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第187話(2月)(1) ※微R18
2月上旬…
年末年始とずっと2人で一緒にいたので、仕事を再開して離れる時間が出来るとなんだか落ち着かなくて変な感じがした。
凪はバンドを掛け持ちしているし、紅葉にはモデルやヴァイオリンの仕事もある。
今までだってずっとそれが当たり前だったのに、紅葉はまるで幼子のように同じ空間に凪がいないことが寂しくて仕方なかった。
そして今日はLIT JのLIVEとインストアイベントで凪が大阪と京都へ行く日。
「LIVE…見に行けないけど、頑張ってね!
あ、ヒートテックとカイロも入れたからね!
寒いから風邪ひかないようにしてね…?」
「…ありがと。
紅葉もちゃんと暖かくしろよ?
節分のイベント、上手く行くといいな。」
紅葉は都内でこども食堂の手伝いやこども向けの節分イベントに呼ばれていて、今回は愛犬たちとお留守番の予定だ。
凪の移動に合わせて実家に愛犬たちを預けて、紅葉はイベント後に新幹線で追いかけることも考えたのだが、そろそろ愛犬たちも高齢になってきている。まだまだ元気だが、長距離移動の負担をかけないよう2人で相談して決めたのだ。
「うん!
大丈夫!
恵方巻きも教えてもらって、練習もしたし!」
「そっか(笑)
じゃあ楽しんで頑張れ。」
凪は笑っていつものように紅葉の頭をポンっと撫でた。
「うん…。
…夜通話出来る?」
やはり寂しいようで、紅葉は凪のコートの端を指先で持ちながら訊ねた。
「ん。
タイミングみて連絡する。」
パートナーとして周囲にも認知されたので、L誰に気兼ねすることなく連絡出来るのだ。
「んー…!
でも…やっぱり寂しいなぁ…。」
無意識なのか気付けばすぐに袖を掴まれ、うるうる目の紅葉を前に凪はなかなか玄関を出られなかった。
「……。なるべく早く帰る。
LINEも入れる。電話も。
…平九郎と梅のこと頼むな?」
「うん…!ん…っ。」
名残惜しくて何度もキスを交わしていると、昨夜の熱が振り返しそうになる…。
昨日もミーティングや取材があり疲れていたが、離れることが分かっていたので互いを求めるのを止めることは出来なかったのだ。
「ん…っ、凪…!」
「紅葉…ッ!」
その時、
凪のスマホが鳴った。
相手はサスケ。
「そろそろ出発するよー?
ラブラブチュッチュッ終わった?
1ヶ月とか1年離れるわけじゃないよ?
3泊4日だからね?(苦笑)」
バンド車を待たせているようで、凪は「…すぐ行く」と手短に答えた。
「続きは帰ってからな?
…行ってきます。」
「ん、行ってらっしゃい。」
最後にもう一度キスとハグをして、凪は愛犬たちにもハグをし、「イイコにしてろよ。」と言った。紅葉は笑顔で手を振り車が見えなくなるまで凪を見送った。
家に戻った瞬間から寂しくて、平九郎と梅を両脇に抱えてちょっとだけ泣いた。
愛犬たちが目尻に溜まった涙を舐めてくれる。
「へへ…っ!
大丈夫だよー!
さぁ!僕も支度しないと!」
紅葉は気合いを入れて立ち上がった。
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