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第8話

悠介と出会った日から一週間が経った。 先週とは違い定時に上がれたのでスーパーに寄り晩飯の買い出しをする。 たまたま同僚と鍋のシメはうどんか雑炊か、はたまたラーメンかいやいやリゾットもうまい。 などと話していて夏も近づいてきているというのに鍋が食べたくなってしまい、鍋の材料を買う。 ……が材料を買ったはいいが買いすぎた。 「はー、バカやらかした……ま、明日も休みだからいいか。 余れば明日に回すかねぇ。」 などとつぶやきながら両手に袋を持ち家へと急いで帰る。 もう少しで家と言うところでフードを目深にかぶったやつがいる。 あれは…… 「おーい、悠介だろ?おーい。」 声をかければゲッとした顔をして逃げようとする。 「あ、おい、ちょっと待てって……うおっ。」 追いかけようとすれば転びそうになり袋に入れた鍋の材料たちが飛び出る。 「あー…やべっ。」 「……あんた、何してんだよ。」 ふと、顔を上げれば悠介が俺が落としたものを拾ってくれている。 「いやー悪い、助かる!」 「……おれ、あんたの相手してる暇ないから。」 さっさと立ち去ろうとする悠介に 「悠介、待てって。 今日鍋するんだけど晩飯食べてなかったら一緒にどうだ? 買いすぎちまって、あ、拾ってくれたお礼ってことで食べていかねーか?」 そう声をかければぐぅぅぅと悠介の腹の虫が鳴く。 「っ!あ、いやこれは!」 「気にすんなって。 一個荷物持ってもらってもいいか?」 「は!?ちょっ、おもっ!」 「今日はトマト鍋にしてシメにリゾットにするんだけど……」 悠介に袋を一つ持たせて他愛のないことを話しながら家へと帰る。

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