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8月4日(火)_02

…8月4日(火)_01の続き… 俺の手を繋いで、春ちゃんはご機嫌で歩の叔父さんのお店に行く。 「春ちゃん…もうしないで…」 目の前の大きな背中にそう言って、お願いする。 「どうして?」 こちらを振り返らず、春ちゃんはそう言って聞いて来る… 「友達が…そんな風になるの…やだから…」 そう言って、彼と繋いだ手を見る。 「好きだよ…お前がずっと好きだった。いつも星ちゃんの隣にばかりいて…悔しかった。一緒のベッドで寝てるんだろ?お前たち、もしかして…そういう仲なの?」 星ちゃんが少しこちらを振り返って、聞いて来る。 「違うよ…俺が望んだとしても…星ちゃんは、そんなんじゃないから…」 そう言って、彼と繋いだ手をまた見る。 「春ちゃんは…俺のお兄さんみたいな友達なんだ…だから、もうやめてよ…」 そう言って、彼の腕にそっと寄り添う。 「北斗、それって誘ってるように見える…」 お店の前に着いても、俺は春ちゃんとこんなやり取りを繰り返してる… 「誘ってなんかない…ちゃんと分かって欲しかったんだ…」 俺はちょっとイライラして、春ちゃんの体にパンチした。 その手を掴んで、自分に寄せると、俺の腰を掴んで、顔を覗き込んで来る。 「春ちゃん…」 圧を掛ける様に俺の顔を覗き込む春ちゃんから、体を反らして、両手で彼の顔を抑えて嫌がる。 「北斗…気持ちいいの我慢できないんでしょ?だから、お兄さんみたいな友達がお世話をしてあげるんだ…それなら問題ないだろ?」 「ちがう…」 春ちゃんは俺の背中を支えながら、ゆっくりと顔を落としてくる。 唇が触れて…舌が入ってきて… 突然動きが止まる。 俺の両方の二の腕が大きな手に掴まれて、背中に誰かの体があたる… 春ちゃんが上を見ながら、俺から離れる。 俺は後ろを振り返って見上げる。 「北斗に悪戯しないで…この子は俺のだから。」 歩の叔父さんがそう言って、俺の体を後ろから抱きしめる。 「はぁ?」 春ちゃんはそう言うと、苛ついた顔で歩の叔父さんを見上げる。 俺と向かい合う様に移動すると、歩の叔父さんは俺の口に舌を絡めたキスをして、逃げない様に腰を締め付けると、俺の股間のモノをいやらしく撫でた。 嫌だ…春ちゃんの前で… 「ん、や、やだ…やめて…」 顔を反らして両手で拒否する。 ちょっと触られただけなのに、今朝の快感を体が覚えているみたいに、俺のモノが勃起して、腰がビクビクと震える… 「ほら…北斗がこんなに気持ちよさそうにしてるでしょ?この子は俺のなの…。他をあたってよ…イケメン君。」 この大きな手も、大きな体も、優しい低い声も…堪らなくて…頭が痺れてくる。 歩の叔父さんにしなだれて、うっとりする。 この人が良い…あのヘッドホンみたいに…この人が良い… 「…お肉取りに来たんですけど…帰ります。あと、未成年に手を出すと犯罪ですよ?」 そう言って、春ちゃんが俺の手を掴む。 俺はそのまま春ちゃんに引っ張られて、気持ちの良い人から離れる。 俺を見て微笑んで、手を振るあの人に、また気持ちよくされたい… 「何された?!」 春ちゃんが怒って怒鳴る。 「北斗っ!あいつに何されたっ?!」 凄い怒って、俺の肩を掴んで乱暴に振る。 「…言わない。」 俺はそう言って、俺の肩を揺する春ちゃんの手を掴んだ。 バシン! 春ちゃんの平手が飛んで、俺の左の頬を打つ。 俺は頬を抑えて、彼を見る。 「何されてんだよ…!お前の事、好きなのに…勝手に何されてんだよ!!昨日、お店に行った時から、おかしかったんだ!