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第63話 星空の下
個室露天風呂は確かに写真で見るよりも小さかったけれど、でも二人で入るには充分だった。どうせ、どんなに広くたって。
「あれが、夏の大三角形だ」
重なり合うように湯に浸かっているんだから、あまり広さは関係ない。
「デネブ、ベガ、アルタイル」
「へぇ、本当に詳しいんですね」
「なんだ、俺が、天文部にいたって言ったの信じてなかったのか?」
振り返ると、そんなことないですよって正嗣が笑ってる。
湯に浸かりながら、背中を正嗣の懐に預けるように重なって、夜空を見上げてた。部屋の明かりも消してしまえば、辺りは真っ暗で、夜空の星が驚くほど綺麗に見えた。
「すごいな、ここは、俺の田舎と同じくらいによく星が見える」
とても田舎だから、なんにもないけれど、星はとにかくよく見えたんだ。
「正嗣は天の川って見たことあるか?」
「んー、ないですね。見えるんですか?」
「あぁ、すごくよく見えるよ。こんなものじゃないんだ。本当に綺麗に見えるんだよ。それこそ、実家のベランダでも」
「……へぇ」
「ほら、よくあるだろ? 流星群とか」
「そういうのもよく見える?」
そりゃすごいさ。本当に星が「降る」んだ。一つ二つなんてものじゃない、いくつもいくつも降ってきて、コンマ何秒の瞬きをする間にいなくなってしまうほど一瞬だけれど、次から次へ降ってくるから、頼み事をするのはとても容易い。そう話すと、頼み事って言い方が楽しいと正嗣が笑ってる。
「いいですね。星が綺麗に見えるなんて」
「……あぁ。ここもすごく見るが、もっとすごいんだ。うちの辺りはほとんど星が見えないもんな」
「そうですね」
そう都会でもないけれど、それでも街灯や民家の灯り、あっちこっちで夜を照らす明かりが灯っているからか、夜空にはあまり星が輝かない。いくつか、それこそとても大きな星くらいしか確認はできない。
「正嗣が俺の実家の夜空を見たら、きっと驚くぞ」
「かもしれないですね」
「あぁ」そう返事をしようとまた振り返ったら。
「……ん」
とても優しい顔で見つめられていた。
「ン」
それはまるで夜空に光る星を愛でるような。わずかな明かりにさえ見えなくなってしまうような、か細く、けれどその分とてもキラキラと儚く輝く星を愛しむような。
「ん……ぁっ、正嗣」
抱き締められ、キスが深くなる。
「……あっ」
湯の中で浮力に助けられながら、体勢を入れ替えた。
「あ、正嗣」
腰を抱かれ、向かい合わせになった俺の胸に正嗣がキスをすると、まだ敏感な身体は跳ねて、湯がちゃんぷんと音を立てた。
抱き合ったばかりだから、とても感度が良いんだ。ほら、乳首を食まれると途端にスイッチが入ってしまう。声が甘くなる。吐息が荒くなる。そして、食まれた乳首は硬くなって、舐めて欲しいとぷっくり膨れる。
「正嗣、あ、あっ……ン、そこっ」
抱き合ったばかりだから、まだ、すごく柔いんだ。
「あ、ダメ、ここは外だ、から」
「シー……平気」
平気なわけあるか、そう思うのに。身体はもう期待してしまっていて。
「激しくしないから」
「あっ」
まだ、ほら――指を遠慮なく咥えてしまう。
「あ、あ、あ、声出ちゃうっ」
指を咥え込んで、奥までは届かないその指をギュッと締め付けてしまう。中も、して、って。乳首みたいに。
「あ……正嗣」
して、って。
「荘司」
「あっ……」
また湯がちゃんぷんと音をさせて波が立つ。太い正嗣ので貫かれた身体が気持ち良さそうに跳ねたせいで。
「あぁっ……ん、ぁ」
「中、柔らかいですね」
「あ、あ、あ、だって、さっきまで」
ずっぷりと差し込まれて、はしたなく足を広げたまま、その首にしがみ付いて、湯の浮力に揺れてる。
「正嗣のこの大きいのがずっとここに入ってた、ぁっ、あぁ」
腰を掴まれて、もっと奥まで挿し貫かれて、背中が快感にのけぞった。そしてその胸に正嗣の歯が突き立たれて、乳首を。
「あ、あ、あ、あ」
乳首を甘噛みされる。
「やぁ……ん」
歯がしっかりと、乳首の先端に突き刺さってるのを見て、また孔が正嗣のペニスをきゅぅんって締め付ける。しゃぶりついてる。
「ふわぁっ、あ、あっ」
今度は乳首を口に含まれて、その口腔の中で舌にたっぷりと舐められ、とろりと濡らされる。
「あ、あ、あ、正嗣ぅ……あ、あ、もっと、して」
声なら、我慢するから、ってその唇にキスをしながら、自分からも腰をくねらせ、正嗣のペニスを扱いて誘う。
「激しく、して」
言いながら正嗣の唇をぺろりと舐めたと同時に抱え上げられた。
「掴まってて」
「あっ! あっ……ん、ン」
湯が騒がしく音を立てた。
激しく、正嗣がしてくれるから。
「あ、それ、イッちゃう、そこっ」
気持ち良くてたまらない。もっとして欲しくて、言われたまましっかり掴まりながら、大股開いて腰を揺らした。
「あ、あ、あ正嗣っ」
「荘司」
「あ、あンっ……ぁ、ん」
「荘司、好きです」
「あっ!」
中がキュンキュンしてしまうんだ。外なのに、星空の下なのに。彼の太いペニスに貫かれて、突かれて、奥まで抉じ開けられて。
恋しい人と抱き合えるとたまらなく嬉しくて仕方ないから、身体が気持ちが悦んでしまう。
「あ、正嗣っ、も、ダメ、イク、声っ」
「愛してます」
「ん、ん、んんんんんんんっ!」
イク瞬間、甘い声を上げてしまうから、キスで塞いで欲しいと口を開けた瞬間、告白が口移しで中に流し込まれたみたいだった。
「んっ…………ンっ……ん」
とても深い告白を口腔から身体へ流し込まれて、身体の奥は正嗣でいっぱいになるほど満たされて。
「あっ……正嗣っ」
星空の下、愛してる人をぎゅっと抱き締めていた。
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