3 / 55
8月4日(火)_02
…8月4日(火)_01の続き…
俺の手を繋いで、春ちゃんはご機嫌で歩の叔父さんのお店に行く。
「春ちゃん…もうしないで…」
目の前の大きな背中にそう言って、お願いする。
「どうして?」
こちらを振り返らず、春ちゃんはそう言って聞いて来る…
「友達が…そんな風になるの…やだから…」
そう言って、彼と繋いだ手を見る。
「好きだよ…お前がずっと好きだった。いつも星ちゃんの隣にばかりいて…悔しかった。一緒のベッドで寝てるんだろ?お前たち、もしかして…そういう仲なの?」
星ちゃんが少しこちらを振り返って、聞いて来る。
「違うよ…俺が望んだとしても…星ちゃんは、そんなんじゃないから…」
そう言って、彼と繋いだ手をまた見る。
「春ちゃんは…俺のお兄さんみたいな友達なんだ…だから、もうやめてよ…」
そう言って、彼の腕にそっと寄り添う。
「北斗、それって誘ってるように見える…」
お店の前に着いても、俺は春ちゃんとこんなやり取りを繰り返してる…
「誘ってなんかない…ちゃんと分かって欲しかったんだ…」
俺はちょっとイライラして、春ちゃんの体にパンチした。
その手を掴んで、自分に寄せると、俺の腰を掴んで、顔を覗き込んで来る。
「春ちゃん…」
圧を掛ける様に俺の顔を覗き込む春ちゃんから、体を反らして、両手で彼の顔を抑えて嫌がる。
「北斗…気持ちいいの我慢できないんでしょ?だから、お兄さんみたいな友達がお世話をしてあげるんだ…それなら問題ないだろ?」
「ちがう…」
春ちゃんは俺の背中を支えながら、ゆっくりと顔を落としてくる。
唇が触れて…舌が入ってきて…
突然動きが止まる。
俺の両方の二の腕が大きな手に掴まれて、背中に誰かの体があたる…
春ちゃんが上を見ながら、俺から離れる。
俺は後ろを振り返って見上げる。
「北斗に悪戯しないで…この子は俺のだから。」
歩の叔父さんがそう言って、俺の体を後ろから抱きしめる。
「はぁ?」
春ちゃんはそう言うと、苛ついた顔で歩の叔父さんを見上げる。
俺と向かい合う様に移動すると、歩の叔父さんは俺の口に舌を絡めたキスをして、逃げない様に腰を締め付けると、俺の股間のモノをいやらしく撫でた。
嫌だ…春ちゃんの前で…
「ん、や、やだ…やめて…」
顔を反らして両手で拒否する。
ちょっと触られただけなのに、今朝の快感を体が覚えているみたいに、俺のモノが勃起して、腰がビクビクと震える…
「ほら…北斗がこんなに気持ちよさそうにしてるでしょ?この子は俺のなの…。他をあたってよ…イケメン君。」
この大きな手も、大きな体も、優しい低い声も…堪らなくて…頭が痺れてくる。
歩の叔父さんにしなだれて、うっとりする。
この人が良い…あのヘッドホンみたいに…この人が良い…
「…お肉取りに来たんですけど…帰ります。あと、未成年に手を出すと犯罪ですよ?」
そう言って、春ちゃんが俺の手を掴む。
俺はそのまま春ちゃんに引っ張られて、気持ちの良い人から離れる。
俺を見て微笑んで、手を振るあの人に、また気持ちよくされたい…
「何された?!」
春ちゃんが怒って怒鳴る。
「北斗っ!あいつに何されたっ?!」
凄い怒って、俺の肩を掴んで乱暴に振る。
「…言わない。」
俺はそう言って、俺の肩を揺する春ちゃんの手を掴んだ。
バシン!
春ちゃんの平手が飛んで、俺の左の頬を打つ。
俺は頬を抑えて、彼を見る。
「何されてんだよ…!お前の事、好きなのに…勝手に何されてんだよ!!昨日、お店に行った時から、おかしかったんだ!お前の事ばかり見て、おかしかったんだ!」
激高して騒ぐ春ちゃんを、静かに立って見つめる…
「思春期はエッチがしたい年ごろだって、言ってたよ。だから、春ちゃんも歩としたんでしょ?俺だって、誰かと、気持ちよくなりたいよ…」
俺はそう言って、春ちゃんにへらへらと笑う。
春ちゃんは笑った俺の顔を見て、もっと怒って俺の頭を平手で叩く。
「俺がいるじゃん!俺がいるのに…なんで、よりによって、あんな年上の奴と?」
「あの人、すごく気持ちいいんだ…。だから、やるならあの人とが良い…」
それに、と言って、春ちゃんを見る。
「春ちゃんは友達だから、そんな風にはしたくない…」
春ちゃんはそう言った俺の体を抱きしめて、すごく強く抱きしめて言った。
「星ちゃんは知ってるの?」
何で…何で今、星ちゃんのことを言うの?
俺は春ちゃんの胸に顔を押し付けて、スンスン鼻を鳴らして言った。
「星ちゃんは知らない…」
「絶対言うな」
絶交しちゃうの?
