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第153話(10月 ②)(2)
「あ!健全なデートね!
ってさー、一体何をして何を話せばいーのっ?」
「……それ人に聞くやつ?(苦笑)
いい大人がさー…(苦笑)
あ、待て! 愛樹っ!それ食ったらダメだって!…腹減ったの?」
「凪?
ねー、何してんの?
真面目に聞いてるから教えてよ!」
「悪ぃ、ちょっと待って…。
愛樹、おいで。
…まぁ、無難に食事とか飲み?」
凪は愛樹を呼び寄せるとウェットティッシュで手を拭いてマグを渡しお茶を飲ませる。
その間にさっき購入したおやつの幼児せんべいを取り出して少しずつ与えることにした。
「やっぱ飲みかぁ…。
でもなぁ…初回それで失敗してるからさー。
因みに今デート中?どんなプランなのさ?
教えてくれたらこの前凪が遅刻した理由、渋滞じゃなくて朝からにゃんにゃんしてたせいってこと社長(光輝)にバラさないでおくよー?濡れた髪、背中にがっつり爪痕つけてくるって相当激し…!」
適当に流そうとしていたのがバレたのか、ゆーじからの脅し(もちろん冗談なのは分かってる)に苦笑する凪。
「ストップ!(苦笑)…分かった。
…今日は帰省の準備がてらアウトレット行って買い物と貸し切り温泉入って、上手い蕎麦でも食ってこようと思ってたけど、紅葉が風邪ひいたからリスケ。
今?子守りしてる(笑)」
「はぁー。なるほどー。
いいねー。でも温泉はハードル高いよな…(苦笑)
ってか風邪大丈夫?
何なら言ってよ?」
変われる仕事なら変わるとさりげなく言ってくれるゆーじ。根は優しくていい奴なのだ。
「あー、疲れが出たのと冷えたんだと思う。
…ありがと。とりあえず様子見てって感じで…。
えっと…、付き合いたてとかなら足湯とか?」
「えっ?付き合いたてっていうか…まぁ、友達から…みたいな感じで…(苦笑)
なんか初々しくね?(笑)
…足湯かー!」
どうやら例の相手と少なからず進展があったようで、同性相手だからと戸惑っていたはずのゆーじだが、電話の声からしてご機嫌だった。
「相手、東京初めてならベタに浅草とか…。
渋谷、新宿辺りは身バレすると厄介だし、人多すぎて疲れるらしいよ(苦笑)」
「確かになー(笑)
その辺は移動で通るからいつでも行けるしねー。」
「そうそう。あとは流行りのカフェとかもいいけど、隣と距離近いと会話気遣うじゃん?
だから…今の時期ならそんな寒くなければテラス席とか、なんなら公園とかの方がゆっくり話せるんじゃねーの?」
「…ありがと。
なんかめっちゃ参考になった。
遊ぶとことか飯屋ばっかチェックしてたけど、その前にお互いのこと話したり出来た方がいいもんなー。はぁ…、そっかー。いやー、ちゃんと恋愛すんの久々過ぎて訳分からん。ってか、緊張ヤバい…(苦笑)」
「ゆーじ、キャラ変わってるから(笑)」
なんだか微笑ましいなと思いつつ話しを終えた凪は、とりあえず一満足したらしくご機嫌な愛樹を抱えて自宅へ戻ることにした。
愛樹を迎えにきたみなに引き渡し、紅葉に雑炊とフルーツを食べさせて薬を飲ませ、着替えを手伝う。
まだ熱はあるが朝よりは下がってきていて食欲もあるので大丈夫そうだ。
「お薬飲んだよ…。
眠るまで手繋いで側にいてくれる…?」
「よし。
もちろん、いいよ…。」
「あのね…。
さっき夢にパンダが出てきて…!」
「パンダ?(笑)」
「そう。
ごはんあげたら喜んでた…。
…治ったら動物園に行きたい。」
「いーよ。(ごはんあげれるかは知らねーけど…)上野なら近いし、ちょっと時間とれればすぐ行けるな。」
「うん…っ!」
紅葉が再び眠りにつくとリビングへ戻り、PCで仕事をしつつ、みながお礼代わりに差し入れてくれたクラブサンドとコーヒーで遅めの昼食をとった。
するとまたしても着信が…
「あ…?
次はマツくん?(苦笑)
もしもし…?」
「凪!
いきなりで悪いけど、俺に料理教えてくれないかな?」
「…いーよ?」
どうやら凪の休日はデートの予定がなくなっても忙しくなりそうだ。
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