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第51話 真っ赤なトマトはとても美味しい。

 親しみが湧いて、もっともっと深い関係になったら、もっと正嗣を近くに感じられたら、もう、怖がり虫は出てきたくても出てこれなくなるんじゃないか?  俺の中が正嗣でいっぱいになれば。  だから構わないって言ったんだ。やばくて構わないって。 「んっ……んくっ……」  攫われるように正嗣の部屋に手を繋いで入ると、玄関を締めた途端にキスをくれた。舌を絡め合う濃厚なキスをしながら、抱き合ってもつれるようにベッドに転がって。目が合うだけで、心臓がトクンと高鳴る。 「荘司」 「……ぁ」  名前を呼ばれると、トクンって。 「荘司」  ほら、また胸が。 「あっ……ン、ぁ、そんなとこ、舐めっ」 「荘司……」 「あっ……」  正嗣のシャンプーの匂いがする枕にぎゅっと抱きつきながら、四つん這いになって脚を開いてる。腰だけ高く突き上げるような格好で、その腰を大きな手に掴まれてるだけで、その手にさえ感じるんだ。 「あっ、正嗣っ」  手に手を重ねて、振り返ると、ローションが垂らされてくところだった。とろりとした透明な雫が正嗣の掌に滴り落ちて、それを纏った指が。 「あっ……ンっ」  指が入ってくる。自分のじゃない指は少し長くて、二本、挿いると、少し苦しくて。 「あぁっ……」  とても気持ちいい。 「あっ、あっ」  くちゅりと音を立てて、中をまさぐられながら、尾骶骨を甘噛みされたら、前がピクンと反応した。お腹にくっついてしまいそうなくらい、嬉しそうに勃ち上がってて。 「やぁっ、ン」  前立腺を指に撫でられて、とろりとローションみたいに雫を滴らせる。 「ぁ……ん」  甘い声をあげて、背中を反らせて、もっとして欲しいってねだるみたいに腰が勝手に揺れてしまう。 「ん、んっ、ぁ、そこっ……あ」  正嗣の指がとても気持ちいいって、孔の口をキュンキュン窄めながら、奥のところが切なくなる。 「あっ……正嗣」  手を伸ばして、彼の脚を撫でた。背中を捩って、太腿の内側のところを撫でて。 「やぁ、ぅ……ン」  寂しがりな猫みたいな声を上げながら、抜ける指にさえ蕩けて。 「荘司」 「あっ……」  名前を呼ばれるだけで、その声に自分の名前を呼ばれることにも感じて。 「あっ、んむっ……ン、ん」  舐めて、キスをした。 「んっ、ンむっ……んく」  正嗣の。 「おっきい」  先端にキスをして、唇でゆっくり咥えてく。口の中で舌も使って。 「ん、んっ……ン」  あとでこれを挿れてもらうことを思いながら、丁寧に唇と舌で濡らしてく。 「荘、司」 「んっ」  どうしよう。 「ん、んっ……んむっ……ンン」  お腹のところがキュンキュンする。 「それ、やば……っ」  小さく息を詰める正嗣を見上げながら、誘うように口を開いて、太くて硬いのを咥えてる様子を見せた。 「っ」  それを見て、触れるように添わせていた舌にもっと硬く熱くなったペニスがぺちんと当たる。 「荘司っ」  嬉しくて、竿を握って扱きながら、根本にキスをした。丸いところにもキスをして、舐めて、顔を埋めるようにそこを口に含んで。 「っ、荘司っ」  名前を呼ばれるのも、手の中でビクビク跳ねてくれる太くて硬いのも、どっちも嬉しくて、丁寧に、少しはしたなくしゃぶりついた。  目元があまり見えないようにと少し長めにしている前髪をそっと正嗣の長い指がかき上げる。しゃぶりついてる口元を見つめられて、多分、黒子のある辺りを長い指が撫でて、顎をくすぐられた。 「エロ、すぎ」  本当? それなら嬉しい。  口の中は正嗣のペニスでいっぱいだから話せないけれど、目を細めて嬉しそうにして見せると、口の中でまたぴくんと跳ねた。 「荘司」  フェラチオをしてるのは俺なのに。 「あっ……まだ」 「ダメ、もう限界。イキそう」 「なら、口の中で」  お腹の下の部分、身体の奥がキュンキュンしてる。 「荘司」 「……ぁ」  早く彼が欲しいって、切なくなってる。  