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第22話
俺はな、小さい頃、親父とおふくろ、二人から虐待を受けてたらしい。
らしいって言うのは俺が昔のことほとんど覚えてないからだな。
親といたときの記憶が全く無いんだ。
小学校四年生のときに死にかけてたところを助けられたらしい。
あそこの家子供いたはずだけど最近全く見ないなとかで近所の人が通報したらしい。
もう少し遅けりゃ死ぬところだったらしい。
そのまま病院へ連れてかれてそっから児童養護施設に入った。
俺が記憶があるのはここからだな。
あそこには色んな人間がいたな。
まぁ、まとめていうならみんな親とうまくいかなくて入ってるやつばっかだったんだ。
悠介、箸の持ち方教えてもらったことないだろ?
いや、俺も箸の持ち方なんて知らなかった。
誰にも教えてもらったことなかったからな。
教えてくれる人なんていなかった。
施設で俺は色んなこと教えてもらって色んなことを知った。
一番嬉しかったのは飯、食べたときだな。
初めて温かい飯食べたとき涙が止まんなかった。
それ以来料理作るのが好きになったんだが……
これは別にいいか。
驚いたりしなかったのはそういう理由だな。
そんな話たくさん聞いたし見てきたから。
ん?あー俺は高校卒業するまでいたな。
バイトしながら学費払ってな。
施設出たあとはそのまま働き始めて今に至るって感じか。
親か?親がどうなったかは知らねぇ。
多分、刑務所にでも入ってるんじゃねーかな。
……辛いとか寂しいとかはねーな。
そもそも覚えてないから。
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