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第163話(12月)(2)

「んー…。 まぁ、過去はさ…変えられないし…。 これだけの年齢生きてきたら誰でも大小問わず後悔してる出来事はあるじゃん? ふと思い返した時に反省したり、 それが要くんにとっては今も今後も影響するような大きなトラウマだったりするのかもしれないけど…。 でも…、未来は創っていける。 例え過去を乗り越えられなくてもこれから二人で一緒にいることは出来る。 お互い一緒にいるための努力はもちろん必要だけど…。」 静かに語る凪を真剣に見つめるゆーじ。 「なんて言うか… 何かをしてあげたくて、力になりたくて一緒にいたいって気持ちは大事だと思うけど、 何も出来なくても、力になれなくても絶対この人と一緒にいる覚悟ってのも大事だと思うんだよね。 この違いってスゲー感覚的なことだから説明難しいんだけどさ…(苦笑) でも今のゆーじはさ、要くんのこと側において、ちょっとの間でも同居したら離れがたくなったんだろ?(苦笑) 自然体でいられる相手なんだろうし… 真剣に想ってるってことなんじゃねーの? なら、覚悟決めたら?」 「そう…、なんだよね…。覚悟かぁ…。 あー…家に誰もいないって今まで当たり前だったのに、なんかもう違うんだよー(苦笑) スゲーさみしくて、帰りたくなくて毎晩飲んでんの!(笑) でも女の子に声かけたりとか…適当に遊ぶ気にはなれなくてさー…(苦笑)」 「ずっと気になってる感じ?」 「まぁね…(苦笑) ちゃんと食ってればいーんだけど…。 あー…今更だけど、凪は紅葉くんと一緒にいたいからパートナーシップ…だっけ? 結んだの? きっかけってあったの?」 「きっかけ…というか…紅葉の身内に不幸があって…。俺の身分?だと仕事休んで葬儀に出るのも周りから見たら不自然なのか?って思ったのがまず変だって思って。 まぁ、この仕事してたらどっちみち休めないんだけどさ…(苦笑)」 「確かになぁ…(苦笑)」 「そこからふと過程を振り返って…。 紅葉とは付き合うまでそれなりに悩んだけど、付き合ってからはすぐ離れがたくなって、ほぼ毎日仕事でも会えんのに同棲して(笑) 家に帰さなくていいんだってなったら公私共にめっちゃ充実したんだ。 今度は紅葉と過ごす日々が生活の一部になっていって…。 いつの間にか紅葉がいない人生が想像出来なくなって…。 …想像したら怖くなった。 他の誰かに盗られるのも許せないし、変な話…事故とか病気で急に倒れても顔すら見れないなんてあり得ないと思ったし、2人でずっと一緒にいるための権利が欲しくなってって感じかな。普通の男女のカップルと同じようでちょっと違うのかもな。」 「…いや…重っ!!(苦笑) お前…クソ重いやつだな! 分かってたけど!(笑)」 ゆーじの返しに思わず2人で笑い合う。 でも話したのは凪の本心だ。 2人で一緒にいられれば幸せなのだと思えるし、2人で創る音楽は何よりも心地好く大切で…。 関係を公にしたからこそ、周りに認めてもらえるよう2人とも真摯に仕事に打ち込んでいる。 「まぁ、いきなり人生のパートナーとして考えるまでいかなくても、側にいて欲しいならゆーじから動かないと。 ちゃんと話して来いよ。 ゆーじ最近元気ないってファンの子も心配してる…。曲作りも行き詰まり過ぎだし…(苦笑) もうさ、養うからってこっち引っ張ってきちゃえよ(苦笑)」 「えぇっ?! それうまくいくかなー?(苦笑)」 1週間後… 「いらっしゃいー! どうぞー。」 「…お前…風呂上がり? ナチュラルだな(苦笑)」 ぞろぞろとみなと光輝の自宅を訪れると出迎えてくれたのは誠一だった。 カナに自宅を貸してる彼はこの家に居候している。 凪の指摘通り、違和感なく溶け込んでいて、実際家主(光輝)より在宅時間は長いかもしれない(苦笑) 「もー、大変だよ。 愛樹がジュース倒してさ…2L分(笑) 凪、鍋持ってきてくれたー? 何種類か作りたいから取り仕切ってね。」 みながやってきてそう言うとみんなでリビングへ向かう。 「おー。包丁とかも持ってきた。 せっかくだしみんなでやれば良くね?」 「そうだね。 じゃあここ2人に1つ任せるから宜しく。」 振り返って指示を出したのはゆーじと… 遠慮がちに彼のあとを歩くのはなんと要だ。 ゆーじは奇跡を起こしたようで、要は彼の手を取りすぐに引っ越しを決めた。(もちろん費用はゆーじ持ち。) 2人は改めてゆーじの自宅マンションで同居を始めることになり、今日はそのお祝いにみんなで鍋を囲むことになったのだ。 「え、俺ら?(苦笑)」 普段自炊しないゆーじは困惑していた。 「そう。 食べたければ働いて! ほら、サスケくんもジュース溢した床拭いてくれてるでしょ?(笑) あ!誰か愛樹の髪の乾かしといてー。」 「僕やるよー!」 「…似てる。」 長かった髪をバッサリと切ったみなはパッと見がますます紅葉と似ていて要は小さく呟いた。 ゆーじも頷いて2人で笑い合う。 「…だね。 ってか、賑やかだなぁ…(笑)」

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