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第14話
後ろからもぞもぞと動く音がする。
悠介がぼんやりとした目で俺を見ている。
「あー悪い、起こしちまったな。
悠介、気分は大丈夫か?」
声をかければはっと目が覚めたように飛び起きる。
「やべぇ、今何時!?」
「今か?八時少し前……」
「行かないと。」
俺が言い終わる前に立ち上がり部屋から出ていこうとする。
……がそのまま前のめりに倒れ込みそうになる。
咄嗟に悠介の体を支え事なきを得たが悠介が暴れだす。
「離せ!早く行かないと……」
「だめだって、その怪我でどこ行くんだよ
また傷が悪化するだろ。」
「離せって……」
悠介の体から力が抜ける。
「お前、頭から血出てたんだからもう少し休めって。
ほら、横になってろ、なんか食べるか?」
またベッドに戻しても起き出してどこかへ行こうとする。
「落ち着けって、何だ門限でもあるのか?
なら、帰るときに一緒についてってやるから
そのままの状態じゃ帰れねぇって。
未成年だし補導もされるだろ。」
未成年という単語に悠介がびくっと反応する。
「な、なんで知って。」
「さっきお前のサイフの中見せてもらって学生証があったから。
……別に俺はお前を警察とかにだそうなんて思ってないから。
なんか事情があるんだろ?」
晩飯食べてなかったら食うか?
と声をかければ枕に顔をうずめ泣き始める。
声を漏らさないように、
泣き顔を見られないように。
悠介が泣き止むまで静かに背中を撫で続けた。
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