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第238話(6月)(18)※R18
それから…
季節はまもなく7月を迎える。
凪はLIT JのイベントやLIVE、ツアーのリハで度々家を空けることが多くなり、紅葉も個人の仕事をこなしながらすれ違いの日々を送っていた。
カチャ…
深夜に帰宅した凪はそっと玄関の鍵を開けた。
「…凪っ?!
お帰りなさいー!」
すぐにバタバタ…という足音と共に「…くぅ…、ゎんっ!」と控え目な犬の声も聞こえた。
「凪ーっ!」
「っ!うわ…!」
細身ではあるが、成人男性と大型犬2匹に飛び掛かられてさすがの凪も後ろに倒れこむ。
「た、だいま…。
ちょ…っ!お前ら…!待て…って!(苦笑)」
ガチャ…
「凪さんー?荷物これで…
え…何事?大丈夫ッスか?(苦笑)」
荷物を持ったままローディーの竜之介が驚いて固まった。
「わ…っ?! 竜くんっ?!」
「あ、悪い。
今ここどくから…
ほら、お前たち…!」
「はぁい…」
凪に促されて紅葉は身を起こし、平九郎と梅も下がらせる。
「竜、ここ(玄関)置いてくれればあとはいーから。遅くまで悪いな。」
「いえ…。
こちらこそ…なんか…邪魔してすみません?」
「はは…っ!
お疲れ。気をつけて帰れよー。
…まだ起きてたんだ?」
竜之介を見送ったあと紅葉にそう訊ねる凪。
凪と入れ替わるようにして明日からは紅葉が泊まりがけの仕事なのだ。
「うん!ちょっとお昼寝したから…
荷物まとめてた!
LIVEお疲れ様…!
んー…っ!凪の匂いだぁ!
会いたかったー!」
もう一度凪にお帰りのハグをする紅葉。
愛犬たちも凪の帰宅を待ち望んでいたようで、尻尾をブンブン振りながら喜んでくれた。
「紅葉っ…!(苦笑)
汗つくぞー?」
凪はそうは言いつつも抱き付く紅葉を受け止め、頬に手を添えるとただいまとキスを送る。
続くように横から平九郎と梅もベロベロとお帰りのキス(?)をくれる。
みんなでギュっと抱き合い、数日振りの再会を喜ぶと紅葉は彼の荷物を半分受け取り、「疲れたでしょ?」と声をかけながらリビングへ手を引いた。
「…とりあえずシャワー浴びるわ(苦笑)
紅葉、先に寝てていーよ?明日何時だっけ?
あ…、スイはー?」
平九郎たちの涎でベチョベチョの凪はバスルームを目指しながら居候のスイの様子を訊ねた。
「今日は夜勤のバイトだって!
そのままメンバーの家で仮眠して練習行くって言ってた。
んと、僕はそんな早くないよ!
…10時くらいに出るかな…。
…ね、…待ってていい?」
紅葉のセリフに一瞬足を止める凪。
「…あー…分かった。
すぐ行く…」
「ふふ…!」
お互い笑って照れを誤魔化す。
そんなひとときも愛おしい。
話したいことはたくさんあるが、今は先に触れ合いたくてベッドに沈む2人…
「なぎ…っ!」
「あー…ヤバい…(苦笑)」
久しぶりに腕の中に抱いた紅葉が愛おしくて…
疲れが吹き飛ぶのを実感する凪。
そのままうっかり暴走しそうになるのを首筋に顔を埋めてなんとか理性を働かせて止めようと葛藤する。
「凪…?
…しないの?」
「…無自覚誘惑禁止…!」
早口でそう告げると日本語が聞き取れなかったのか紅葉が首を傾げた。
20代も半ばとなり、色気が増したように見えるパートナーの顔を撫でた。
「…?何?
あの…、しよ?
僕…大丈夫だよ!
ちゃんと慣らして…
じゅ、んび…!したから…っ!」
そう告げると顔を両手で覆う紅葉。
凪は驚き、紅葉の手を優しく退かしながら確認する。
「…はっ?
…紅葉が…?自分でしたの?
マジ?どーやって?
…え、っと…無理してねぇ?」
自分でするのは苦手意識の強い紅葉を理解している凪は嬉しさと心配が半々だった。
それも、紅葉の気持ちを聞いて落ち着く…
「…頑張った。
えっと…指、で…!
けど、無理してないよ?
あ!…でも…ちゃんと出来たかわかんない…んだけど…!」
「…ん。あとは俺にさせて?
ってか、任せてくれていーのに…」
恥ずかしいのか、下を向く紅葉に凪は優しいキスを贈る。
「あの…。僕だって…!
凪と…したかったから…っ!
この前…最後まで出来てないし…。
また離れるの寂しいし…!
だから……
慣らすの自分で出来たら…いいのかなって。
あ…勝手にはダメだった?」
「いや、そうじゃなくて…
まぁ…基本的に俺がしたいし、準備もさせて欲しいってのはあるんだけど…。
…お前に負担かけたり、無理させるのはイヤだから…!それならこの前みたいなヤリ方だってあるし…。
別に最後まで出来なくても大丈夫だから。
不安に思ったりしないで欲しい。」
「うん…、分かった…っ!」
ゆっくりと話してくれる凪の言葉に胸がいっぱいになりながら応える紅葉。
「でも、今回…紅葉もちゃんと俺としたいって思ってくれて、頑張って準備やってくれたのはめっちゃ嬉しいよ。なんか…興奮するし(笑)」
「…!
ふふ…っ!
良かったー…!」
凪は無邪気に笑う紅葉に口付けて、早急に自らの服を脱ぐと同時に紅葉の服も剥いでいった。
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