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第233話(6月)(13)※微R18

朝からちょっと激しめに致した2人はそのまま爆睡…。 昼食作りのためにセットしていたアラームで起きた凪だったが、隣で微睡む紅葉が離れようとすると無意識にくっついてきて後ろ髪を引かれていた…。 宥めるように顔中にキスを贈れば、腕を伸ばして凪を抱き寄せて幸せそうな顔を見せてくれる紅葉。深い口付けを繰り返すうちに先に燻っていた熱が治まらなくなってきたの凪の方だった…。 同性の身体だが自分とは違う…細く、薄く、白くて美しい紅葉の裸体を組み敷いて、特にお気に入りの腰回りの曲線を撫で回す凪。 「ん…っ、んー? 凪ー…。 何、してるの?(苦笑)」 密着する下半身に確かな硬さと熱を感じ、目を覚ました紅葉は苦笑していた。 「紅葉…、起きた? …もうちょい…イチャイチャしよ? あ、待った。…連絡だけ…」 凪はスマホを手繰り寄せるとローディー兼雑用を請け負ってくれているRyuと、念のためLIT JのリーダーであるマツにもLINEをして、今日の昼食は外食にしてもらうことにした。 息抜きがてら街へ出て、オフショットや動画を撮って来て欲しいと手短に文章を送り、適当にスマホを放った。 「…紅葉、お待たせ。」 「…? ん…っ! ふ、んー??」 二度寝しようとしていた紅葉をキスで起こしてしばらくイチャイチャしていると、ノックの音が…! コンコンっ! 「凪っ!起きて! 紅葉ーっ!なんなのあの曲は…! 聞きたいことあって電話しても出ないし! もう来た方が早いと思って仕事山積みだけど来たよっ!…ねぇ起きてる?開けるよ?!」 なんと、東京から光輝が飛んできたようだ。 「あ、バカ待て…!」 「っ!ふ、ひゃ…っ!」 すごい勢いの光輝を止めようと凪が制止の声をあげたが、間に合わず… 「っ、」 「あ……。」 ビックリした拍子に達してしまった紅葉は両手で顔を覆った。 「なぁ、に…っ…ヤってんのっ?! 朝っぱらから…っ! ってか、合宿中だよっ?! そもそも曲作るって聞いてないし! それであんな曲いきなり人に送りつけといて何を呑気に…っ!!」 「あの…、一応…止めたんだよ? 今はプライベートの時間だよって。」 明らかに取り込み中の距離感の2人を前に驚き、反射的にドアを閉めた光輝が廊下で叫んでいて、その後ろから誠一の声がする。 「あー…とりあえず支度して下行くから…。 誠一、光輝連れてって? あ、スイのことも説明宜しく。」 「了解。ゆっくりでいいよー。」 2人が階段を降りる音がして、布団に潜ったままの紅葉を宥める。 「紅葉ー…大丈夫?起きれる?」 「凪…っ! 無理…!恥ずかしくて出れない…!」 寝乱れているところを身内に見られてしまい居たたまれないと嘆く紅葉。 「…んー…、さすがに気まずいか…。 ってか説教かな……(苦笑) とりあえずシャワー行こ?」 その後…リビングへ降りた2人。 紅葉はもっと怒られるかと思い身構えていたけど、言われたのは今朝方送った曲のことがメインだった。 「みなにも聴かせたけど…、こことか…もう少し太めの音入れて…。あとこの後が…」 「あ、うん…!」 ものすごく細かくサウンドチェックしてくれていて、必死にメモをとる紅葉。 「じゃあこの曲はこのあと練習ね。 あと、紅葉にヴァイオリンの依頼がいくつか来てて…車のCM曲の依頼と、オケの誘いも。 あ、イベントの時にLINKS出るならついでにヴァイオリン弾いてって言われてたやつとかも…受ける方向でいい?全部??」 「うん…。頑張ります…っ!」 LINKSが活動休止になる今、もらえる仕事は出来るだけ受けたいと思っている紅葉。 故郷にはまだ幼い弟たちがいて進学の時期を控えてるし、高齢になる祖父のためにもお金が必要だ。 「うーん。…モデルの仕事もあるからあんまり凪とスケジュール合わないかもだけど…大丈夫?」 光輝に念を押されて凪とアイコンタクトを取る紅葉。 後ろ手にこっそりと繋いだ指先を繋ぐ。 「…大丈夫…!」 スイにたまご粥を作り、LINKSの4人は光輝が買ってきてくれた何やら高そうなヘルシー思考の惣菜をランチを摘みながらミーティングを続けた。 ちなみにみなは自宅でカナが、愛樹はこの近くに宿泊中の雪人の母に見てもらっているらしい。 昼食後… 凪はLINKS棟を訪れたコタと人気のない外で話していた。 「あのこれ…!スイの荷物…着替えとか…! あと、あいつの好きなゼリーとかさっき街で買ってきたんで…っ!」 「ん…。渡しとく。 …バン車(バンド活動用の車)の鍵は? 持ってきた?」 「はい…。」 凪はコタたちのバンドが使っている車の鍵を預かった。理由は、あの雨の日に2人きりになるとしたらここだろうな…という予想からだ。 「あの…!すみませんでした…っ!」 「いや…俺に謝られてもね?(苦笑) 普通に…今日みたいに移動とかで使う時は言ってくれれば鍵渡すから。」 「はい…。」 まるで飼い主に叱られた大型犬のように項垂れるコタに戸惑う凪。 「そんなビビられても困る…ってか、俺も別にお前たちの関係に口出ししたり、説教出来る立場じゃないんだけどさ…(何せ光輝に怒られたばかりだ)光輝にバレたらお前たち…下手したらクビだよ?せっかくの合宿なのに練習出来なくてなってさ、バンドにも迷惑かかるし…。 ってか、スイの気持ち分かってて手出してんならそこはちゃんとしないとじゃない? …とにかくちゃんと向き合って話し合うまでもう絶対手出すなよ?」 「分かり、ました…っ!」 「とりあえず今日は熱が上がったり下がったりだし休ませる…。明日の選考は出るってよ。 お前…まさかと思うけど何の準備もなしに勢いで突っ込んだりしてねーよな?」 スイは思ったより熱が長引いていて、たまご粥も少し食べただけで寝てしまいツラそうだ。 「……え、あー、…男相手はしたことなくて…!なんか…流れで?」 コタの返答に声が一段低くなる凪。 「………へぇ。 お前明日から朝トレ強制参加ね。6時集合。 あとスイの掃除当番…お前がやるよな?」 「…はい。」 結局小言が多くなったな…と反省しつつ、夕食の仕込みをしてから練習へ向かう凪だった。

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