139 / 226
第147話(10月)(4)※R18
結局、タクシーの中で眠ってしまった紅葉。
アルコールの影響もあるだろうが、相当疲れているようで熟睡して起きそうにない。
凪は体調に気をかけながら紅葉を抱き抱えて寝室まで運んだ。
深夜…
「ん…っ!
やぁっ!
っ! 凪っ?!
どこっ?」
「紅葉…?!
大丈夫かっ?」
証明を落とした寝室で飛び起きる紅葉。
凪は慌てて近くに駆け寄りリモコンで部屋を少し明るくする。
「っ!
……凪……?」
「魘されてたぞ。
どーした?怖い夢でもみた?」
「あ……。
夢……?
っ!」
ハッとしたように紅葉は口元に手を当ててゆっくりと深呼吸をする。
ちょうど今から寝ようとしていた凪はベッドに上がり、紅葉を抱き寄せる。
「…紅葉?
体調…気持ち悪くねぇ?
水飲める?
まだ夜中だ。
…一緒に寝よう。」
「うん……。平気。
あ…っ!っと、僕…、ちょっとトイレ…!」
「…一緒に行こうか?」
「平気っ!」
慌てたようにベッドから降りようとした紅葉はタオルケットに足を取られて転びそうになってしまう。
「わっ!」
「っと…!」
凪が支えてくれたが、身体を密着させたことで紅葉が隠したかったことがバレてしまう。
「……紅葉…?
あー…怖い夢じゃなくて気持ちイイ夢みてた?」
「っ!
や、だっ!
見ないでっ!」
気にするなと言いかけて凪だったが、羞恥心で泣きそうになる紅葉を見て優しく髪と頬を撫でる。
凪の顔を見られない!といった表情で目を瞑ったままの紅葉。凪は顎に指を添えて顔をあげさせると目尻にキスを贈った。
「…おいで。
シャワー行こう。
そのままだと気持ち悪いだろ?」
それから…ぐずぐず啜り泣きながらシャワーで洗い流してもらい、半分眠りながら凪に抱っこされて温めの浴槽に浸かる。
恥ずかしくてまともに凪の目が見れないのにくっつきたがる紅葉。
凪はそんな彼が可愛くて仕方ないようだ。
「泣かなくていいって。
ごめんな、最近…忙しくなる前はけっこう頻繁にしてたから…紅葉が俺がしないとイケないんだって忘れてた。」
凪の優しいフォローに顔を赤らめる紅葉。
「バカ…。
もーヤダ。こんなこと…初めて。」
「え、夢精したことなかった?」
「い、言いわないでっ!」
「…分かったから(苦笑)
別に誰に言うわけでもないし…
特別変なことでもないから気にすんな。
疲れてたりいろんなことが重なっただけだって。」
「……ホント?
僕…変じゃない?
あの…、いつも…気になってて…。
もちろん付き合ったばかりの時より心配は少なくなったけど、でもやっぱり…してる時…気持ちいいと訳分からなくなるから…」
俯き、辿々しくそう告げる紅葉に凪は優しく抱き締めて応える。
「顔、見せて?
紅葉…それでいいんだって。
…俺も一緒。
だいたいいつも加減出来てねーだろ…(苦笑)
だから今後はそんな心配、一切しなくていーよ。」
「うん…。」
お風呂から上がってからも甲斐甲斐しく世話を焼く凪。紅葉は服を着せてもらい、水を飲ませてもらい、髪も乾かしてもらう。
「よし…。
寝るか…。」
寝室へ向かおうとする凪の後ろでハッと思い出した紅葉は立ち止まる。
「あ…練習…っ!」
「今日はもういいだろ。
一回ちゃんと休まないと…。
あと、ちゃんと…2人の時間を取ろう。」
紅葉は凪の言葉にゆっくりと頷いた。
ベッドに入って凪の腕に抱えられおやすみを言われたけど、中途半端に寝たせいか眠れず、もぞもぞと動きながら凪の顔を見つめる紅葉。
「…眠れねーの?」
「う…ん。
…ね……、凪くんは眠い…?」
「そーだな…
もう3時だし…(苦笑)」
「…そっか。
じゃあ…ダメ?」
布団の中から上目遣いで見つめられて、凪は閉じかけていた目蓋をあける。
「……したいの?」
「…うん…っ」
「…じゃあ…可愛く誘ってみて?(笑)」
凪は紅葉の方を向くと肘を立てて顔を上げてそんなことを告げた。
「え…っと…。
…凪…?
僕と…セックス…しよ?
あの…、それで…、今日は…初めての時みたいに優しくして欲しいな…。」
凪的には半分冗談で言ったのに、真面目に返す可愛くて思わずにやける顔を手で覆い隠す凪。
「……最高だな。
うん、じゃあ…めちゃくちゃ優しくてめちゃくちゃ気持ち良くするって約束する。」
「ん…っ!」
そのまま紅葉を押し倒すと深く甘いキスを贈った。
ともだちにシェアしよう!