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第191話(2月)(5) ※R18

平九郎と梅にも凪が買ってきてくれたお土産のおやつを与えて、遅めの夕食。 「じゃーんっ!」 紅葉は冷蔵庫からビールを取り出し、凪に渡した。 「お。高いやつ。 気が利くなー。」 「お疲れ様ー!」 電話とLINEでは伝えきれなかった話をしながら鍋を囲み、いつも通り一緒に入浴。 お風呂では何もなくて、 でも湯上がりに「もう一杯ビール飲む?」と凪に聞くと「…抱きたいから水で我慢して?」と耳元で囁かれ、紅葉は危うく高いビールを床に落とすところだった。 おやつに満足したのか、愛犬たちはぐっすり就寝中…。 紅葉は少し緊張しながら、凪に手を引かれ寝室への階段を上る。 「紅葉…!」 先にベッドに座った凪はポンと手でベッドを叩き、紅葉に座るよう呼んだ。 「ぁ…。」 紅葉はドキドキしながらベッドに歩み寄ると、座る前に手を引かれ、押し倒されて唇を塞がれた。 「っ?! ん…ッ、んん…っ!」 「悪いけど…ちょっと余裕がないから協力して?」 紅葉の右手首を押さえ、服を剥ぎながらそう告げる凪。 紅葉は少し驚きながらもコクっと頷き、凪のシャツに手をかけた。 そして… これはヤバい…と、紅葉が気付いたのは、身体を繋げた瞬間だった。 「アッ! だめ…っ! 凪ッ! んぁっ、アー…!ん、く…っ、ぁあっ!」 いつもより早急な前戯の後、なんだかいい匂いのするジェルをたっぷり使われて凪を受け入れるといきなり両足を抱えられ、まるで身体を折り畳まれるように真上からの激しい注送に一瞬紅葉の呼吸が止まった。 「紅葉、息して…。 次、全部挿れるよ?」 「い、やぁーぁッ!」 気持ちいいよりも苦しい程に最奥を攻められて紅葉は生理的な涙を流しながらも、必死に凪にしがみついた。 これは… これだけ激しいのはLIVE後のSEXの時だと分かった。LIVEで、アドレナリンが大量にでて、今夜の行為は興奮が覚め終わらないうちに求め合う時と似ている。 「紅葉…! あー、長かった…。 お前に会えない間、俺の中でずっと何かが物足りなかった。」 「なぎ…」 凪にとって紅葉は最大の癒しで、一番の理解者でもあるのだ。 離れている間、凪はずっと仕事モードから抜けられず、LIVE後の興奮も消化出来ずにいたようで… それが行為の激しさに繋がったようだ。 紅葉にはLIVE後の興奮はなくて、アルコールの影響も…ビール一缶じゃ酔うほどではない。 凪に会えた嬉しさからの興奮はあるが、凪程ではないし…でも凪の気持ちは嬉しくて…いろいろと混乱しながらも全力で彼を受け入れようとしていた。 「あっ!凪…ッ あ、あっん! お願い…、ちょっとだけゆっくり…!」 「ごめん、無理そう… 後で殴っていーから…」 「や、やぁッ!んー ぁん、あー…っ、あッ、 ダメぇ、あ、凪っ! イク…!」 紅葉が達している間も止まることなく攻められて、悲鳴をあげながら連続でイかされた。 凪もイッてくれたようだが、ゴムを変えるとすぐに後ろから挿入され驚く紅葉。 「あ、だめ…! 休憩…!」 「…あとでまとめて。」 そんな…と思いつつ、奥まで感じる凪の熱に喘ぐ紅葉。 「は、ぁんっ んー…、ぁ、ぁ…!」 「気持ちい? もう少し腰上げて? そう…。 」 「ぁー…、んぁあっ! あ 凪…!いや、ぁ、あ…ん!」 途中から何度目か数えるのは止めた。 これだけ求められて、改めて愛の深さを知った夜だった。 翌朝… 「ごめん…紅葉…。 さすがにヤリ過ぎた…! 身体、大丈夫…?」 「ん…、いーよ。 大丈夫だよ…僕も丈夫になってきたし! でも次は優しくて甘ーいのにしてもらうからね! 凪こそまだ眠いんじゃない? 疲れてるでしょー?」 申し訳なさそうにする凪に、明るくそう言って起き上がるとガクガクしている膝と腰を無視して身支度を始める紅葉。 今日はみなとCM発表の取材仕事だ。 なんとか頑張るしかない。 「疲れてるけど、いろいろ補給出来たから大丈夫。後で寝る。 メシは? 食えそう?」 「うん…っ!」 手早く、昨日の鍋の残りで雑炊を作ってもらい、フルーツもたくさん。 「そーいえば、久々に一人寝したせいかな…紅葉たちを手のひらサイズにして持ち歩く夢みたよ。」 「ホント?(笑) なんか可愛い!面白いねー! 今度紙粘土とかで作ってみようかなぁ?」 「マジで? じゃあそれ持ち歩くよ(笑)」 2人で過ごす穏やかな朝の時間はキラキラと輝いてみえた。 END

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