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ハメ!撮り!編 2 愛されてる

 正嗣が毎年行われている泊まり込みのみっちりセミナーへ参加することとなった。一般企業からも集るセミナーで多種多様な人材がこれからの未来へ向け学ぶ場でもある。法務にも詳しくなれるし、環境問題への知識も深まる。 「ちょ、本気なのか?」  三日間、泊まりで。役所勤めのしがない職員だ。バカンスとは程遠いビジネスホテルだが、案外楽しいし、なにより和牛が美味しかった。とても応援している。 「はい! 本気です!」 「んなっ」 「んなっ!」  そのセミナーに送り出すことになった。 「ね? 荘司」  そして、ハメ撮りをすることになった。 「ねって、ねって、あのっ、正嗣っ」 「当たり前だけど、絶対に俺以外は見ないです」 「当たり前だ!」 「はい。でも――」  職場の休憩室で突拍子もないことを言って。俺は目玉が飛び出そうになって。でも、まだそのあとも仕事はあったから、飛び出そうな目玉でも頑張って仕事をした。  そして、帰ってきて、夕食を食べ終わってシャワーを浴びて、スマホをフル充電にしたりして。  ハメ……撮り……を。 「三日も荘司に触れないなんて干からびる」 「そ、それは……」  俺もだ。今までずっとひとりぼっちで大丈夫だったのに。 「三日間、いい子で仕事頑張ってきますから」  今の俺は正嗣がいないときっとカラカラに干からびてしまう。 「ね?」 「ん……」  パジャマの襟口に正嗣の唇が触れる。ワイシャツでなら見えないけれど、クールビズをうたっている職場ではポロシャツも可だから、そこは触れるだけ。  キスマークをつけていいのは、パジャマを大胆に捲り上げてから、乳首の。 「あ、ン」  近くを少し強く吸われた。 「あ、あ、正嗣、これ、もう?」 「撮ってますよ。ちゃんと撮れてる、かな、あ、大丈夫っぽい」 「あっ」  正嗣のスマホがベッドの脇、サイドテーブルのところにいつの間にか立てかけられていた。カメラの向きを反転させてるからスマホの画面には今、パジャマを捲り上げられて、正嗣に覆い被さられている自分が映っている。  慌てて正嗣の懐に潜り込んで、そのカメラの視線から隠れた。 「荘司?」  ソウは一人でしてたから。 「恥ずか、し……」  誰かとしてる自分なんて見たことなかった。  鏡で見るのとは違う、スマホの画面で切り取られたベッドシーンは少し他人事みたいで不思議な感じがする。それに、全然違う。 「荘司」 「あっ……ン」 「今の顔、すっごい可愛いです。ちゃんと映ってるかな」 「あぁっ、乳首、気持ち、い」  ソウがしてたのは行為だけ。 「あ、ン、乳首、もっと」  今してるのは、それとは違う、愛あるセックス。 「あ、あ、あ、歯で、されるの、好き、ぃ」  君と、愛し合ってる。 「やばい……」 「? 正嗣? あ……ん」  乳首を可愛がってくれた正嗣が顔を上げて、齧り付くように唇重ねた。舌を差し込まれて、慌ててその舌に齧り付きながら、角度を変えてもっと深くってたくさん口を開いて、しがみつく。 「ン」  たっぷりと口付けを交わしてから、正嗣がふわりと微笑んで、額にもキスをくれた。これは柔らかくて優しくて甘いキス。 「今日の荘司、いつも以上におねだりして、素直で、いつも素直だけど、甘えてて可愛いい。いつも可愛いけど」 「あ、ン……っ、だって」  またチラリとスマホの方を見たら、正嗣に抱き締められて、頬だけじゃなく耳まで真っ赤にしている自分が映っていた。 「あ、あい、あい」 「?」 「愛、されてる……なぁって」  真っ赤になって、嬉しそうに好きな人にしがみつく自分が映ってる。 「荘司」  愛されてる自分が映ってる。 「それ、反則、今の、すごい来た」 「あっ! あ……ん」  キスが胸よりもっと下へと移動する。パジャマのズボンを少し下へとズリ下げてから、おへそのところにキスをされると背中を反らせてしまうくらいに唇の柔らかさが心地良い。 「めちゃくちゃ、愛してますよ」 「あっ」 「荘司」  正嗣のキスに夢中だった。肌がざわざわしてしまうくらい、正嗣の唇にばかり集中してて。名前を呼ばれて顔を上げて気がついたんだ。  いつの間にかベッド脇に置いてあったスマホは正嗣の手に持ち替えられていて、愛撫に悦んで色付いた乳首を多分、撮られてる。スマホの画面は正嗣の方を向いているから、今はもうどんな様子か見えないけれど。 「映ってる? 俺からは見えないけど」 「あ、待っ」  下着ごとズボンを脱がされて恥ずかしに大慌てで手を伸ばす俺が、きっと、映ってる。 「あぁぁっ」  口に咥えられて喘いでるところも。 「やぁぁっ……ン」  足を大胆に開いて、ペニスの根本に、足の付け根に、キスマークをつけられてるところも。 「あっン……あぁぁぁ、あっ、指、ぃ」  ローションを孔に塗られて、そのまま指をずぷぷと挿入され、甘く喘ぐところも。 「あっ」 「もう中のとこ、膨らんでる」 「あ、あ、あ、そこ、ダメっ」  全部、映ってる。 「待っ」 「だーめ」  指に前立腺のところを撫でられて、たまらなく腰を浮かせた。 「あっ! あ、あ、あ、あ」 「指、気持ちいい?」 「あ、ん……気持ち、い」  ソウの時にたくさん撮影してたのに。本当にたくさん撮ったんだ。乳首を摘んで抓ってピンク色が濃くなるまでいじるところも、ペニスを自分で扱くところも、指でここをいじるところだって。 「正嗣の指、気持ちぃ」  たくさん撮ったけれど、でも、これはなかった。 「俺の指、好きですか?」 「あ、好きっ、あ、あ、あ、だめ、そこはっ」 「好き?」 「好き、ぃ、あ、あ、あ、あ、あ、そこ、イク、イク」 「いいよ」 「あっ……あ、あ、あ、ダメっ」 「イクところ、見せて」  指が気持ちいいところばかりを撫でて可愛がる。 「荘司」 「あ、あ、あああああああ!」  そして、腰が浮くくらいに身体を捻らせて、愛しい人の指でイカされたところを正嗣と、その手の中にあるスマホが見つめてた。

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