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第170話(12月②)(3)※R18

玄関先に置かれた車のキーの下に何やら紙が置いてあった。 ドイツ語ということは珊瑚のメモだろうか…。 なんとなくしか読み取れないが、凪はすぐに紅葉を呼ぶ。 「紅葉! これ…!読んで?」 「何ー? …っ! レストラン…ディナー予約してあるって! どういうこと? えっと…"ジャケットいるならクローゼットの中…?飲むなら車は置いて行け。仕事終わりのアビーに迎え頼んである…"」 「……やられた…!(苦笑)」 「??」 紅葉はしばらく混乱していたが、どうやら翔と珊瑚からのサプライズプレゼントらしい。 まずはメモに書かれた店を調べ、街まではバスを使って移動し、街並みを眺め、こういうデートもいいねと話しながら2人で訪れると歴史のある外観とオシャレな内装の、でも堅苦しくまではない素敵なレストランだった。 店内は多くの客がいて、どうやら人気店のようだ。 クリスマスシーズンに予約を取るのは大変だっただろう… 実際、凪も何軒かチャレンジしていたのだが、全て満席だったのだ。 名前を告げると席に案内され、当たり前のようにシャンパンが注がれ笑顔のスタッフから結婚を祝う言葉をかけられる。 「…夢みたい…!」 「だな…(苦笑) 紅葉、改めてこれからも宜しく。」 「…こちらこそ…っ!」 2人は少し照れながらもグラスを合わせた。 豪華で美味しいディナーとワインも楽しんで、紅葉のすぐ下の弟、アビーに送ってもらった。 車内で翔に電話をかけて、改めてお礼を告げる。 「ビックリした?(笑) 美味しかったー?なら良かったー! …全然いーよ!めっちゃ世話になってるし! うちもサプリとラブグッズありがとねー! あと引き続き引っ越し作業宜しくー!」 「……うん。分かった。」 これはもう文句も言えなくなったしまったと苦笑する凪。 遠くからこどもたちの元気な声が聞こえる。 「なーぎー! 俺、明日はハンバーグ食べたい!」 「肉じゃがー!」 「コロッケはいつなのー?」 「はは…!分かったから。 ちゃんと作るよ。 ってか、お前らまだ起きてたの? ちゃんと歯磨いて寝ろよー!」 帰宅後はシャワーを浴びて、今日1日を振り返りながら話をしながら少し片付けを進め…客室へ。 「紅葉…?」 「大丈夫。…僕にさせて?」 珍しく自ら凪の上に身を置いた紅葉は積極的に行為を進める。 凪は浮かれるよりいつもと何かが違う紅葉が気になり、一先ず様子を見守ることにした。 紅葉のその表情はどこか不安そうで身体も緊張からか少し強ばっているように感じた。現に紅葉の指先は僅かに震えている。 「ん…っ、」 「っ! 紅葉…! バカ! まだ早い…! ちゃんと慣らさないと…!」 「もう大丈夫…! ……っ! な、んで? ごめんなさい…。 …上手に出来ない…!」 紅葉の大きな瞳に溜まる涙。 凪は身体を起こして俯く紅葉を優しく胸の中に抱き締めた。 「どーした? 一回落ち着こう? 紅葉…何焦ってる?」 「…っ! …結婚式…幸せで…!レストランも…! でも、みんな凪くんのこと大好きで、頼ってて…!それは僕にとっても自慢でもあるし、家族のみんなといられるの楽しいけど、凪くんのこと独り占め出来ないのはちょっと寂しくて…。」 「そっか…。」 「ごめんね…せっかく凪くんが僕の家族と過ごしたいって言ってくれたのにこんなこと言って!」 「いーよ。 俺も…紅葉が楽しそうなのは嬉しいんだけど、弟妹たちに少し嫉妬した(苦笑)」 凪はそう言って笑うと紅葉の髪に口付けた。 「ほんと? あの…珊瑚がね…!ずっと一緒にいるんだから飽きられないように努力しないとダメって。 …初心者ぶっていつまでも凪くんに任せきりじゃダメって言われて…だから…!でも上手にしなきゃって考えると余計上手く出来なくて…!」 「……なるほど。」 真面目な紅葉の言葉と先程の出来事に思わず凪は米神を押さえた。 「お前の気持ちは分かった。 けど…、SEXは2人でするもんだろ? 紅葉が積極的に求めてくれるのは嬉しかったけど、さっきみたいな不安そうな顔は見たくねーよ。」 目を見て話そうと凪に髪を撫でながらそう告げれると紅葉は少し落ち着いた。 その様子を見ながら凪は話を続けた。 「お前とのSEXは…気持ちいーし、独占欲丸出しなのは分かってるし、時には紅葉に負担かけるくらいだけど…(苦笑) でも好きだって気持ちとか、大事だって想う気持ちを伝えたいってのがあっての行為だと思うからさ…。 任せてくれるなら俺は全然いーんだよ。 珊瑚たちはなんつーか、アレが2人の当たり前なだけで…ちょっと刺激的だけどな?(苦笑) でも誰かと比べたり、技術を競うものでもないし…紅葉は何も焦ることねーよ。 そういう意味で飽きるとかはないっていうか…。あー、話の次元が違う感じ? とにかく…!俺はもう紅葉以外考えられないって思ってる…って伝えとく(苦笑)」 少し恥ずかしそうに言う凪が愛おしくて思わず抱き付く紅葉。 「…凪…!うん…、うん…! …ありがと…! そう、だよね…。 僕も…!凪くんのこと、大事だよ。大好き。 でもなんか…ずっと幸せで、嬉しいのに怖いんだ…。」 「…失くすことを恐れるのは愛してるからなんだって。でも、亡くしても愛は残るんだって。おじいちゃんが教えてくれた。 だから…ずっと一緒にいよう。 愛してる、紅葉。」 「…うん…っ!」

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