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第222話(6月) (2)
機材車への積込みが終わり、休憩がてら3人でしばしの雑談タイム。
「竜のとこは家族来ないんだよな?」
凪が聞くと竜之介は残念そうな表情を見せて頷いた。
彼も連絡係兼雑用スタッフとして合宿へ参加予定なのだ。
「はい。まだ子どもたち小さいんで…。」
「ってか泊まり仕事行って大丈夫?」
「奥さんの両親がいてくれるし、うちの親父も上の子見てくれるから…稼いでこいって(笑)
まぁ、でも心配だし…子どもの体調とかの状況で途中帰るとかあるかもなんですけど…」
「それはもちろんいーけど。」
LINKSはそこら辺寛容だ。
社長(光輝)自ら育休取るほどだし、スタッフもメンバーもみんな家族のように接している。
「写真見たいー!わわっ!
可愛いー!姉妹ー?」
「年子の姉妹です。マジ天使!
俺こどもは4人くらい欲しくて。
でも次は2~3年あけろっていろんな人に言われました(笑)」
「はは…っ!
お前マジで仕事頑張れよ?」
「はい!(苦笑)
…因みに他のメンバーさんは家族や恋人来ますか?」
「山奥だし周り何もないからなぁ…来てもいいとは言ったけど来るか?(苦笑)
LINKSはメンバーと光輝とみなの娘分かる?愛樹とうちの犬たち。
LIT Jは……紅葉ー?ユキは来るって?」
ボーカル葵のパートナーである雪人は紅葉の親友だ。凪が訊ねると紅葉はおやつのアイスを冷凍庫から取り出しながら答えた。
「はい、竜くんもどーぞ。
うんと…、ユキくんとユキくんママは近くのホテルとってて、昼間のLINKSの練習中あんちゃん(愛樹)を見てくれるんだって。
ユキくんパパは送迎だけ。猫ちゃんたちのお世話でお留守番みたい。」
「そっか。…え、待って……?マジか…。
それ葵…羽根伸ばして遊べる雰囲気じゃないな…(笑)
マツくんのとこも子ども小さいし、ゆーじも恋人が社員になったばっかで休めないらしくて…。サスケも誘ったみたいだけど彼女が虫いるとこ絶対ヤダって言われたらしいし…。
あー…LIT J…は…、めっちゃテンション低いだろうな…(苦笑)」
せめて好物の料理を作ってやろうと凪は考えていた。
「はは…。確かに…うちの奥さんも虫苦手だし、山奥じゃヘビとかもいそうですね。(苦笑)」
「え?ヘビ?多分いるけど何もしないよ?
山って最高だよ!小鳥ちゃんもいるし!
木と葉っぱの香りがするし!
久々に木登りしたいなぁ…!
あのね!音の響き方だって違うんだよ!
すごい気持ちいいよ!
あ、そーだ!僕、網とカゴも持っていかなきゃ!
管理人さんに聞いたらカブトムシがいるんだって!すごいよね!」
興奮気味で話す紅葉に驚く竜之介。
凪は慣れたものでアイスコーヒーを飲みながら笑っている。
「へぇ…。え…、…捕まえる気ですか?(苦笑)」
「もちろん!
夏期保育で子どもたちに見せるんだー!
あ!凪ー、蜜って作れる??」
「…カブトムシの?
……さすがに作ったことないけど……(苦笑)
調べとく?」
「お願いねー!僕も一緒に作るから!」
そう伝えるとバタバタと準備に走る紅葉。
何事かと平九郎と梅が紅葉を追いかけて走り回る。
「…やば。スゲー喜んでる人いた(笑)」
ドイツの田舎村で育った紅葉は自然豊かな土地での合宿が楽しみで仕方なく、わくわくしているのが見て分かるほどだ。
「めちゃくちゃ楽しむ気でいるから(笑)
合宿のコテージ…本当はペット不可なんだけど、1週間預けるのは可哀想でさ…。
紅葉が後からくる形にしようとしてたんだけど、ダメ元で管理人さんに相談したら奥さんが紅葉のファンで居住棟だけならってOKくれたんだよね。あとなんかその人の知り合いの牧場主が馬にも乗せてくれるらしい。」
「マジですか…!(苦笑)紅葉くんスゲー…!
え、馬乗れるんですか?」
「紅葉の地元では自転車乗るレベルでみんな馬に乗れる。こっちじゃなかなか乗る機会もないからめちゃくちゃ楽しみにしてるみたいだな。合宿の合間にこいつら(平九郎と梅)も連れて遊びに行く予定だよ。」
「…なんかいいですね。
凪兄さん…紅葉くんに甘いから喜ぶ顔が見たいんですねー。
そっか…男同士だとキャンプとかアウトドア系も気兼ねなく行けるんだ…!
あ、でも…そういう性別とか関係なく…お二人は公私共に一緒に楽しめることがあっていいなって思います。
楽しい合宿になるといいですねー。」
「…ありがと。
うん、まぁ…練習はどうか分からないけど、プライベートはきっちり楽しむわー(苦笑)」
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