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第227話(6月)(7)※R18

誠一にはああ言われたが、変に意識したくなくて凪と自室へ戻った紅葉は普段通り雑談を心掛けることにした。 荷解きがまだ途中だったので、2人で服などをクローゼットへしまいながら従姉妹を心配する紅葉。 「みなちゃん大丈夫かな…。 入院って…!体調もだけど…、お母さんのこと思い出すから苦手だって言ってた…! ちゃんと眠れるかな?LINEした方がいい?」 彼女の母は闘病の末、若くして亡くなった。 多感な時期にツラい思いをした彼女…。 紅葉も末の妹が入退院を繰り返し、手術を受けていた時期なので気持ちが分かるようだ。 「…光輝も心配してたけど、今夜はカナが付き添ってるらしいぞ。とりあえず…もう遅いし、明日にしたら?」 「そっかぁ…!心強いね。 うん、そうするー。 あ!明日、隼斗くん(バンドメンバーの弟、飛び入り参加)と一緒に虫取り行く約束したんだよー。カブトムシはまだかもだけど、トンボならいっぱいるよね!」 「あー、川近いのか?すげーいるよな。 ってか仲良くなるの早いなー(笑) 確か…サチと同い年だっけ?」 「そう!10歳! 隼斗くんが昆虫図鑑持ってきてて見せてもらったら盛り上がって…! …凪? 何か探してるの?」 会話をしながら荷物の入った鞄をゴソゴソと探る凪に声をかける紅葉。 「…紅葉くん…、アレはどこですか?」 「何…??」 「夜に使うアレとかアレ…。」 「っ!…使う、の? だって…あんちゃんたちが…!」 動揺した紅葉は思わず一瞬固まり、不安要素を伝える。 「部屋一番離れてるし。 2人とも爆睡してるよ? 昨夜のリベンジ…!ダメ?」 「…っ!」 「…どこしまった?」 凪に問われた紅葉は鞄の内ポケットからポーチを取り出し手渡した。 「……これだけ?」 「う、うん。 あ…タオル…こっち…!」 中身を確認した凪は少し不服そうだ。 一式は揃ってるが量が少ない…。 とりあえず一晩分で持ってきた?それとも…合宿中この分までならいいよってことか?と凪は頭の中で考えていた。 「凪…? あの…っ、なんか足りなかった…? ごめんね…バタバタしててちゃんと確認してなくて…。えっと…、なくてもいーよ?」 「……それはダメ。 家じゃないし…、具合悪くなっても病院も近くにねーし。 あー…明日虫取り行けるくらい…ならいい?」 「……えっと……、うん。 あ…っ!あと!シャワー! 準備……してから…っ!」 恥ずかしがりながらもOKをくれた紅葉を抱き寄せてキスを贈る…。 紅葉には何の意図もなく、忙しい中でのパッキングでたまたまの出来事なのだと凪は己の考えを反省した。 正直…久々に触れる最愛のパートナーと何も考えずに満足するまで繋がりたいところだが、欲望のままに無茶をして紅葉に身体の負担をかけるくらいなら自分が抑えた方が100万倍マシだ。 まぁ…2人で楽しめるように工夫すればいいだけの話。 「ん…っ…ふ……ッ …っ!」 シャワーを済ませ、キスに夢中の紅葉の瞳がトロン…としてきた頃、凪は紅葉の濡れた唇を指でなぞりながら聞いてみる。 「紅葉……ココで…してくれる?」 「っ!うん!」 嬉しそうに身を屈める紅葉に委ねる凪。 情熱的に一生懸命奉仕してくれる紅葉の姿は日中の無邪気な顔とは違い官能的だ。 「ん…。」 「…んんっ?(イイ?)」 「あぁ、スゲー気持ちいーよ。」 「ふ…っ」 凪が褒めるとニコリと笑い、頬を撫でてくれた凪の手にすり寄る紅葉。 そんな紅葉が可愛くて愛おしいのだが、一瞬酷く汚したくなるような不思議な感情を抱きながら紅葉を見つめる凪。 「…ヤバいな…(苦笑)」 思わずそう呟く凪。 「ん…っ、な、ぎ? いーよ?」 一度凪のモノから口を離した紅葉はそう告げてから強めに吸い、追い上げにかかる。 「…ッ!(苦笑) 紅葉…っ!ちょ…っ!(苦笑) …く…っ! ヤバ…!…あー、…いい? 」 「ん。」 頷く紅葉の頭を抱え数回喉奥まで突きながら達する凪。 「っ!ゴホ…っ!」 「紅葉!大丈夫か?」 苦しそうに噎せる紅葉を前に焦る凪。 紅葉はすぐに大丈夫と手で合図をしてくれた。 「残念…、上手に飲み込めなかった…!」 「飲まなくていーって…(苦笑) ごめん、最後キツかっただろ?」 タオルと水を渡して謝る凪に紅葉は首を横に振った。 「…ちょっと興奮しちゃった。」 「え…?(苦笑)」 イタズラに笑う紅葉に凪も笑い、ベッドへ戻る2人。 「ゆとり出来たからじっくり…ゆっくり気持ち良くしていくから。」 「わぁー…、凪ー!」 ギューっと凪に抱き、紅葉に笑う余裕があったのはここまでだった。

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