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第10話

片付けを終わらせ悠介にお茶をだす。 「はー……美味かった。」 「そうか、そんなふうに言ってもらえるのは嬉しいもんだな。 そういえばお前、この間の怪我どうだ? 怪我増えてないよな。」 さり気なく怪我のことを聞けば露骨に目をそらす。 「お、おれ長居したら悪いからもう帰る。」 帰ろうとする悠介の腕を掴む。 「いやいや、待て待て。 ちょっとお前怪我見せてみろ。」 「離せよ!大丈夫つってんだろ!」 「大丈夫なら見せれるだろ。」 嫌がる悠介の服をまくりあげる。 ……前よりも怪我増えてるみたいだな。 ジタバタ暴れる悠介を無理矢理座らせる。 「はいはい、暴れんなって。 手当てするから。」 暴れても無駄だと思ったのかおとなしくなる。 怪我の手当てをしていく。 ……切り傷は前よりも治ってるし新しいものはなさそうだが、アザが増えている。 「まー詮索とかはしねーけどよ。 あんま怪我増やすなよ。 相手してほしいだけなら俺が相手してやるし。」 「……別に、必要ねーし。」 今日もぎゅっと強く手を握っている。 「……よし、ほら手当て終わり。」 「…………ありがとうございましたぁ。」 ふてくされながらもちゃんとお礼を言ってくる。 そそくさと帰ろうとする悠介の背中に声をかける。 「また金曜にさ、暇だったら来いよ。 俺の話し相手になってくれ。 ついでに一緒に晩飯食べようぜ。」 「…………考えとく。」 そう言って静かにドアを閉め帰っていった。

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