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第196話(2月②)(5)※微R18
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カリカリカリ……
「んー、んー…?
…っ!お腹すいたー!」
「……はよ。…元気そうだね? 」
平九郎と梅から朝の散歩の催促(ドアを爪でカリカリ)があって、その音で紅葉は覚醒するより先に空腹を訴え、その声で目覚めた凪。
「おはよー!」
紅葉は顔色も良く、微熱まで下がっていたので、ホッとした凪はとりあえずホットワインを用意すると平九郎たちの散歩へ出掛けた。
ブランチにたまご雑炊を食べる2人。
「誠一くんも風邪?大丈夫かな?
ユキくんも風邪なんだってー!
お土産の苺、届けようと思ってたんだけど…」
「光輝が誠一を見に行ってるみたい。
あー、…このあとスタジオで葵に会うから渡しとく?」
LIT Jの音合わせがあるので凪はそう申し出た。
「あ、うん。お願い。
ユキくんに連絡しとくね。」
「一応夕方LINKSスタジオ(みなと光輝の自宅に隣接)で練習になってるけど、どうする?」
「大丈夫だよ、お家で練習してから行く。
凪くんとも合わせたいけど、時間ある?」
「…んー、じゃあ今、先にやろう。」
片付けは後回しにして、2人は防音設備のある練習部屋に急いだ。
2人で奏でると楽しくて元気が出てきたと笑う紅葉。
短時間だが、集中して演奏をした2人はじんわりとかいた汗を拭う。
「暑…!
このままだと振り返しそうだな。
風呂入る?」
「うん…っ!」
電話に対応する凪と、その間にお風呂と着替えの支度をする紅葉。
「あ、光輝?
誠一どう?
……え?(苦笑)マジかー!
カナすげー怒ってそう…(苦笑)
…了解。ん、こっちは大丈夫。
おー、じゃあまた。…お疲れ(苦笑)
紅葉ー!
誠一は今日休むけど、4人で練習やるって。」
「はぁい!
誠一くん大丈夫?」
「今病院だって。熱が下がらなくて点滴してるらしいけど、検査は大丈夫だったから終われば帰れるらしい。
光輝がかけても電話出なくて、でもカナが一緒に行っててさ、部屋借りてる時に使ってたパス入れてみたら開いたらしいよ。」
「そうなの?
お熱つらそうだね。
そっかー、セキュリティのすごいマンションだとこういう時大変だね。」
パスコードを入力するタイプなので本人以外が解除するのは大変らしい。
「ほんとだな。
誠一意外と身体弱いっつーか、音楽と天文学以外のことに無頓着だからたまにぶっ倒れるし…いい加減食生活も心配になる…。
誰か面倒みてくれる人いねーかなー(苦笑)」
「うーん…。お節介は良くないかもだけど、パスコード変えてないんじゃないかって気付いたカナちゃんは誠一くんのことよく分かってるよね。」
「…確かに(笑)」
イチゴミルクの色と香りのするお風呂に浸かりながらそんな話をして、凪の背に身体を預けていた紅葉がくるりと向き直し口付けてきた。
「…あ。
…うつる、かな?」
キスした直後、ハッとした紅葉が申し訳なさそうに呟く。
「…もう遅いでしょ(苦笑)
大丈夫、俺丈夫だから。」
凪は笑い、再び唇を合わせた。
少しだけ深く口付けて、そろそろ切り上げようと凪が唇を離すとすぐに紅葉の唇が追いかけてくる…。
「ん、ふ…っ」
鼻にかかる吐息混じりの紅葉の声が色っぽくて、腕も押さえられた凪は(キスに夢中の紅葉が無意識に掴んでいる)困惑していた。
「紅葉…、それ以上は我慢出来なくなるんだけど?(苦笑)」
「ん…っ!
ぁ、したい…な…。
ダメ?」
「……。熱あんのに?(苦笑)」
「もう平気…だよ?
凪…っ!
ね、…触って?」
「……っ!
あー、少し…ね?」
身体も心配だし、時間もないと告げる凪。
甘ったるい入浴剤の香りに包まれた浴室、コクンと頷く紅葉の頬も苺色に染まっていた。
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