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第176話(12月③)(2)※微R18

その後… 凪の実家へ帰宅した2人を家族が温かく迎えてくれた。 「おかえりなさい。」 「疲れたでしょう? お風呂すぐ入れるよー。」 「お疲れ様ー! 平九郎と梅ちゃんめっちゃ喜んでるねー!」 喜びを全身で表してくれる愛犬たち。 とても元気そうで、安心した。 「「ただいま。」」 2人はそう言うと、まず平九郎と梅をたくさん抱き締めてたくさん撫でた。 久々の再会に紅葉は涙目になりながら、2匹に顔中を舐められていた。 「楽しかった?またお話聞かせてね。 凪、こっちのことはいいから今日明日はゆっくり休みなさい。」 早苗は紅葉とハグを交わし、凪にそう言ってくれた。しかし、新しい板長はなかなか癖があるようで義が厨房の手伝いに入るくらいヤバい状況だということは聞いている…。 凪はひとまず頷き、義父と共に自室に荷物を運び入れる。 「紅葉くん、新しいパジャマ、可愛いの見つけたから買ってあるのよ。 水通しも済んでるからすぐにでも使ってね。暖かいと思うわ。」 「わぁー!ほんと? ありがとう、おかーさん! どんなのかなぁー?楽しみ!」 「ふふ。絶対似合うと思うの! あ、お腹は空いてない? 何か食べたい物があったら言ってね。」 「今は大丈夫ー! 明日は朝御飯に玉子焼き食べたいっ! あと納豆とほうれん草のお味噌汁でお願いします!焼いた魚か海苔もあれば嬉しい!」 「あらー、そんなのでいいの?ふふ。 分かったわ、日本食ね。」 「あ、おとーさん! 手作り凧大人気だったよー! あれスゴいね!すごーく飛ぶの! 僕も作りたいー! 義くん! お土産のお菓子摘まむー?」 「それは良かったよー。 じゃあお正月明けたら一緒に作ろうか。」 「お、いいねー!」 「…元気だな……。」 実家の家族に馴染み過ぎている紅葉を見て凪はポツリと呟いた。結局紅葉を独り占め出来たのは移動中とスタジオだけだ。 それが不満な訳ではないが、なんとなく腑に落ちなくて頭をかく凪。 そしてくるくる…と、自身の周りを嬉しそうに歩く愛犬たちを見てふと思った。 「ちょ…、食べさせ過ぎてねぇ?」 「…へへ…?」 義父の反応に今度はため息をつく凪だった。 やっとマシンガントークが終わって、家族が眠る時間になる。 「凪くんー! お風呂! 貸し切りの入っていいって! 一緒に入ろう?」 「あー……。 今日は止めとく。 紅葉が入りたいなら前まで送るよ。」 「…? 疲れてる? 具合悪い?大丈夫? ごめんね、僕…はしゃぎ過ぎた?」 「ん? あー、平気。 いや、違…。 正直…今紅葉くんの裸見たらガッついちゃいそうなんで(苦笑)」 「っ!!」 結局、新婚旅行なのに肌を合わせたのは1度きりであとは健全に…キスとハグくらいだった2人…。 もちろん心は満たされたけど…、部屋に2人きりというだけでなんだかそわそわしている。 なんかの拍子にタカが外れるような気がするのだ。 「えっと…じゃあ……」 「ここ(実家)じゃ、セーブしないとだし、声とか気になるでしょ?(苦笑) だから…まぁ今日は遅いし、お互い我慢しよ?」 「ん…。 分かった。」 紅葉を貸し切り風呂へ送り、鍵がかかったのを確認する凪。 一応ホテルを検索するが、時期が時期なのでなかなか難しく…凪は頭を悩ませていた。 ラブホテルという手もあるが…まぁ、もう少し考えてみるつもりだ。 というか、遊んでる暇はなかった。 なんとかして予約済みお節を作らないと…。 凪は材料とレシピ、担当表の確認を始めた。

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