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第6話

「バレンタインに恋人にガトーショコラを作ってプレゼントしたいからって言われたから、お菓子作りを教えてたのよぉ~なによ、もぉバレたの?ホント嘘つくの下手よねぇ……」 スピーカー機能にしてある優輔のスマートフォンから聞こえてくるのは、呆れた北町泉の声だ。 寝室へ戻ってきた寛也は優輔にスマホを渡す、というかスマホは寛也が持ちながら優輔に操作をさせ電話をかけさせたのだ。 そう、優輔はまだ縛られたままだ。 「……これで納得した?」 「うん、泉さんもありがとうございます、じゃあ、本当にシャツは泉さんの物なんですね」 「そうよ、チョコレートを湯煎で溶かしている時に汚しちゃったから」 「ハンドクリームも?」 「えぇ、だってガサついてて美しくないんだもの、大丈夫よ、私が塗ってあげたりなんてしないわ、ただの同僚にそこまでする訳ないじゃない」 「そうですよね、すみません、遅い時間にありがとうございました」 「いいのよ、誤解が解けたならよかったわ、今度またお店に遊びに行くわね」 「はい、お待ちしております」 「泉さん、すみませんでした」 「あんた、もっと上手く隠すか、隠せないなら話すなり立ち回るなりしなさいよね、おやすみ」 「はい、おやすみなさい」 電話は切れた。寛也は直ぐにスマホを枕元に放ると、優輔に向き直った。 「優輔、ごめんね」 真摯な瞳が見上げてくる、だけどその顔はまだ強張ったままだ。後悔しているのが見るだけで分かる。 「……オレこそ……話せなくてごめんな、余計な不安を寛也に与えた……」 泉も言っていたが、嘘がつけないならそれなりに上手く立ち回ればよかった。だが、そこまで器用ではない優輔は嘘も付けず、ただ寛也に不信感を与えてきた。 互いに猛省する二人の間には重い沈黙が落ちた。 「……寛也……」 今こそ抱きしめたいのに。いや、抱きしめられないからこそ、言葉で伝えられるのか。 「何でも話していたからこそ、変に隠し事が出来なかったのかな……オレがもう少し……なんというか……」 やはり抱きしめたい。言葉よりも明確に伝わる筈だ、というか。 「……寛也……そろそろ……」 縛られたままの腕を差し出せば、寛也は頷いて微笑んだ。 「うん……そろそろ再開しようか」 「……は?再開?」 「今度こそ、お仕置きプレイを楽しむといいよ、優輔」 「寛也?!」 「でも、その前に」 細い、だがしなやかに筋肉のついた腕を伸ばし寛也は優輔の首に抱きつきキスをした。 「……もう、隠し事はしないでね」 「あぁ……」 見とれる程な優美な笑みを浮かべ、寛也は熱いキスをくれた。今日初めての偽りのない愛に優輔の鼓動は速くなる。 「……寛也」 「優輔」 目を細め、うっとりとした手付きで首から頬に手を移し優しく撫でていく。まるで猫にでもなった気分で愛撫を受け入れる。 「……よかった、この体はオレだけのものだからね……」 「……あぁ……」 シーツが背中に付き、寛也はまた優輔の腕を頭上に掲げた。先程と同じなのに、まるで違う。その手は、唇は気遣うように最上の愛を優輔に注いだ。 捲り上げたトレーナーから覗く乳首は既につんと尖り、その体は全てに期待で満ちていた。 寛也の長い前髪が鎖骨に掛かるのがくすぐったいが、それは直ぐに気にならなくなる。 乳首に甘く噛み付かれたからだ。 「……んっ……」 小さな乳首を口の中に含み、舌先で弄ぶ。もう片方は指の腹で捏ねる。 慣れ親しんだその指遣いは簡単に優輔の体温を上げ、熱を溜め込んでいく。 「はぁ……ひろ……!」 きつく吸い上げられ、堪らず声を上げる。 顔を上げ、そのまま上体を起こした寛也は優輔の恥態を熱のある瞳で見つめた。 厚い胸板に付いた飾りは寛也の唾液でてらてらと濡れている、逞しく割れた腹筋に手を付き胸から順に肌の上にキスを落としていく。 「ん……!」 キスに気を取られていたが、突然優輔自身を寛也が握り混む。胸の刺激を受け大きさを変えていたそれは、寛也の手でどんどんと育っていく。 「……ぁ、ひろ……」 足の間に体を入れ、優輔の足を開かせる。 起立したそれを扱きながら、寛也はまた胸に執着を始めた。

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