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第171話(12月②)(4)※R18

改めて誓いのキスをして、手を繋ぎ、抱き締め合った。 触れ合ったところから伝わる温もりに幸福と安心を覚え、見つめ合うと愛が溢れた。 さっきまで紅葉の中にあった不安や焦りは消えて、凪の腕の中で甘い声をあげた。 「凪…!」 「ん…?」 「大好き。 愛してる…! だから…お願い、早く僕の中に来て…っ!」 「…! お前ね…、そーいうこと言うと…! まぁ…今日のとこはいいや。(苦笑)」 咎めるのは止めて、2人きりの時間に集中することにした凪。 「あっ! んー! や…っ!凪…、やっぱ待って…! …ふ、ぁッ、…あ…っ!もうイッちゃう…っ!」 「…っく…! こっちも余裕ないから…、そんな締めんな…っ!」 「は、ぁっ! だめ…!あぁっ!」 「…ん。 あとはこのまま中イキしたらいーよ。」 紅葉の精がかかった腹部に指を這わせた凪は満足そうにそう呟くとそのまま律動を続けた。達したばかりで更に感度の増した紅葉の身体は跳ねるようにシーツの上を泳ぐ。 「あ、そんな…っ! ん、んーっ!やぁー…、あっ!無理…ッ」 「あー、かわいーな。」 凪は喘ぐ紅葉に口付け、髪がぐちゃぐちゃになるほど頭も身体も抱き締める。 「凪… ん…、気持ちいー……。 もっと…欲し…い、かも…! でも…明日お出かけ出来なくなっちゃうかなー?」 「…いいね。 やっとハネムーンっぽくなってきたな(笑)」 そんな凪の台詞に笑い合い、2人の長い夜は続いた。 「ねーむーいー…。」 「…紅葉、頑張って。 手動かして。 終わらないとお墓参りもクリスマスマーケットも行けないぞ?」 「はぁい…。」 さすがに凪も眠気と闘いながら車に荷物を運び込んでいる。引っ越し作業も佳境だ。 果たして今年中に終わるのか… 昨夜は紅葉を抱えたまま眠り、朝6時にお爺ちゃんからの電話で起こされた…。 何事かと思えば味噌汁をご要望だったようで、さすがに朝ごはんには間に合わないのでお土産用のインスタントで我慢してもらう…。 凪のスマホには義弟の義からお節の注文が前年より少し多いので宜しくお願いします。と連絡が入っていた。 …なんとなく不安になり、母の早苗に確認したところ少しではなく2倍増だと判明…。 続いて光輝からも年明け以降のスケジュールがどんどん送られてきていて凪は思わず帰国したくないな…なんて思ってしまった。 「やっとお墓参り行けるね! クリスマスマーケットも楽しみー! お義母さんたちにお土産買えるかな? フィンたちにお菓子とかのお使いは頼んだけど、やっぱり自分たちでも何か選んで買いたいよね! あ、あと平ちゃんと梅ちゃんのお土産は何にしようかー?」 紅葉は楽しそうに話してる。 そうだ。帰ったら仕事は山積みだけど、待ってる人たちがいる。 こっちにいられるのもあと2日…。 紅葉は自分以上に複雑な心境だろうと弱音を吐くのは止めた。 「紅葉ー? 今夜は翔くんと珊瑚がデート出来るようにしようか。」 「っ! 賛成ー!クリスマスイヴだもんねー!」 紅葉の笑顔は日本でもドイツでも変わらない。2人はキスを交わして作業を進めた。 「寒…!」 「ほんと! 冷えるね。 …こんなに寒かったんだなぁ…。」 両親と祖母の眠る墓地へ向かう坂道。 吐く息も白く、紅葉はしみじみと故郷の寒さを肌で感じているようだ。 お供えの花束も肉じゃがも半分凍っているかもしれない…。 それでも心を込めて2人で手を合わせた。 すっかり日本式のお参りが板についた紅葉。 「お父さん、お母さん、おばあちゃん…! ただいま。 僕ね…、今とっても幸せだよ。」 そう言って微笑む紅葉の肩を抱く凪…。 その後、凪は心の中で祖母へ会いにくることが遅くなったお詫びを伝え、改めて紅葉と幸せになると誓いを立てた。

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