限り全力で紅葉のこと守るから。
ずっと2人で一緒にいよう。
必ず幸せにする。」
「っ!」
凪の誓いに紅葉は涙で言葉を返せなくて、その代わりに何度も何度も頷いて彼を抱き締めた。
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