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第232話(6月)(12)※微R18

「はっ?! 何事っ?! スイ…、どーしたっ? …平九郎…、えっ?! お前たち何でそんな泥だらけなんだよ…っ?!」 結局1人では自分と同じくらいの体型のスイを運べないと気付いた紅葉は電話で凪を呼んだ。 慌てて駆け付けた凪は目の前の事態に驚き、泥だらけの紅葉たちを見て混乱していたが、ツラそうなスイを前にすぐに冷静な判断をしてくれた。 「とりあえずうちの方(LINKSの居住棟)連れてって休ませよう。紅葉、スポドリもう何本か買って持って。ってか先に俺に水くれ…。 スイ…、背中乗れる?」 「っ!そんな…!」 遠慮するスイを前に凪は水を飲んで喉の渇きを潤すと彼を抱えあげた。 「………。」 紅葉からの視線が痛いが、仕方ない。 LINKS棟… 「光輝の部屋だけど、今いないしシーツも替えてあるから。トイレとシャワーは隣。 飲み物ここ置くよ?」 手際良く持参していた冷えピタを貼り、スイをベッドに運んだ凪は簡単に説明していく。 「…ホントにすみません…。」 「気にすんな。俺たちもこれから仮眠とるけど、後で様子見にくるから…。 あ、メンバーに連絡だけ入れといて…とりあえず治るまでここで寝ていていいから後で誰かに荷物持ってきてもらいな。 大丈夫?寝れそう?」 「はい…。」 俯き小さな声で答えたスイが横になると彼の首元に凪も見覚えのある赤い痕を見付けた。 予想外のことに凪は頭を抱えたくなり、寝不足のせいか勢いで指摘してしまった。 「………。 どーいうこと?」 「……?」 何のことか分からないと、目を開けたスイは戸惑う。 凪は痕が付いている位置を知らせるために自身の首元を指差した。 「お前のココ…。 どう見ても付けたてだよな、それ。 え、…まさかかと思うけど…体調不良と関係ある?」 「っ!違…っ!」 スイの顔が青ざめるのを見て、固まる凪。 「………とりあえず、合意かそうでないかだけ答えて。…スイ、正直に。」 痕を付けさせるくらいだからないとは思うが、返答次第では大事になる。 後輩たちに行動制限はしてないけど、女の子の連れ込みは禁止だし、近くの街に歓楽街はない。 昨日は大雨で危ないからスタジオか居住棟にいるように伝達が来ていたはずだ。 となると相手はバンドマンかスタッフ… スイの想い人には心当たりがある。 「……合意、です…一応。」 「…分かった。 スイ……、さっきの訂正。 後で"相手に"荷物とか届けに来させて?」 「…はい…。」 はぁ……と、凪が大きなため息をつきながらリビングへ降りると、紅葉が床に体育座りしていた。 どうやら平九郎と梅は綺麗に泥を拭き取れたようで、元気のない紅葉についた泥をペロペロ舐めていた。 「紅葉…、あー、平九郎たち…拭いてくれてありがとうな?お前も拭いて…いや、シャワーする?」 「する!…僕も抱っこして連れてって!」 「…はい。」 紅葉を抱き上げた凪は焼きもちをやく可愛いパートナーを宥めるようにキスを贈り、バスルームまで紅葉を運ぶと汗と泥を流すために共にシャワーを浴びた。 部屋に戻っても紅葉の嫉妬心は晴れないようで… 「スイくんと2人で…何話したの? 何も…ないよね?」 「ないって。病人だし、後輩だし。 普通に…冷えピタ貼って寝かせただけ。 …俺には紅葉がいるでしょ。」 「…ん。 じゃあさ、えっちしよ…。 僕のこと…大好きだもんね? さっき…、したいって言ってたもんね?」 「…ん。好きだよ。 愛してる。」 「凪…っ!」 あー、ヤバい変なスイッチ入れちゃったかもしれない…と、凪は悟りつつ、徹夜の眠気と紅葉の音楽に感化され変な勢いでやったトレーニングとスイと紅葉を抱えて運んだ疲れと闘いながらもベッドに紅葉を押し倒した。

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