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告白
GWが終わるまでに分かった事。月村先輩はめちゃくちゃモテる。
そのせいで、女の子の図々しさとか、狡猾さみたいなものをたっぷり教えられた。
先輩のメアドを教えて欲しいとか、手紙を渡して欲しいって頼まれるくらいならまだいい。
「……って先輩につきあってくれって言われたんですけど、先輩のクラスの人ですよね?
どんな人ですか?」
机で宿題をしながら聞く。
布団の中から呻き声がする。
「あ〜……やめとけ。」
やっぱ、月村先輩目当てか。
「……月村先輩、オレ、迷惑なんですけど」
「悪い……ってか、俺、今、彼女いるんだけど」
「え?別れたって言ってませんでした?」
「GW中になんとなく」
はあ。とため息をつく。
相変わらずのチャラ男っぷりだよな。ガードが硬いかと思うと、こんな風にノリで付き合い始めてしまう。そんな風なのに、美人で性格がいい女を捕まえて来る。羨ましい限りなんだろうな。世間一般的には。
「断るだろ?」
先輩が聞く。もちろん断わるつもりだった。どんな女とも男とも付き合うつもりはない。
だが、そう言われると、ちょっとひねくれた気持ちになる。
「先輩がやめとけって言うくらいなら、ヤラせてくれそうじゃないですか?結構胸とかあったし。遊ばれてるの最初から分かってるなら……」
「やめとけって」
肩をつかまれて椅子が回る。
「もうちょっとマトモな女にしろ」
一番マトモじゃないのはオレだって知ったら、どんな顔するんだろうな。
オレは無邪気な後輩の顔で笑う。
「冗談ですよ? オレが好きなのは月村先輩ですし」
さらりと本心を吐き出す。
にやりと先輩は笑う。
「俺、彼女いるし」
それでいい。
こんな風に本気にせずに流してくれる。
「失恋しました。慰めてください」
オレはにっこり笑って言った。月村先輩が一瞬真顔になってからゆっくりと微笑む。
「今の彼女と別れたら、星影と付き合うよ」
ひやりとする。
もう気付いていた。
もう理解していた。
オレは……この人が、好きだ。
猫のように気まぐれで、人を惹きつけて離さない魅力的な月。
でも、月は空にあるものだ。オレの手の届かない所にあるものだ。
だから好きになれる。
だから好きになることを許される。
「冗談ばっか」
わかってますよ。と微笑むと椅子を回して机に向かった。
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