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第6話

「ここ……」  友人の口がおもむろに乳首から離れ、ぼそ、と呟く吐息が触れる。  そして膝が、ぼくの足と足の間の付け根へ、ぐり、と押し付けられる。 「っ!」 「ここも、触ってほしいんじゃないのか……?」  ――さ、さわ、  ――触ってほしい、このむずむずしてもどかしいのを楽にしてほしい、気持ちよくしてほしい…… 「帰るって!」  本音が出ないだけ頑張っていた。  のに、急に体を起こした彼が、僕の首と足の後ろに手を差し入れ、よいせっ、と抱き上げてダブルベッドの上に寝かせるのには、ぜんぜん抵抗できなかった。 「え、紅蓮? 紅蓮さん?」 「冬弥」  お姫様みたいに丁寧に仰向けに寝かされたぼくの視界で、紅蓮の顔が照明にかぶさって逆光になって、それが近づいてくるのだからびっくりした。びっくりしたというか混乱を極めた。 「……ずっとこうしたかった」  空気に溶かすような声が、彼の唇からこぼれたあと、意味を問い返す暇もなく、ぼくの唇へとがぶりと覆いかぶさってくる。  ぬるりとして熱いものがぼくの口の中に割り込んできた。もう驚いたなんてもんじゃない。それが食らいつくようにぼくの中をあばれまわると、うまく息もできなくて大混乱のはずなのにぼくはもうどんどん頭がとろけて、パンツの中がきつくなって、どさくさに紛れてズボンを下ろしパンツまで脱がせてきた友人の右手を制止することすらできないのにも、驚いた。驚きすぎて状況も何もわけがわからなくなってくる。 「ぐれ、ん、まっ、」  ぼくが息できてないのに気付いたのか、少し口を離して息を整えさせてくれたが、辛抱ならないというようにまたかぶりついてくる。無言なのが逆にこわかったが、ぼくを求めるようにのびてくる舌の熱さだけで、何を言われるよりも伝わってくる気もしてくる。  いつの間に舌を絡めていた。  求め合うように、乱暴に絡ませあって、かと思えば頭を撫でてくる左手の動きが優しすぎて、びっくりしすぎて涙が出てくる。人はびっくりしすぎると涙が出るのだ。  ……きもちいい。きもちいい。  熱い舌で犯されている口の中も。熱い手でゆっくりと、先走りを絡め裏筋を擦り上げるように扱かれはじめた陰茎も。 「ん、ん、ん……」  紅蓮にも気持ちよくなってほしい。  熱に浮かされたようなその一心で、気付けば彼の大きな胸へ、ぼくは手を伸ばしていた。  大きく揉みしだき、指先の感覚で探り当てた乳首をつまみ、きゅ、と力を入れる。彼の体がぴくんと震えて、んぐ、とキスをしながらくぐもった声を響かせ、友人がぼくの指で感じたことに、下腹のあたりがきゅうきゅうとした。  ふは、と笑いながら、友人が顔を離してくる。糸を引いて垂れた唾を舌で舐めとり、逆光の影の差す顔で彼は笑った。 「触るなら、こっち触ってくれないか」  そう言って友人はいそいそと、スウェットとパンツを一緒くたに下ろして見せた。  ぶるん!  と効果音をつけたくなるような勢いで、彼のそそり立ったイチモツが元気よくとびだす。 「……でっか」

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