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第37話 キス、呼吸
こんなに慌てたシャワーの浴び方にお互いに笑ったんだ。正嗣はお客様だからと先を譲って、それから俺が入って、慌てるけれど、でもちゃんと綺麗に洗わないとって。
出てきたら、彼はテレビをつけずに待っていてくれたから、嬉しかった。まだ濡れ髪の俺に君が笑って、笑ってくれた君に照れ隠しに俺も笑った。
テレビに集中してないと、二人っきりで、理性、飛んじゃいそうだったからって正嗣が言ったから。テレビは絶対につけずにいようって思った。
「……ぁ」
見つめられて、ゾクゾクした。視線が射抜くように強かったから。
「ンっ」
「まだ髪濡れてる」
「あっ……ん」
「急いでくれたんですか?」
ベッドに押し倒されて、首筋にキスをされて、片言で話す正嗣の唇の熱さにすごく感じた。
「んっ……ん、ン」
キスをして、舌の熱さにクラクラした。
「……ン」
舌が絡まり合うと溶けそうなくらい。熱くて、すごく深いキスだから、唾液が溢れそう。あんなにたくさん練習したことを思い出す暇なんてこれっぽっちもなくて、ただ正嗣の舌に応えて、追いかけるので精一杯で。
「あっ……」
途中、息をするのが上手にできなくて、けれど、舌が戸惑ったのを気がついてくれる。そっとキスを離して、待ってくれる。
「苦しかったですか?」
「ん……まだ上手にできな、くて、もっと、練習」
「いいよ」
「ぇ?」
キス、呼吸、で調べないとって思った。
「キスが下手な最上さん、すごい可愛くて、好きだから」
「!」
「そのままでいいです」
今度は齧り付くように、もっともっと深いキスだった。激しくて、はしたなくて。唇を重ねてるだけなのに、部屋にやらしい音が響くくらい、濃厚なキス。
そのキスに翻弄されて、また息ができなくて。
すると、少しだけ離してくれる。
「はぁっ」
息をするとまた激しくて濃厚なキス。角度を変えて何度も、何度も、絡まり合って、まだキスだけなのに、切なくて、恋しくなる。
「あ、早くっ」
何を早く欲しいと思ってそんなことを言ったのか自分もわからない。でも、自然とそんな言葉をキスの合間に溢してしまうくらい。
キスに感じた。
「……ぁ、はぁ……あっン」
激しいキスを終えて、濡れてしまった唇を手の甲で拭おうと思ったら、乱れた呼吸も整わないうちに大きな手が服の中に侵入してきた。
「あっ!」
キュッと摘まれて、身体がピクンと感じてしまう。
「あ、ン……ぁっ」
乳首を抓られて。
「あ、あ、あ、あっ、それっ、ンっ」
カリカリって爪先で引っ掻かれて、キスに乱れた呼吸がもっと乱れた。すごく気持ち良いから、身体をくねらせながら甘い声を零したら、その口をまたキスが塞ぐ。
「んっ……ンっ……ン」
キスで舌を絡まり合わせながら、乳首を引っ掻かれて、抓られて、どうにかなりそうなくらいに気持ちいい。理性なんて飛んでしまいそうに。
「あっ……ぁ」
すごく気持ちいいから、ズボンを下着ごとずり下ろされた時、恥ずかしさよりも、触って欲しいって気持ちが勝ってしまう。
「あぁ」
触られて、握られて、感嘆の溜め息が溢れてしまう。
「あ、あ、あ、あ」
「最上さんの、濡れてる」
「こ、これはっ」
「エロい身体なのに」
「あ、やだっ先のとこ、したら、イッちゃう」
「ホント……可愛いです」
「や、あっ、ダメ、あっ」
キュッと握られて、自分の手しか知らない身体が嬉しそうにイった。ぴゅっと白を飛ばして。
「あっ……」
蕩けそう。
「ん……正嗣」
イったばかりで息も整わない俺を正嗣がすごく眩しそうに見つめてた。見つめられて、少し恥ずかしいけれど、でも、恥ずかしいよりも。
「最上さん……」
正嗣にも気持ちよくなって欲しいって、思う。
「ここ、すごい」
ドキドキしながら、ズボン越しにだってわかるくらいに張り詰めた股間に、服越しにキスをした。
「最上さん、口でするのは……無理しなくていいですよ。したこと、ないでしょ?」
俺の頭上にキスをしてくれた。まるで大丈夫だから、それしなくていいよ、とでも言うように。けれど、俺は頬を擦り寄せたまま、下着と一緒にズボンをずり下げて、跳ねるように飛び出た正嗣のに、キスをした。先のところにそっと丁寧にキスをして。
「……やだ、する」
そう小さく呟いて、口に咥えた。
「……ン」
口に入りきるだろうかと心配してしまうくらいに硬くて熱い、正嗣のを口いっぱいに頬張って、舐めて濡らしてく。
「ん、ンっ……ン」
あとで、自分の中に。
「んっ……ん、ふっ……ン」
この太いのが入ってくるんだって思いながら。
「ん、ン」
こんな硬いのが入っちゃうんだって、思いながら。
「ん、ン」
「最上、さん」
あとで。
「その顔、反則」
「えっ? あ、やだ、そこは汚いっ」
まだ舌でたくさん舐めようと思っていたのに、巧みに体勢を入れ替えられて、四つん這いにされ、ものすごく恥ずかしい格好で、ものすごい箇所にキスをされて慌てて手を伸ばした。けれど、その手は捕まれ、繋いだまま、尾骶骨にキスをされて、歯を立てられて、お腹の底がきゅぅんと切なく締め付ける。
「や、それっ」
熱くなる。
「あぁぁ」
孔にもキスをされて、ローションを垂らされたあと、指が入ってきた。
「はぁっん、指、ン、だめっ、そこっ」
難なく探り当てられた前立腺を指先に可愛がられて、ほら、またお腹の底が切なくなる。キュンキュン、うるさいくらい。恋しそうに鳴く子犬みたい。
「正嗣」
ベッドに顔を押し付けるように突っ伏しながら、お尻だけは高く掲げる、はしたない格好のまま、背中を丸めて振り返ると、正嗣が臀部にキスをしてくれるところを見てしまった。すごいところを舐められてる。指を入れられてる。こんなの恥ずかしいのに、気持ち良さがすごくて。恥ずかしいのが消えてしまう。
さっき、した。
さっき、フェラチオをして、口に頬張った。
あの熱いのが、早く欲しくなる。
「あっ、ン……」
そこ、に、欲しい。
「限界」
「あ、っ、正嗣っ」
ねだってしまいたくて甘い声を上げたら、キュンキュンしていた孔から指が抜かれた。見たら、ゴムを着けてるところだった。
「あっ……」
そして背中に正嗣の重さが乗っかる。
「最上さん……」
正嗣の声が掠れてた。その声が色っぽくて、その声に呼ばれて。
「ん」
早くあの熱いのが欲しいって思いながら、小さく返事をして、手を伸ばした。
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