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第23話

つまんねぇ話だっただろと話し終える。 「これでいいか? ……じゃあ、早速で悪いけど児相に連絡してくるぞ。 ……多分すぐに保護なりなんなりしてもらえるとは思う。」 「!ちょっ、ちょっと待ってほしい。 ……一旦家に帰ることは出来、ますか……?」 「家?今すぐじゃないと駄目なのか? あとから必要なものを取りに帰れるとは思うが…… 父親がいて危ないだろ。」 悠介がウロウロと目線をさまよわせ、 「……お母さんが昔、家出ていったときに、 『金曜日になったら帰ってくる』 って言ってたからいつも待ってて…… も、もしかしたら帰ってきてるかもしれないし念の為書き置きと、 ……お父さんとお母さんの思い出のものがあってそれだけ先に取っていきたい。」 「いや、でも危ないだろ。 それで何かあったら……」 「お願いします。」 悠介が土下座に近い形で頭を下げてくる。 「お、おい、やめろって。 …………分かった。 じゃあ、ここで紙に書いてって家には置くだけにしろよ。 ……危なそうだったらもの取る前に家から出てくること。 あと、俺も一緒について行って家の中には入らないけど家の前にはいる。 今から児相の方に電話するから家に戻って終わったらすぐに行くからな。」 「!ありがとう……ございます。」 「別に敬語使わなくていいって。 ほら、これ使って書いとけ。 俺連絡しとくから。 あ、そうだ先にお前の家の住所だけ教えてくれ、聞かれた時に言わねーと駄目だからな。」 悠介に紙とペンを渡し俺は電話をかける。 横目でちらりと見れば難しい顔をしながら書いている。 ……あれぐらいの年ならだいたいのやつは親父とかお袋とかって呼びそうだけど最近の子は違うのかねぇ。 それとも悠介だけか。 ……どちらにしろ親のことが好き、なんだろうか。 殴られたとしても庇っている様子を見れば…… 少し悩んでから電話をかける。

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