この太くて硬いのでここを突いて欲しいって。 「んっ……ン」  抱き締められて、キスをしながら、ベッドの上にあぐらをかいて座る正嗣に跨るように腰を引き寄せられた。さっきまで口に頬張っていたペニスと自分のがくっついて、どっちも濡れてて、興奮した。 「あっ……ん」  早く彼のが欲しいなって、焦がれながら、ねだるように舌にしゃぶりついて。 「んっ、ン」 「待ってて」 「あ、今日、ダメ、か?」  ゴムを取ろうとした正嗣の手に手を添えて止めた。 「このままがいいって言ったら、ダメ?」 「……ぇ?」 「ゴムしないでって」 「……」 「やばい? その、俺のテンションも」  顔はきっとトマトみたいに赤くなってておかしいだろうな。どんな時もマスクで、目隠しで、隠してばかりいたから大丈夫だったけれど、今、すごく変な顔をしているだろう。 「正嗣のこと、すごく好きで、すごく」  けれど、彼には見せたいんだ。俺の全部。 「欲しいんだ」  真っ赤なトマトみたいな俺も。はしたなく脚を開いて焦がれる俺も。全部。 「あっ……」 「っ」  太くて、大きくて。 「あ、あ、あ、正嗣っの」  熱くて、気持ちいい。 「荘司」 「あ、あああああああっ」  彼でいっぱいになるとすごく嬉しいんだ。イッてしまうくらいに。 「熱い、大きいのが」 「っ、生、やばい」 「あ、あ、あっ」 「荘司」 「あぁぁっ、ン」  くちゅりと甘い音を立てて、イったばかりの身体が揺らされる。正嗣に抱き抱えられるような格好で下から突き上げられて、奥が、さっきからキュンキュンしてる奥がたまらない。 「やぁっ……んっ」 「っ」  中がしゃぶりつく。  太くて硬いのに絡みついて、隙間なく締め付けてる。 「あ、おっきぃ」  全部気持ちいいんんだ。 「あ、やぁっん、これ、乳首もしたら、ダメっ、 あ、あ、あ、あ、前、触っちゃ」  触れ合ったところ全部がとても気持ちいい。  全部を可愛がられて、思わず仰反ると、大きな手が背中を支えてくれた。その手も気持ちいい。脚を大胆に開いて、繋がってる場所を晒して、見つめられる。その視線だって、すごく感じる。 「あ、正嗣」 「っ」 「あ、そこもっと、奥して」 「荘司」  すごく嬉しいんだ。 「あ、ぁ……本当、だ」 「荘司?」 「名前呼ばれると、すごく」 「……」 「深く繋がれたって感じて、嬉しい」  手を伸ばしてもっとくっついていたい。 「正嗣、中に、して」  ぎゅって抱きついてその耳元にキスしながら彼を抱き締めた。 「あ、あ、あ、あ、激しいっ」 「荘司っ」 「あ、イク、イクっ……ん、ぁっ」  とてもとても激しく中をいっぱいにしてもらったから。 「あ、イクっ、あ、あ、あ、ああああああああ」  怖がり虫なんて、ちっとももう出てこなくて。代わりに、正嗣でいっぱいになる。 「あっ……ぁっ……正嗣っ」 「っ、ごめっ」  ドクドクしてる。 「んっ」  中で、正嗣が、すごい……。 「あっ……ン、正嗣」 「っ、……」  中が正嗣でいっぱいだ。 「あっ、正嗣っ、の」 「っ」  それが嬉しくて、中がきゅうきゅうしてる。 「あ、あっ……ん、あっ、何、なんでっこれ」  身体が止まらないんだ。びくんって跳ねてしまって、慌てて、困って正嗣に手を伸ばしたら抱きしめてくれた。 「可愛い。荘司、イクの止まらない?」 「あっ、待っ、あぁ、今、動いたら」 「真っ赤だ……荘司」  だって、名前で呼ばれると感じてしまう。中がいつもよりも熱くて蕩けてしまう。 「恥ずかし、い……トマトみたい、だろ」 「美味しそう」 「あ、ああああっ待っ、あ、あ、あっ」  必死に抱きつきながらその耳元に言ったんだ。 「普通は、トマト、苦手な野菜上位なんだ、ぞっ」  って、そう言ったんだ。そしたら。 「俺は好物です。しゃぶりつきたくなるくらい、好物ですよ」  そう答えて、抱きしめてくれるから。 「あっ……ン」  怖がり虫がいなくなった代わりに、愛しさがいっぱいになって溢れるほどだった。

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