167 / 226
第175話(12月③)(1)
帰国後…
大阪のラジオ局
「本日のゲストはLINKS、そしてLIT Jのドラム凪くんでーす!
なんと海外から帰ってきたばかりだって!
お疲れのとこ無理言って来てもらったよ!
むかーし、僕がバンドやってて、凪くんがLINKSの前のバンドの時にちょっとだけ対バンしたことあるんだよね!
そんなご縁でお呼びしたら来てくれました!義理堅いよねー!
すっかり有名になっちゃって!
どうも、宜しくお願いします!」
帰国した足で先輩ミュージシャンのラジオ番組にゲスト出演する凪。
急な出演依頼で迷ったが、昔ご飯をご馳走になったり世話になったのでなんとかスケジュールを捩じ込んだのだ。
「あはは。大木さんお元気そうで…!
まだ時差ボケで…噛んだらすみません(苦笑)
宜しくお願いします。」
「どこ行ってたのー?って早速質問きてますよー。あ、ってかお土産は?」
「…うん、あとで渡しますね?(笑)
いやー…寒くてビビりました…(苦笑)
ビールとワイン、ソーセージが美味しい国で、ずっと料理して、何でか引っ越しの手伝いしてたかな…(苦笑)」
「おー!やっぱあの子の地元かぁ!
ずっと料理?(笑)
全然ミュージシャンらしくないけど大丈夫そう?」
「いや、…向こうのバンドに知り合い?ってか身内がいるんで一緒に飲んだり、向こうの流行り教えてもらったり、喋ったり、飲んだり…いや、結局飲んでばっかでしたね(苦笑)
だから帰ってきてすぐスタジオ入って…で、ここに来ました(笑)」
「えっ?
帰国してすぐスタジオ?どんだけ?(苦笑)」
「いや…帰国したら何食べたいとか話してるうちに音合わせしたいって話になって…。
食べ物は…別に後でもいいかって。
…んで、ローディーにすぐスタジオ押さえてセット組んでおいてって連絡して…(笑)」
連絡を受けたRyuは青ざめていたとか。
師走なのに急な仕事でてんてこ舞いだったらしい…。
でもそれだけ紅葉との練習は日課だったし、この休暇中何かが足りなかったとしたら紅葉と奏でる音楽だった。
3時間程スタジオに籠っていたが、移動の疲れも吹き飛ぶほど楽しくてあっという間だった。
因みに紅葉は凪がこの仕事に行った後も一人スタジオに残りヴァイオリンの練習をしている。
「マジかー!スゲーね!
そんなお疲れのとこホントごめんね?(苦笑)
多分、向こうに行ってる間にかな?
LINKSの曲がだいぶヒットしてるけど…ご存知?」
「あー…そうらしいですね。
数字の報告は聞いてますけど、SNS断ちしてたからまだ実感なくて…(苦笑)」
「気取らないとこがまたイケメンだな…!
ホント…イイ男になって……くっ、惚れるよ。」
「あ、ごめんなさい、パートナーいるんで。あとタイプじゃないっス(苦笑)」
「おー!いいね、ズバっと切るとこがステキだねー!(笑)」
冗談を交えつつ、楽しく番組は進む。
放送後、迎えに来てくれた紅葉を紹介する凪。
「大木さん、うちの紅葉。
宜しくお願いします。
紅葉、昔世話になった大木さん。
ベースやってて、今はラジオDJなんだ。」
「初めまして。LINKSの紅葉です。
凪くんがお世話になってありがとうございます。これ、お土産です…!ドイツのお菓子とオススメのバンドの音源です!
良かったら…!」
「わぁー!ありがとう。
ホント美人さんだねー!
ってか、これ…翔のバンドのでしょ?(笑)」
「あはは…!
でもホントいいんで、聴いてもらって良かったらラジオで流して下さいよ。」
「上手いなぁー…」
「あの…実はさっき大木さんのバンドの音源検索して聴きました!すごい太い音が印象的で…カッコ良かったです!」
「…ありがとう。
…やだ、可愛いぞ、この子…。」
「…あげませんよ?(苦笑)」
凪が牽制して、笑い合う3人…。
またの再会を約束して局を後にした。
ともだちにシェアしよう!