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第190話(2月)(4)
音楽に没頭している間は良かったが、寝て起きたら凪の帰宅まではまだ1日以上あって、一気に寂しさを感じ始めた紅葉。
仕事が入っていれば良かったのだが、オフなのでどう過ごそうかと考え始めるが、久々に全力で音作りをしたせいか頭が回らない。
みなに作ってもらったご飯を食べて、愛樹をいっぱい抱っこさせてもらって、平九郎と梅と遊んで…楽しいのに元気がでない…。
みなは凪が帰るまでいていいと言ってくれたが、彼女の家族があって生活があるし、これ以上音作りも難しそうだったので愛犬たちを連れて自宅へ戻る紅葉。
イベントの振り返りをしながら好きなアニメを見たり、のんびりと過ごす…。
「もー、ダメだ。
何したらいいか分からなくなった!
よーし!
…だらだらしよう!」
控えめのエアコンと床暖房をつけ、愛犬たちの間をゴロゴロ転がったり、文字通りひたすらだらだらする紅葉。
しばらくうとうとしていたらしく、ふとスマホの点滅に気付いた。
「…凪くん…?
…やったー!」
連絡は凪からで。
大阪でのインストが順調に終わったのでこれから帰るという内容だった。
「2人ともー!凪くん今日中に着くってー!
夜ご飯うちで食べるかな?
軽いものなら用意してもいいよね?
え、何作ろうー!
凪くん何食べたいかなぁー?
お散歩とお買い物行かないとね!
あ…その前に片付けっ!」
凪に会えると分かった瞬間、元気になる紅葉。
鼻歌まじりに生き生きと動き始めた。
22時を過ぎてそわそわする紅葉。
凪の帰りが待ちきれない様子だ。
「結局またお鍋にしちゃったけど…。
え、どうしよ?物足りない?
他にも何かあった方がいいかな?
お肉でも焼く…?」
迷いながらキッチンを行ったり来たりしている。
「お風呂は沸かした…!
え、先に入っておいた方がいいかな…?
一緒に入りたいけど…疲れてるだろうし…!
そういえば…続きは帰ったらって言ってたし、えっと…準備だけでも…しておいた方がいいかな…?」
でも最近ずっと凪任せなので、自分で出来るか心配になる紅葉。
結局、上手く出来なくて落ち込むのは避けたいと凪の帰りを待つことに。
「今日するか…分からないもんね…っ!
ふぅ…、顔熱…っ!」
変に興奮してしまったようで、紅葉は手で顔を扇ぎながら深呼吸をした。
車の音に反応する愛犬たちに気付いた紅葉は玄関に走った。
ガチャ…と、扉が開くと同時に飛びつく。
「お帰りなさいっ!」
「っと…!
危ね…!(苦笑)」
荷物で両手が塞がっている凪は、首にくっついた紅葉をなんとか支えて苦笑した。
「んー!凪ーっ!」
早速キスの嵐を送る紅葉と、興奮した様子で凪を囲み、時々前足を凪に掛けて立ち上がる平九郎と梅。
一人と2匹の体重を受け止める凪。
「全員落ち着け?(苦笑)」
「ちょっとー?
すみません、俺もいます!
荷物持ちのサスケくんですよー!」
「っ!」
恥ずかしくて固まる紅葉を玄関に降ろして、サスケから受け取った荷物を部屋に入れる…。
「いいねー、みんな待ってる人がいてさ…。
少しは独り身の俺に遠慮しよ?お願い!」
切実な訴えにさすがに申し訳ない気持ちになる紅葉。
「サスケくん!
お疲れ様…!
えっと…、ご飯…食べてく?」
「大丈夫だよ。
大人だからね、俺だって空気くらい読めるよ…!」
半泣きのサスケに紅葉は慌てて告げた。
「サスケくん!
あやなちゃん、
受験終わったから会えるかもよ!
カナちゃんとTDL行ってたみたいだけど…、TDSも行きたいって言ってた…!」
「マジかっ!
ヤバっ!デートしてくれっかな?」
「…とりあえず連絡してみたら?
じゃあお疲れサスケー!」
流れでサスケを帰した凪はリビングに移動し、改めて紅葉を抱き締めると「ただいま」と言ってくれた。
紅葉が凪にお帰りーと、キスをして抱き合い、いい雰囲気になっていると愛犬たちも群がってくる。
「おっと、ちょ…っ!
お前ら押すな…(笑)
わーっ!」
「わぁーっ!
あははっ!」
みんなで仲良くリビングに倒れ込んで笑う。
平九郎と梅も凪が帰ってきて嬉しいのと、凪と紅葉が遊んでいると勘違いしているのか、尻尾を振りながら2人を舐め回して大興奮だ。
「あはは!
くすぐったーい!」
「ちょっと…(苦笑)
もーう…お前らねぇ…!」
さすがの凪も笑うしかなかった。
でも家族が揃った嬉しさと安堵感は唯一無二だ。
「…なんかいい匂いするな?
作ったの?」
「お鍋だよー。
食べる?」
「食う。
紅葉は?もう食べたのか?」
「夕方おにぎり食べたけどお鍋はまだだよ。
一緒に食べよう!」
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