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第192話(2月②)(1)

2/12 都内 LIT Jインストアイベント 短期間に大阪、京都、名古屋でのLIVEを終えたLIT Jはこの日は都内で新曲のインストアイベントを行う。昼前に1ヶ所終えて移動し、今は午後のイベントまでの空き時間… 「お疲れ様ですっ!お邪魔します! 凪くーん、ご飯だよー! 間に合った?!」 バタバタと手作り弁当を手に楽屋に駆け込んで来たのは紅葉で、PC作業中だった凪は思わず吹き出した。 「紅葉…っ!(笑) わざわざありがと…。 これ、こっちきて資料見てくれる?」 「はぁい!」 イベントの前に別の仕事(LINKS関係)をするくらい凪は忙しい。 そこへやってきたのはLIT Jギターのサスケ。 「おー、紅葉くん! 何、愛妻弁当持ってきたの? えー、いいなぁ。 なぁRyu…、俺らも食いたいね。」 凪の後輩Ryに同意を求めるが… 「…サスケ兄さんすみません、俺も弁当あるっス。うちの奥さんめっちゃ料理上手いんですよー!」 「……。」 泣きそうな勢いでテンションの下がるサスケに凪はおにぎりを1つ差し出した。 「…食っていいの?やった! って…デカっ!(笑)」 紅葉特製巨大おにぎり(コンビニおにぎりの4~5倍サイズ)に驚き、笑うサスケ。 因みに具はウインナー、鮭、昆布、おかかがいい感じの配置で詰められている。 近くで打ち合わせの仕事前に寄ったという紅葉も凪の隣でお弁当を食べ始める。 「ねぇ、この服…変じゃない?」 「ん? …可愛いじゃん。 似合うよ。 あ、これ旨い。」 最近はジェンダーレス的なシンプルな服装が多かったのだが、それは自分が女の子っぽい格好をすることで一緒にいる凪が変に思われないか心配で…誰かに何か言われて彼にまで嫌な思いをさせたくなかったからだ。 でも凪は本当は紅葉が外でも可愛い服も着たいことを察してくれていて、TPOと足の出しすぎだけ気をつければ好きな服着たらいいよと言ってくれた。だから今日は久しぶりにガーリー系な服を着てみたのだ。 可愛いと言ってもらえてご機嫌な紅葉 おにぎりとは別で用意した明太子入りの玉子焼きも褒められて嬉しい限りだ。 「本当?良かった…。 あ、それ…ちょっと焦げたけど…!」 「へーき。 …それよりさっきまたくん付けしてたけど?」 「……。 え、今ー? もうー…!」 凪の頬にペナルティのキスを贈る紅葉は恥ずかしそうだが、凪からもキスを返されるとやっぱり嬉しそうだ。 「ちょっと…すみません、お二人さん…。 イチャイチャが過ぎませんか?」 「気にすんな。 紅葉、今日打ち合わせだけ? 会食ないなら焼き肉行く?」 「っ!行くーっ! 多分僕の方が先に終わるから、一回帰ってお散歩行ってくるね。」 「無理しなくていーよ。 帰ってから一緒に行こ。」 「んー…、じゃあ少しにして、ご飯あげてくる!夜また一緒に行こう。」 「仲良しだねー。 えー、焼き肉いーなー。 ってか、2人外食珍しいよね。 たまには俺らとも一緒にご飯行こうよー。 そしてたまには俺の話を聞こう?」 サスケがおにぎりを頬張りながら切なそうに言った。 「え、打ち上げの時じゃダメ?(苦笑) …どーする?」 「一緒でもいいよー!楽しそう! ふふ、焼き肉はね、お留守番のご褒美なんだー!」 ご褒美というか例の夜のお詫びも兼ねての凪から提案だったが、賑やかな夜になりそうだ。 「ふーん、ご褒美? あ、今日焼き肉行く人ー?」 サスケは早速メンバーを集めに行ったようだ。その背中に凪が声をかける。 「サスケー? 俺ら明後日イベントで明日も準備あるから早めに切り上げるよ? お前残って面倒見てよー? あ、あとプレゼント用のチェキのサイン、他のメンバーにも書くように言って!」 「了解ー! お、ゆーじ! 聞こえた?サインだって。 あと、今日焼き肉行く?」 「んー。…行こっかな。 要くん夜勤バイトだし。」 「おー!スゲー頑張ってんね!」 「スゲー心配だよ(苦笑)」 バレンタイン直前、チョコを発送するバイトらしい。紅葉が羨ましがっていた。 「焼き肉?あー、行くよ。 夕飯いらないって言っちゃったし。 早めに帰るけど。」 「俺も…。Ryuも来いよ。肉だぞ。」 「奢りですか? とりあえず奥さんに聞いてきます。」 マツと葵、Ryuを始めとしたスタッフも何人か参加するようだ。 「じゃあこれで。光輝にデータ送っとく。 あ、Ryu悪い、タクシー手配してやって。」 何点か確認事項をチェックした凪はメールを送り、時計を確認した。そろそろ紅葉も移動しないといけない時間だ。 「すぐだから大丈夫だよー。」 「アホ。こんな可愛い格好して出歩いたら危ないだろ。」 真面目に呟く凪が可笑しくて、でも嬉しかった。 「ふふ…、ありがとー。 イベント頑張ってね!」 「紅葉も。気をつけて。」 こうして2人はそれぞれの仕事へ…。

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