お前の事ばかり見て、おかしかったんだ!」 激高して騒ぐ春ちゃんを、静かに立って見つめる… 「思春期はエッチがしたい年ごろだって、言ってたよ。だから、春ちゃんも歩としたんでしょ?俺だって、誰かと、気持ちよくなりたいよ…」 俺はそう言って、春ちゃんにへらへらと笑う。 春ちゃんは笑った俺の顔を見て、もっと怒って俺の頭を平手で叩く。 「俺がいるじゃん!俺がいるのに…なんで、よりによって、あんな年上の奴と?」 「あの人、すごく気持ちいいんだ…。だから、やるならあの人とが良い…」 それに、と言って、春ちゃんを見る。 「春ちゃんは友達だから、そんな風にはしたくない…」 春ちゃんはそう言った俺の体を抱きしめて、すごく強く抱きしめて言った。 「星ちゃんは知ってるの?」 何で…何で今、星ちゃんのことを言うの? 俺は春ちゃんの胸に顔を押し付けて、スンスン鼻を鳴らして言った。 「星ちゃんは知らない…」 「絶対言うな」 絶交しちゃうの? 男としちゃうエッチな俺の事、軽蔑して… 絶交しちゃうのかな… 「春ちゃん…誰にも言わないで…」 そう言って、彼の体に抱きつく。 前まではこの体が一番大きかったのに…俺はそれ以上大きい体を知ってしまった。 そして、その体は、低くて素敵な声を出して、とっても気持ちよくしてくれる… 最高の体なんだ… 「えっ?お肉、買ってきたの?」 別荘に戻ると、歩が驚いてそう言う。 「なんか、思ってた肉と違ったから…商店に行って買ってきた。」 俺は何も言わないで、春ちゃんの後ろで下を見て足を揺らす。 星ちゃんが近づいて来て、俺に聞く。 「何かされた?」 「ほっぺ叩かれた~」 そう言って、叩かれて赤くなった頬を見せる。 「…なんで?」 「ん~、俺が生意気したから…」 そう言って星ちゃんの体に項垂れて頭を付ける。 星ちゃんの匂いがして、安心する。 「星ちゃんも、一緒にご飯作る?」 一緒に居たくて、誘ってみた…。 「良いよ」 そう言って、星ちゃんが俺を連れてキッチンに向かう。 頭の中に歩の叔父さんがチラチラして、今にも行ってしまいそうな体を抑える様に、星ちゃんを抱きしめて、自分を繋ぎとめる。 「お肉、肉、肉~」 博が変な歌を歌ってお肉の下ごしらえをしている。 俺と星ちゃんはサラダを作る。 「ほら、北斗。プチトマト。」 そう言って、星ちゃんが俺の口にプチトマトを入れてくれる。 歯で噛むと、プチトマトがはじけて星ちゃんに汁が飛ぶ。 「んふふ、ごめ~ん」 そう言って、Tシャツの裾で星ちゃんの顔を拭く。 Tシャツの下から見えた俺の腹をポンポン撫でて、博がため息を吐く。 「北斗の腹は腹筋のふの字も無いな…」 そう言ってどや顔で自分の腹を出す。 「ああ!やや割れてる!」 そう、やや、割れた腹筋…ガリガリの体に、正直、微妙だった。 「春ちゃんのがバッキバキに割れてるもんね~!」 俺はそう言って、鍋を持つ春ちゃんのTシャツをまくる。 手のひらでなぞると、隆起している表面が手にあたって硬い… 「ほら、見ろっ!博は俺の仲間だ!」 そう言って、俺は博にキックする。 星ちゃんのお腹が割れているのは知ってるから、教えてあげない。 白くてもっちりして良いお腹なんだ。 「星ちゃんは?」 博が星ちゃんのTシャツをまくり上げるから、俺はちょっと嫌だった。 「どっちかと言うと、俺は星ちゃんの仲間で北斗の仲間じゃない。」 そう言って博が俺にキックするから、オレは怒って博にもっとキックした。 「もう、止めろ。ご飯がいつまでも出来ない…!」 春ちゃんがそう言って、俺を博から離す。 フンだ。 星ちゃんに口を開けて、プチトマトのお代わりを貰って落ち着く。 