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第134話(8月)(4) ※微R18

「ふぁあ~ぁ……。 …よく寝た…。」 丸2日間、作曲作業をして「(曲)出来たっ!おわったよー!」とサポートしてくれた凪にハイタッチをして、そのままの流れで寝室に連れ込まれ、熱い夜を過ごした。 「あんま記憶がない……(苦笑)」 素肌にはキスマークが無数に付いていて驚きつつ、いつも以上にボーっとしている頭と若干の身体よダルさを感じるが、心身共に満たされたということだろうか…。 実は行為が久しぶり過ぎたせいか、昨夜はきちんと凪を受け入れることが出来なかった。 気持ちは一つになりたいと望んでいるのに強ばる身体は思うように力が抜けなくて…もう何度もしていることなのにと、焦る紅葉に対して凪は「何度してても、気持ちも身体もいつも同じって訳じゃないんだから気にしなくていいし、無理もしなくていい。…大丈夫だから。」と何度も優しく言ってくれた。 そこからお互い手や口で求め合って…何度も果てた…。 「すっごい…気持ち良かった……! 僕…どっか溶けてないよね…?」 いろいろ思い返したせいか、顔が熱い…。 紅葉はパタパタと手で顔を扇ぐとなんとかベッドから起き上がった。 リビングのある一階へ降りて行くと懐かしい声が聞こえてきて、ハッとした紅葉は残りの数段を慌てて駆け降りる。 「…フィンっ!!」 「紅葉兄さん!久しぶりー! おはよう、すごい寝癖だね(笑)」 「うわーん!どうしてもういるのっ?! 迎えに行くの午後のはずだったでしょ?! …っていうか…フィン…!大きくなったね…?」 思わず飛び付いてハグした弟が、思ってたより成長していて顔を見上げ驚く紅葉。 「おはよ、紅葉。 予定より早めに終わったんだと。 自分で移動してうちまできたいっつーから電車教えて、駅までは迎えに行ったよ。」 凪が教えてくれた。 「そうなの?! ありがと、凪くん。 …あ!おはよー。」 凪と並んでもそんなに身長が変わらなくて弟の成長は嬉しいが、自分より大きくなった弟を前になんだか複雑な気持ちになる紅葉。 それでも会いたかった気持ちの方が強くて、再びフィンとハグをする。 「元気そうで安心したー!」 「兄さんも。幸せそうで安心した。」 3人は笑顔で再会を喜んだ。 その夜は光輝とみなの自宅兼LINKSスタジオでフィンの歓迎会&先日のフェスの打ち上げが行われた。 凪は朝からせっせと料理を作り続けていたようで、キッチンにはいい匂いが溢れ、保存容器に入った様々な料理が置かれていく。 「スゴい! 凪兄さんの日本食、楽しみにしてたんだー! 早く食べたいー!」 「腹減ったなら先に少し摘まむ?」 「えー、でもみんなで食べたいから我慢する!」 「そっか。誠一が寿司頼んでくれるみたいだし、腹空けておいてたくさん食えよ。 あ、紅葉! こっち、じいさんの分だから持って行って。 フィンも挨拶して来たら?」 「はぁい。」 「あ、紅葉兄、待って。 お土産あるから持ってくるー!」 フィンが2階の客室へ向かうと凪は紅葉に視線を向けて訊ねた。 「…身体、平気?」 「えっ…? あ、うん…っ!」 「…良かった。 昨日の、気にすんなよ?」 凪はそう言うと頬にキスをくれた。 「うん…。」 紅葉は大丈夫だよと笑顔を見せ、フィンと隣家へ向かった。 しばらくしてビールのケースを抱えて帰ってきたフィンと紅葉。 「御中元のお裾分けだって!」 「最高じゃん。それも持って行こ。 車に積んでおいて。」 「イエーイ!日本のビール!」 「…あ、フィン…ごめん。 日本は酒が20歳からなんだよ(苦笑)」 「No! ビールもっ?!」 残念そうなフィンを宥めて料理や小皿など大荷物を積み込むと、凪とフィンは車で向かい、 紅葉は愛犬たちを散歩がてら連れて行くことに。 和食は凪が、洋食はみなと彼女の専属スタッフのカナが作ってくれたようだ。 寿司も運ばれ大量の料理が並ぶ。 LINKSとLIT Jのメンバーを始め、Ryuや親しい後輩たちも集まり盛大なホームパーティーとなった。 「Ryuくん! 紗良(さら)ちゃんってプリン食べれる? 凪くん作ってくれたやつなんだけど、あげてもいい?」 紅葉が確認する。 紗良というのはRyuの長女だ。 みなと光輝の娘、愛樹と同い年。 奥さんが絶賛つわり中らしく、ゆっくり休ませてあげて父子でパーティーに参加している。 「あ、大丈夫っス。 俺やりますよ。 ってか、手作りプリン?! 凪くん…さすがっスね…!(苦笑)」 「僕があげたい!」 フィンが駆け寄ってきた。 「Ryuくん、フィンは小さい子のお世話慣れてるから任せて大丈夫だよ。」 「紅葉くんの弟だっけ? ありがとう。 何人兄弟…?」 「僕と珊瑚が双子で下に5人だから7人。 フィンは真ん中!」 「スゲー! 俺も子供好きだから5人くらい欲しいんだよね。 バスケチームかバンド出来ると最高! でもまず稼がないと(笑)」 「Ryuくん頑張ってるよね。 フェスも評判良かったし! あ、そういえばRyuくんも幼なじみと結婚したんだっけ? フィンのガールフレンドも幼なじみなんだよ。」 「そうなんだ!」 フィンもいろんな繋がりが出来て楽しそうに過ごしている。 その後はドイツの家族とビデオ通話を繋いで更に盛り上がったり、美味しい料理とお酒と共に楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

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