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第131話(7月)(4)

2日後… 「あ゛ー…。 こりゃあヤバいかもしれないな…(苦笑)」 凪は愛犬たちとの散歩道で一人呟いた。 明け方からなんとなく違和感を感じていた体調はどうやら不調を示すもので間違いなかったようだ。 真夏の朝で既に蒸し暑いのに、背中の辺りに悪寒を感じている…。 「とりあえず…本格的にヤバくなる前に朝飯用意しとくか…。 …ん?はいはい、お前たちもなー(笑)」 凪は平九郎と梅の頭を撫でた。 一昨日、紅葉と久々に濃厚な夜を過ごして心身共にかなり満たされた。 昨日、実家からのお土産を持ってみなと光輝の家を訪ねれば、愛樹の風邪がうつったようでみながダウン…。 なんと、愛樹を抱っこしたまま倒れるところを紅葉が咄嗟に庇い、右足を捻挫してしまったのだ。 幸いみなと愛樹は無傷だったが、みなは念のため入院となり、光輝は地方の仕事から飛んで帰ってきて手一杯なので凪と紅葉で愛樹を預かることになったのだ。 愛樹は体調も落ち着いていてご機嫌だったが、夜になると一変して大泣きして大変だった。 紅葉がキーボードで演奏して曲を聴かせたら落ち着いたのだが、それまでは何をしても大暴れで…(苦笑) 「やっぱしばらくは2人(と2匹)でいいかなぁ…(苦笑)」 凪は改めてそう思ったのだった。 帰宅後… 紅葉と愛樹を起こしに寝室へ向かった凪。 「ほら、行くぞ。」 背を向けた凪はおぶさるように促すが、遠慮がちに戸惑う紅葉。 「歩けるよ?」 「ダメ。 愛樹も行くよ。」 結局、愛樹を抱っこ、紅葉をおんぶして階段を降りる凪。 愛樹は昨夜のギャン泣きが嘘のようにご機嫌で朝からニコニコ。リビングへ着くと早速平九郎と梅を追いかけ始めた。 「あんちゃーん! オムツ替えようー?」 それを紅葉がピョコピョコ右足を庇いながらおいかけるので凪はハラハラだ。 「紅葉!走るなって…(苦笑) お先に前の湿布替えるからそこ座る!」 「はぁい……。」 ソファーに座る紅葉。 湿布と包帯を持った凪がその前に座り、手際よく手当ての準備を始める。 「おー、昨日より腫れ引いてるな。 痛みは?」 「うん! 大丈夫! 捻挫って言ってもそんなに酷くないって言われたし! あ…っ! そういえば……!」 「…? 何?」 「何か忘れてると思ったんだ! おはようのチューしてないっ!」 「……あー…(苦笑) それな、ちょっと止めておく。」 「何でっ?!」 「愛樹の風邪がうつったかもしれないから…(苦笑)」 「えぇ?! 大丈夫?! 早く言ってよー! さっきおんぶしてもらった時にちょっと熱いかも?って思ったけど…え、熱ある? 大変!どーしよっ! 気付かなくてごめん!」 「大丈夫だって(苦笑) とりあえずうつしたくないから、キスはなしで。ごめんな?」 そう言って、手当てを終えた凪は頭を撫でた。 体調が悪いのに朝から犬の散歩や食事の支度をしてくれた凪の優しさに胸を詰まらせながら紅葉はあとの家事と愛樹の世話は自分に任せて凪になるべく休むように伝えた。 しかし捻挫した足では目の離せない幼児の世話をするので手一杯で家事や凪の看病まで手が回らず、もどかしく思う紅葉。 やっと愛樹がお昼寝をしてくれたので、急いで寝室へ向かう紅葉。看病グッズはリュックサックに詰めて、足に負担をかけないように慎重に階段を昇る。 「……!」 眠っている凪の額に触れると思ったより熱くて驚く紅葉。 すぐに冷えピタを貼り、目を覚ました凪を気遣う。 「けっこう熱があるね。 ごめんね、なかなか来れなくて…! 何か飲む?」 「あー、それもらう。 ……愛樹の世話、任せて悪いな。 紅葉は体調平気なのか?」 紅葉はゼリー飲料と水、薬を手渡した。 「僕は元気だよ。 凪くん、ずっと忙しくて疲れてたからうつっちゃったのかもね。」 「はぁ…ダサ…(苦笑) こどもの風邪大人がかかるとヤバいって言うけど…正にそんな感じ(苦笑) まぁ、お前が元気なら良かった。 でもうつるかもしれないからあんま近寄るなよ?」 「…えー、寂しいよ…。 僕の足と凪くんの風邪、どっちが早く治るかな?」 紅葉はそう言うと凪の手を握った。 「んー…。」 「ごめん、ツラいよね。 もう少し寝てね。 おかゆ作っておくね。」 「…紅葉…、あの甘いおかゆは止めて(苦笑)」 「はは…!分かった。 おやすみ。早く良くなりますように…。」 それから更に2日… 凪の風邪も紅葉の捻挫した足も良くなりおはようのキスも復活した。 紅葉は自宅に遊びに来た親友ユキと光輝からもらった高級メロン(お詫び&お礼の品)を食べている。 「それでね! マスクイケメンってマイナスの意味だけじゃないんだよ!!」 「そうなの…?」 「凪くんが風邪うつさないようにってここ数日マスクしててさ。 それは素敵なマナーなんだけど、顔隠れちゃうからなんか残念だなぁってちょっと思って…。 でもなんか…目元に視線がいっちゃうんだよね!いつもと違って見えるからドキドキするし、やっぱり凪くんはマスクしてもカッコいいし、目元だけ見てもカッコいいなって!」 「なるほど…。 風邪治って良かったけど、マスク姿見れなくてちょっと残念…? メロン美味しいねー。」 「そんな感じっ! ホントだね!甘いー! ねぇ、今度葵くんにもマスクしてもらったら?」 「……いいかも。 でも葵って全然風邪ひかないんだよー(笑)」 ツアーリハ中の葵は珍しくくしゃみをしたとか…? END

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