あっという間にサラダが完成した。 俺は、ほぼ何もしてない。 博が上手にフライパンを振って、お肉を焼いている。 「さすが、中華料理屋の息子だ!」 俺はそう言って楽しそうにそれを見る。 春ちゃんは美味しそうなお味噌汁を作っていた。 お玉にすくって味見をしているから、俺は傍に行って口を開けた。 「お前は雛か何かか?」 そう言いながらフーフーしたお玉を俺の口に付けて流し込んでくれる。 「あぁ…美味しいね~」 意外に繊細なお味のスープが出来て、驚いた。 春ちゃんは料理も上手なんだ…。 テーブルの上を片付けて、お箸を並べる。 野菜炒めと、味噌汁と、サラダを乗せて、皆を呼びに行く。 俺の隣に星ちゃんが座って、いただきますして食べる。 「野菜炒め、うま~」 渉がそう言って、バクバク食べるから、俺も急いで食べる。 「そんながっつくと、お腹痛くなるよ…?」 星ちゃんに言われて、よく噛んで食べる。 「そうだ、北斗。さっき叔父さんから電話があって、ちょうど良いヘッドホンが見つかったから、取りにおいで~って言ってたよ?」 春ちゃんが固まって、俺の方を見ている。 俺は歩に向かって笑うと、わ~い。と言って喜んだ。 ヘッドホン。 これが気に入った…他は要らない。 でも、あの人の所に行く口実としてなら、丁度いいと思った。 星ちゃんが俺に聞く。 「北斗、一緒に行こうか?」 「ん~明日行ってみるから大丈夫~」 そう言って、俺は保護者の同行を断った。 早く会いたいな… 早く…触れてほしい。 俺の体を好きにしてほしい… ドキドキしながら、それを隠して笑う。 春ちゃん…ごめんね。黙っていて。 どうしても我慢できないんだ…あんなに気持ち良かったの。初めてなんだ。 もっと、してみたいんだ…だから、内緒にしていて… どうせ、一か月後には元に戻るんだし。 そう言って春ちゃんに口止めした… 春ちゃんは怒っていたけど…俺が言う事を聞かないのは知ってるから… 黙って怒っていた… 「ご馳走様~」 お料理係はこれで解散して、作らなかった人たちが片付ける。 星ちゃんは早々にお風呂に入って行った。 本当にお風呂が好きなんだ… 俺はリビングのソファに座って、付いていないテレビを眺めながら音楽を聴いている。 今にも彼の元に行ってしまいそうな、欲情を抱えながら、ゆったりと流れる音楽に心を静めてもらう。 こんなに欲が強く出るのは、俺が人一倍エッチだからなんだろうか… それとも、歩の叔父さんが人一倍エッチが上手で…虜にさせるテクニックを持っているからなんだろうか… ぼんやりと考えながら、気を逸らすように音楽に集中する。 弾いた事のあるピアノ曲がヘッドホンから流れて、指を動かして一緒に弾く。 楽器を弾かないで…一か月も本当に過ごせるのかな… 自信がない。 音楽を聴かないだけで、あんなに取り乱すのに… 毎日練習してきたバイオリンを置いて来るのを、最後まで悩んだ。 でも、渉は俺のバイオリンがあまりにしつこいと知っているから、嫌がったんだ。 せっかくのバカンスなのに、目の前で何度も何度も同じものを弾かれるのを… 確かに嫌だと思う。 練習って同じことを何度も繰り返すから…。まるで壊れたラジオみたいに…リピートするから…。情緒もへったくれも無いんだよね… そんなもの、聞かされたら…嫌なのは分かっている。 だから、持ってこなかった…俺のバイオリン。 ただ、音楽だけは耳に留めておこうと…毎日聞くようにしている。 そうしないと、強迫観念にさらされて、パニックになってしまいそうだから… 一日練習しないだけで、どれほど訛るか…俺は知っているから。 怖いんだ。 