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第188話(2月)(2)
イベント先の会場に到着して、車を停める紅葉。何気なくスマホを見ると早速凪からLINEが来ていた。
その履歴を見てまた気付く。
「そっか…、ずっと一緒だったから…凪くんとLINEするの久々なんだ…!
えっと…!
わぁー!」
読むと、葵経由で紅葉の親友であるユキと話をつけてくれたらしく、家に泊まりにきてくれるからイベントが終わったら迎えに行ってやって、夕食は池波も誘って3人で食べたらどうか?という内容だった。
ユキとも会いたかったし、たくさん話したいことがある。親友と過ごせるなら寂しくないどころか今からめちゃくちゃ楽しみだ。
「すごい、考えてくれて…優しー…!
嬉しい…。」
凪の優しさに感謝して、ありがとうと大好きのスタンプを返す。
凪のおかげで紅葉はイベント中、終始明るい笑顔でこどもたちと過ごすことが出来た。
「こんにちは!
紅葉先生だよー!
今日はみんなで節分のお豆みたいなおもちゃを作ろうね!中に鈴を入れるよー!
ふわふわだから当たっても痛くないからね!
でも鬼には効くよ!(笑)
あと、お昼は恵方巻きっていう海苔巻きを作って食べようね!」
イベントは大成功だった。
夕方…
「ユキくん!
久しぶり!
…猫ちゃんたちはお留守番で大丈夫なの?」
「久しぶりー。
うん。さっきまでたくさん遊んだし、
ご飯とトイレ自動でモニターもあるから。
ミルク(白猫)もカカオ(黒猫)もラテ(黒と白のハチワレ)も疲れて寝ちゃった。」
いつの間にか3匹にまで増えた葵とユキの愛猫たち。
キャットタワーや、キャットウォークなども揃え、かなり快適な暮らしをしているようだ。
「そっか。また見に行ってもいい?
マスクしてたら大丈夫だから…」
軽い猫アレルギーのある紅葉。
でも猫も好きでいつもユキの撮った写真や動画を見せてもらってるのだ。
「いいよー。あ、明日来る?」
「うん!猫ちゃんも可愛い!
あ、晩ごはんはお鍋でいい?」
「いいね。
お土産、沖縄のお菓子たくさんあるよ。」
「やった!
僕も!ドイツのお菓子たくさんあるよ!
これはもう…」
「「お菓子パーティーだね!」」
2人の声と笑顔が揃った。
隣人であり元大家の池波氏と3人で楽しく鍋を囲み、賑やかな夕食となった。
紅葉が愛犬たちと散歩に行ってる間にユキにはお風呂に入ってもらい、少し身体を休めてもらう。
心臓に持病のあるユキはやはり寒いとあまり調子が良くないそうだ。
葵からも凪からもなるべく部屋は暖かくして欲しいと言われているのでいつもよりエアコンの温度を上げている。
「平ちゃんたちは暑いくらいかな?
あまり遅くならないでお開きにするからね。」
窓際に小さなサーキュレーターを置いて涼めるようにし、紅葉もお風呂を済ませるとソファーでユキとお喋りを楽しんだ。
「今日、要くんは?」
ユキからゆーじの恋人は誘わなかったのかと問われ、紅葉は答える。
「んとね、LIT Jに着いてった!
けど、ゆーじくんとは別々で…。
バイト頑張るって!
凪くんの実家の旅館で働いてるんだよ!」
「そうなんだ。
すごいね。頑張ってるんだ。」
ユキは感心したようにそう話す。
「まだ本格的なバイトは不安みたいなんだけど、もうすぐゆーじくんの誕生日とバレンタインがあるから頑張るんだって!」
「カッコいいね。」
「ねっ!あ、お義父さんたちも助かってるって。」
ちょうど来たLINEに微笑む2人。
義理両親のところなら年始に少し手伝った経験もあるし、要の体調を見ながら仕事内容も変えてもらえるようにお願いしてあるので安心だ。
それから、それぞれ沖縄やドイツでの想い出話で盛り上がる。
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