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第30話 初心な舌
自分の指しか知らない。あとはそういう道具とか。
「あ、あ、あっ、樋野っ」
全然違う。
「くぅ……ンっ」
自分の意思じゃなく動く指。
「あ……ぁっン」
俺の気持ち良いところを探るように、まさぐる。
「あぁぁっ!」
そして、見つけられて、そこを丁寧に可愛がられる快感。
「樋、野……」
中が悦んでる。自分の指しか知らないから、だから自分が一番中がどのくらい悦んでるのかわかってしまう。指にしゃぶりつくように中が動いて、ローションが馴染んで、指が届くギリギリのところにある、それが触られたいって。
「あっ……ン、樋野」
腰が自然と揺れてしまう。欲しい欲しい、ここに欲しいって。早くって。
「あ、ああっン、ああああっ」
二本に増えた指に甘い声が上がった。それからしばらくして、三本に増えた指には蕩けた声で樋野のことを呼んだ。
「あ、そこっ……ん、気持ち、い」
「最上さん」
「あ、あ、あ、あ」
気持ち良さに腰をくねらせる度に前でぷるんと揺れたそれの先端から、透明な雫が溢れてる。三本の指がくちゅくちゅと甘い音をさせる度に、中が熱に柔らかくなって、自分から濡れてるみたいに感じてしまう。
「あぁン、樋野、ぁっ」
枕をぎゅっと握り締めながら、三本の指が抜かれて甘い甘い声を上げた。
「すみません。水、飲みます」
「あ、うん」
小さな冷蔵庫から樋野が二本のペットボトルを持って戻ってきた。
「のぼせそうで」
苦笑いをこぼしながら、そう言って、蓋を半分ほど開けたペットボトルを俺にくれた。そして自分は本当にのぼせてしまいそうだったみたいに、そのペットボトルの水を半分一気に飲み干した。
「最上さんの中、熱くて」
「それ……」
俺はそう言って暑そうに髪をかき上げる樋野の、が大きくなってたそれを見つめてた。そして、ベッドの足元に立っている樋野の腰に巻いてるタオルをめくって、思わず声に出てしまった。
「わ……」
「っ」
「あ……」
こんなになってる。
「触っても、いいか?」
「ど、ぞ」
指先でちょんって触れたら、すごく硬かった。痛そうなほど張り詰めて、熱くて。
「すごい……」
熱が高い。触れるとビクンって反応してくれる。
「あ、樋野、俺は、下手かもしれない……けど」
口でしたことなんてない。だからきっと上手になんてできない。
「してもいい? 口で」
「最上さん、無理しなくても」
上手じゃないだろうけれど、したいんだ。樋野に。
「平気。したい」
これにキスしたい。
「見よう見真似しか、できなくて下手だろうから、その……教えてくれ」
「っ」
ベッドの端、樋野の手前で四つん這いになった。そして、目の前にある硬いそれにドキドキしながらそっと手を添えて、キスをした。
先端を口に咥えて、つるりと丸い先端を口で濡らして、それからぺろりと太いところを舐めて。
「んっ……ん」
どうしたらいいのかなんて知らない。顔を動かして咥えるくらいしかできなくて、舌を這わせて、たまにキスをしながら、何度も頭を動かした。
「最上、さんっ」
名前を呼ばれて、気持ち良かったのだろうかと積極的にまた舐めてしゃぶりつく。大きいそれがもっと口の中で大きくなるのを感じながら、変わらず、舐めて、しゃぶってを繰り返して。
「ふぅ……ンっんっ」
必死に咥えてたら、背中を樋野の大きな手が撫でた。指先だけで背中に五本の線を引くようになぞられて、ゾクゾクって、身体が反応する。甘い声をあげそうになるほど感じながら、それでも口は離さず、樋野のペニスを舐めていたら、大きな手に乳首を摘まれた。キュッと抓られて。
「ああああっ」
思わず口を離してしまった。
「あ、乳首、ダメっ」
気持ち良い。キュッと摘まれて、コリコリになってるその粒を指先に押し潰されて、また抓られて。
「ぅ……ンッ……あ、ぁっ……ん」
すごく気持ちいい。
「ふっ……ンッっ……ん、ン」
乳首を可愛がられながら、また樋野のペニスにキスをした。口に咥えて、丁寧に舐めながら、また摘まれた乳首に背中をくねらせた。
「最上さん」
もう片方の手で口の中に入り切らないくらいになった樋野のをしゃぶって、フェラに必死になる喉を撫でられて、また感じてしまう。
「本当に初めてなんですね。舌が辿々しい」
「っ、だって、っ…………っ、ン、ンンっ」
そう言ったじゃないかって、だから下手だって言おうと思ったら、その口を塞がれた。
「ふぅ……ン」
舌を差し込まれて、激しく濡れたキスをされて、唾液が自然と溢れてしまう。
「下手なのに」
「……ぁ、樋野」
激しいキスが終わると唇の間を透明な糸が繋げた。
「ヤバイくらいに気持ちいいです」
「あっ」
「舌は辿々しいのに」
「あっ……ふっ」
言いながら、いい子ってするように舌を指に撫でられて。
「身体は敏感だし」
「やっ……ん」
俺の舌を撫でて濡れた指に乳首を摘まれて、きゅぅんと切なさが込み上げてくる。
「キスは一生懸命で可愛いし」
「あ、樋野っ……ん、んっ……ンッ」
深いキスをされながらベッドに押し倒されて、二人で沈んで。沈みながら、樋野が、ゴムをつけてた。
そのことに顔が熱くなる。きっと真っ赤だろう。
「あ……樋野」
「それなのに中は」
脚を開かされて、心臓が躍る。騒がしくて、おかしくなりそうだ。
「あ…………ぁ」
今からなんだって、ドキドキして。
「こんなにエロいとか」
「あ、あああああああああっ!」
貫かれた瞬間、達してしまうくらいに気持ち良くて、乱れて、おかしくなりそう。
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