弾かない時間が…弾けない時間が… 数々の期待に応えて、バイオリン、ピアノ、チェロ…、その練習に明け暮れる毎日。 将来のサクセスまで決められた以上、それに沿わない訳にはいかなくて…ただ毎日鬱屈して生きているのが俺だ。 唯一友達と居る時だけ、楽しくて…求められることも、時間も、忘れて過ごせるんだ。 だから、今は少し休息と思って、のんびり過ごしたい。 大好きな星ちゃんの傍で…両親の事を忘れて、過ごしたい。 そう思って来てみたら、エッチな事に没頭して理性の無くなる自分に笑えて来る。 こんなに激しく誰かを求めるなんて…笑えて来る。 それの発端が、セックスだなんて… 親が知ったらどう思うだろうか… 星ちゃんが知ったら…どう思うだろうか。 ただ、優しくて…愛してくれる人が…こんなに必要だったなんて、笑えて来る。 「北斗、お風呂どうぞ~。」 歩に声を掛けられて我に返る。 「は~い」 そう返事をして、二階の寝室にタオルと着替えを取りに向かう。 寝室に着くと、既に星ちゃんはベッドで本を読んで寛いでいた。 俺はタオルと着替えを持って、星ちゃんの体にダイブする。 「も~、危ないだろ?」 「危なくない。星ちゃんは俺が痛くない様にしてくれるって、知ってるから!」 俺はそう言ってケラケラ笑った。 散らばったタオルと着替えを集めて、部屋を出るふりをしてまた飛び掛かる。 「あはは!星ちゃん…!おっかしいね~!」 俺が笑うと、星ちゃんも笑って言った。 「早く、風呂に行って…!」 俺は追い出されるようにしてお風呂場に向かった。 洗面所のカギをかけて、ヘッドホンを外して、服を脱ぐ。 浴室に入って、体を洗う… 他人に触れられた自分の体を洗って、綺麗にする。 お尻の中を弄られた感覚を思い出して、下半身がゾクゾクしてくる。 泡の付いた体を見下ろして、そっと自分のモノを撫でる。 耳元で囁かれた低い振動を思い出して、ゆっくり扱いてみる。 あっという間に腰が砕けて、立っていられないくらいに快感が押し寄せてくる。 「はぁはぁ…ダメだ、すごく気持ちいい…」 膝をついて石畳の床に座り込んで、自分のモノをヌルヌルした手で扱く… 彼の体の弾力、腕の力強さ…すべてありありと思い出して、すぐに絶頂に向かう。 「あっああ…、きもちい、イッちゃう…!!」 小さく喘いで、腰を震わせると激しく俺のモノが射精する。 思春期だから…なのかな… だから、こんなにいつも抜かないと…おかしくなっちゃうのかな… もし女の人とエッチしたら、やっぱり毎日したくなるのかな… おちんちんって…何なんだろう。 自分の股間にある、吐き出したばかりのモノを眺める。 触ると…気持ちいいんだ。 シャワーで体を流して湯船に肩までつかる。 「歩の叔父さんは、何て名前なんだろう…まだ聞いていなかったな…」 そう呟いて、考える。 知った所で、どうするんだろう… ただの遊びで抱いて来る相手の名前など、知ってどうするんだろう… 手のひらでお湯に波紋を作って、思考を停止させるように鼻歌を歌う。 そして風呂から上がって、洗面所で新しい下着を着る。 部屋着を着て、星ちゃんの待つ寝室に階段を走って上がる。 「星ちゃ~~ん!」 廊下で叫びながら彼の部屋まで突進する。 ベッドで驚いた顔をして怖がる彼を見る。 うしし! そのまま彼に飛びつくと、ベッドが揺れて、ガタン!と凄い音がした。 「北斗!」 星ちゃんに怒られても楽しくて仕方がないんだ… 「あはは!ごめ~ん。」 そう言って笑うと、彼は許してくれるから…俺は甘えてしまう。

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