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第6話

「うふふふ…帰宅早々いいもの見れたわ もっとやりなさい」 その人物を見上げた湊は一目散に駆け寄って抱きついた。 「…ママ!!!」 「ただいま 湊」 約2年ぶりの親子の再会に、こっちまで胸が熱くなって秋陽を抱き寄せ微笑みあう。 事故に遭った咲良さんは幸か不幸か同時に病気の早期発見に至り、今日やっと退院。 ほんの少しの親子関係も今日で終わりだ 寂しくないと言ったら噓になるけど、あんなに嬉しそうな湊を見たらそんな気持ちも吹っ飛んでしまう 「もう!私がいない間にこんなおいしい関係になってるなんて!あぁ!そばで見たかった!」 「姉さん!誠人さんに腐ってることバレてるからって湊の前でも開き直らないでよ」 吹っ飛んで… 「あら、いいじゃない 下手に偏見を持つよりずっとマシだわ それに、その子どもの前でキスして今も仲睦まじく抱き合ってるのはどこの誰よ」 「だ!抱き合ってないよ! キ、…スだって誠人さんが急に!ご、ご飯の用意するから」 あぁ… 逃げるようにキッチンに隠れてしまった秋陽を見て尚、にやにやと笑う咲良さんは退院したばかりなのに相変わらずだ。 その咲良さんに手招きされキッチンから少し離れた物陰に移動する。 「ありがとうございます」 そう言って咲良さんは深々と頭を下げた。 「大変な時に秋陽の傍にいてくれた事、私の湊を自分の息子のように接してくれた事、全部秋陽から聞いたわ  あの子には本当に色々と苦労させたから、絶対に幸せにしてあげてね」 秋陽とよく似たふわりとした笑みが俺に向けられた。 本当に俺でいいのかとか、こっちこそ感謝することが山程あるとか、言葉はたくさん浮かんだけど自然と出てきたのは、“はい”の2文字だった。

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