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第219話(3月)(13)※R18

「ん、はぁっ…ぁっ…! っ! ァッ…んぁ… は…、ふ…ぅ、 な、ぎ…!」 吐息混じりに喘ぎながら、紅葉は凪を求めた。 「…こら。唇噛むなって…。 そんな気にしなくても紅葉の声ってバレないから大丈夫だって…(苦笑) …次、指増やすよ…?」 「ん…っ。だって…恥ずかし…っ! ぁー…ッ、あ…ン…っ、 や、アっ!…んぁ、 ハ… …あ…ッ、そこ! ダメ…っ! イっちゃう…! ぁ、は…ァッ! イク…っ!凪…っ!」 「…紅葉、…大丈夫…?」 ベッドの上で跳ねる紅葉の全身に優しく口付ける凪。 「ん…っ! 指、気持ち良かった……! ね…、早く…凪の、挿れて…?」 「…俺もあんま余裕ないからそれ以上煽るの禁止(苦笑)」 ふふ…と笑い合い幾度もキスを重ねながら繋がる… 「アッ…! んー……ッ! は…っ 凪……!」 「…ッ! 紅葉…!」 「うん……! ぁっ、ぁっ…! や…、ん。は…ぁ…、ぁん…! なぎ……っ!んん…っ! あ……、す、き…っ」 キスを交わし抱き締め合いながらの行為は甘く、紅葉は足りなかったものが満たされていくのを感じていた。 「ぁ…っ、凪…! 凪…! もっと、近くに来て…?」 凪を抱き寄せるとギュっと抱き締める紅葉。 自然と溢れた涙に凪が口付けてくれた。 「かわい…。あー…ヤバい。 あんまもたねぇかも…(苦笑) 紅葉……、寂しかった…?」 「ん。うんっ」 「俺も…、早く逢いたかった。」 優しく抱かれ、満たされたけど、今度は離れがたくて…紅葉はもう一回をねだった。 でも明日に差し支えると言われ、紅葉はキスをねだったり、2人は共に眠りについた。 翌日… 今時には珍しく、そのオーディションの結果通知は独特だった。 「はい、お疲れ様。」 演奏してワンフレーズで止められて追い出される者もいれば、最後まで弾く人もいる。 泣きながら会場を後にする人や肩を落として歩く人、ヴァイオリンケースを抱えてふらつく人… そして時々紙を持って出てくる人がいた。 紅葉はそれらに気付いてはいたが、動揺はなく落ち着いていた。長い待ち時間の中、指先を温めながら頭の中で何度も曲を奏でる。 時々昨夜の情事を思い返しそうになって慌てて顔を扇ぐくらい凪で満たされた今の紅葉は無敵だった。 そして紅葉の番… 深呼吸をするとヴァイオリンを構える紅葉。 緊張することなく、落ち着いて課題曲を奏で、感情をフルにのせていく… 「…はい、君はこれ。」 弾き終わるまで聴いてもらえて、差し出された紙… 「…?」 待ち望んでいた楽譜だった。 「では、2週間後。楽しみにしてます。」 「っ!ありがとうございます!」 実家へ車を取りに戻り、オーディションが終わる頃出迎えてくれた凪に合格を告げると2人はすぐに歩夢の実家へと向かった。 まだ納骨前の彼の骨壺の前に思い出のたこ焼きをお供えして手を合わせる。 「もう少し借りるね。」 レコーディングまで彼のヴァイオリンを借りる旨を両親にも話した。 「…ありがとう、紅葉くん。」 姉のめぐみもやってきた。 「……さすがね。 しかもこれ、第一の楽譜…!」 歩夢は第二ヴァイオリンのポディションを狙っていたらしい。 「えっ?! ……あ、ホントだ…っ!」 「…実力不足だと容赦なく落とされるみたいだから…お互い頑張りましょう。」 めぐみも無事に合格したようで、2人で歩夢の夢を叶えようと約束した。 帰り道… 「今日は紅葉が食べたい物作るぞー。 何がいい?」 まだ練習もレコーディングもこれからだが、凪はお祝いしようと言ってくれた。 「やった! えっとね…! 肉じゃがと唐揚げっ!」 「ははっ! 言うと思った!」 相変わらず安上がりなやつだなと凪は笑う。 でもそんな小さな日常こそが幸せなのだと2人は改めて実感したのだった。

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