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第195話(2月②)(4)
はしゃぎすぎたのか、ハウスと外の寒暖差のせいか…
イベントが終わってからの帰り道、紅葉には風邪症状が出ていた。
「は、ん、っくしゅぅ!ん!」
先程から独特なくしゃみを繰り返す紅葉。
「…大丈夫?
もうちょいでパーキングだから。」
高速車を停めて体調をみれば、普段より少し高い体温…寒さを訴えてダルそうな様子だ。
「寒くない?
飲み物とか買ってくるから後ろで寝てな。」
凪は車に紅葉を残し、急いでポカリやゼリー、冷えピタ、マスクを買い込みに行く。
「腹壊すなら分かるんだけど…冷えて風邪ひいたのかなー…。」
イベント後に農園のご好意でメンバーとスタッフは少し苺狩りをさせてもらい、紅葉は売店で苺味のソフトクリームも食べていた。
もちろん凪の作ったパフェと自作のタルトもパクパクと完食…。
車に戻ると紅葉は申し訳なさそうに告げた。
「ごめんねー。ありがとう。
凪くんは大丈夫?」
「平気。
いいから着くまで寝てな。」
一方、イベント中タンクトップだった凪。
さすがに外ではコートを羽織っているが、ピンピンしている。
帰宅後は紅葉の看病と愛犬たちの世話で大忙し…。苺の染みと泥のついた紅葉の服を手洗いすることも忘れない。
真冬日の夜の散歩。
外は0℃以下なはずだがずっと動き回っているせいか寒さは感じなかった。
「暑っつー…!(苦笑)
ん?
誠一?お疲れ。どーした?
えっ?!熱?マジか…!
何度?…は?体温計ねーの?(苦笑)
頭痛と寒気か…。
紅葉もなんだよ…。
…ん、いーよ。気にすんな。
薬とか…ねーよな(苦笑)
終わったらなんか適当に届けるから…!
とりあえず水飲んで寝てろ!」
そんな中、受けた電話は誠一からで、高熱のため深夜のラジオ出演を代わって欲しいという内容だった。
紅葉も体調不良だと伝えるとじゃあ光輝にと言い出したが、愛樹も風邪気味だからみなは先に帰ると言っていたのを思い出して凪は自分が動くことにした。
「ごめん…、急用なんだ。
帰らないといけない…。
散歩また今度な…。
よし…、走るぞ!」
話したこと全てを理解してもらえるとは思ってないが、自分に従ってくれる平九郎と梅との絆は確かに感じている。
凪は2匹を連れて走り出した。
なんとか代理のラジオ出演を終え、24時間営業しているドラッグストアで買い出しを済ませ、誠一の住む高級マンションへ寄る。
なんとかオートロックと玄関の電子キーを解除した誠一はふらふらで、今にも倒れそうで慌てて支えた。
「ごめん、迷惑かけて…!
ありがと、あとは適当に置いておいてもらえたら大丈夫…。
紅葉くん心配でしょ?」
「いや、大丈夫じゃねだろ…。
紅葉はお前より酷くねーよ。
さっきペットモニターで見たけど、よく寝てるし大丈夫。
倒れる前に連絡くれて良かったよ(苦笑)」
咄嗟の機転で凪は仕事へ向かう前にペットモニターを寝室に移動させて、紅葉には解熱剤も飲ませ、書き置きもポカリも残してきたのだ。
紅葉と同じ要領で(まぁ、紅葉にするほどの甘さはないけど)誠一の看病もしていく凪。
買ってきたばかりの体温計で測ると熱は39℃もあり、驚いた。
とりあえずポカリとゼリー飲料と薬を飲ませ、冷えピタをして寝かせる。
冷蔵庫を拝借すると、相変わらず中は酒と水、炭酸水、ジュース、チーズ…
今日もらった苺が入ってるのがやけに目立っていた。
冷凍庫に保冷剤がいくつかあったので、ペーパータオルにくるんで誠一の脇の下へ差し込む。
苺は洗ってヘタを落としすぐ食べられるようにし、フルーツ缶やポカリを冷やしておく。
お粥と雑炊はレトルトのもの買ってきたのでキッチンに並べた。本当は手作りしたかったが、この家には米がなかった。
気付けばもう明け方だ…。
光輝から電話が入る。
「あ、光輝?お疲れ。
大丈夫、仕事は無事終わって誠一の家来てる。
いや、フォローしてくれたし、問題なかったよ。
誠一? 39℃!
とりあえず薬飲ませて寝かせた。
あー、そっか。インフルじゃねーといいけど。朝様子見て病院だなー。
確かに…明後日のコンペLIVE…ヤベーかもな(苦笑)良くてぶっつけ本番、最悪辞退?
それはもうしょうがねーよ(笑)
んー、紅葉は落ち着いてると思う。
そう、予防接種受けてるし。
愛樹は? あ、微熱かぁ。
おー…なんか聞こえる。
機嫌悪そうだな(苦笑)」
鼻詰まりで眠れないみたいだという光輝からの電話越しに泣きながら怒っている愛樹の声が聞こえた。
愛樹も心配だが、これだけ大きな声が出れば大丈夫そうだ。
LINKSは仕事が詰まっていて、明後日がスポンサーを募るためのLIVEだ。
なんとか2人の体調が落ち着くといいのだが…
1時間程して、やっと少し熱が下がったので着替えと水分を与えて帰宅する凪。
結局徹夜になったが紅葉の熱は下がっていてホッとした。
凪は長い1日だったとそのまま紅葉を抱えて落ちるように眠った。
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