男としちゃうエッチな俺の事、軽蔑して…
絶交しちゃうのかな…
「春ちゃん…誰にも言わないで…」
そう言って、彼の体に抱きつく。
前まではこの体が一番大きかったのに…俺はそれ以上大きい体を知ってしまった。
そして、その体は、低くて素敵な声を出して、とっても気持ちよくしてくれる…
最高の体なんだ…
「えっ?お肉、買ってきたの?」
別荘に戻ると、歩が驚いてそう言う。
「なんか、思ってた肉と違ったから…商店に行って買ってきた。」
俺は何も言わないで、春ちゃんの後ろで下を見て足を揺らす。
星ちゃんが近づいて来て、俺に聞く。
「何かされた?」
「ほっぺ叩かれた~」
そう言って、叩かれて赤くなった頬を見せる。
「…なんで?」
「ん~、俺が生意気したから…」
そう言って星ちゃんの体に項垂れて頭を付ける。
星ちゃんの匂いがして、安心する。
「星ちゃんも、一緒にご飯作る?」
一緒に居たくて、誘ってみた…。
「良いよ」
そう言って、星ちゃんが俺を連れてキッチンに向かう。
頭の中に歩の叔父さんがチラチラして、今にも行ってしまいそうな体を抑える様に、星ちゃんを抱きしめて、自分を繋ぎとめる。
「お肉、肉、肉~」
博が変な歌を歌ってお肉の下ごしらえをしている。
俺と星ちゃんはサラダを作る。
「ほら、北斗。プチトマト。」
そう言って、星ちゃんが俺の口にプチトマトを入れてくれる。
歯で噛むと、プチトマトがはじけて星ちゃんに汁が飛ぶ。
「んふふ、ごめ~ん」
そう言って、Tシャツの裾で星ちゃんの顔を拭く。
Tシャツの下から見えた俺の腹をポンポン撫でて、博がため息を吐く。
「北斗の腹は腹筋のふの字も無いな…」
そう言ってどや顔で自分の腹を出す。
「ああ!やや割れてる!」
そう、やや、割れた腹筋…ガリガリの体に、正直、微妙だった。
「春ちゃんのがバッキバキに割れてるもんね~!」
俺はそう言って、鍋を持つ春ちゃんのTシャツをまくる。
手のひらでなぞると、隆起している表面が手にあたって硬い…
「ほら、見ろっ!博は俺の仲間だ!」
そう言って、俺は博にキックする。
星ちゃんのお腹が割れているのは知ってるから、教えてあげない。
白くてもっちりして良いお腹なんだ。
「星ちゃんは?」
博が星ちゃんのTシャツをまくり上げるから、俺はちょっと嫌だった。
「どっちかと言うと、俺は星ちゃんの仲間で北斗の仲間じゃない。」
そう言って博が俺にキックするから、オレは怒って博にもっとキックした。
「もう、止めろ。ご飯がいつまでも出来ない…!」
春ちゃんがそう言って、俺を博から離す。
フンだ。
星ちゃんに口を開けて、プチトマトのお代わりを貰って落ち着く。
あっという間にサラダが完成した。
俺は、ほぼ何もしてない。
博が上手にフライパンを振って、お肉を焼いている。
「さすが、中華料理屋の息子だ!」
俺はそう言って楽しそうにそれを見る。
春ちゃんは美味しそうなお味噌汁を作っていた。
お玉にすくって味見をしているから、俺は傍に行って口を開けた。
「お前は雛か何かか?」
そう言いながらフーフーしたお玉を俺の口に付けて流し込んでくれる。
「あぁ…美味しいね~」
意外に繊細なお味のスープが出来て、驚いた。
春ちゃんは料理も上手なんだ…。
テーブルの上を片付けて、お箸を並べる。
野菜炒めと、味噌汁と、サラダを乗せて、皆を呼びに行く。
俺の隣に星ちゃんが座って、いただきますして食べる。
「野菜炒め、うま~」
渉がそう言って、バクバク食べるから、俺も急いで食べる。
「そんながっつくと、お腹痛くなるよ…?」
星ちゃんに言われて、よく噛んで食べる。
「そうだ、北斗。さっき叔父さんから電話があって、ちょうど良いヘッドホンが見つかったから、取りにおいで~って言ってたよ?」
春ちゃんが固まって、俺の方を見ている。
俺は歩に向かって笑うと、わ~い。と言って喜んだ。
ヘッドホン。
これが気に入った…他は要らない。
でも、あの人の所に行く口実としてなら、丁度いいと思った。
星ちゃんが俺に聞く。
「北斗、一緒に行こうか?」
「ん~明日行ってみるから大丈夫~」
そう言って、俺は保護者の同行を断った。
早く会いたいな…
早く…触れてほしい。
俺の体を好きにしてほしい…
ドキドキしながら、それを隠して笑う。
春ちゃん…ごめんね。黙っていて。
どうしても我慢できないんだ…あんなに気持ち良かったの。初めてなんだ。
もっと、してみたいんだ…だから、内緒にしていて…
どうせ、一か月後には元に戻るんだし。
そう言って春ちゃんに口止めした…
春ちゃんは怒っていたけど…俺が言う事を聞かないのは知ってるから…
黙って怒っていた…
「ご馳走様~」
お料理係はこれで解散して、作らなかった人たちが片付ける。
星ちゃんは早々にお風呂に入って行った。
本当にお風呂が好きなんだ…
俺はリビングのソファに座って、付いていないテレビを眺めながら音楽を聴いている。
今にも彼の元に行ってしまいそうな、欲情を抱えながら、ゆったりと流れる音楽に心を静めてもらう。
こんなに欲が強く出るのは、俺が人一倍エッチだからなんだろうか…
それとも、歩の叔父さんが人一倍エッチが上手で…虜にさせるテクニックを持っているからなんだろうか…
ぼんやりと考えながら、気を逸らすように音楽に集中する。
弾いた事のあるピアノ曲がヘッドホンから流れて、指を動かして一緒に弾く。
楽器を弾かないで…一か月も本当に過ごせるのかな…
自信がない。
音楽を聴かないだけで、あんなに取り乱すのに…
毎日練習してきたバイオリンを置いて来るのを、最後まで悩んだ。
でも、渉は俺のバイオリンがあまりにしつこいと知っているから、嫌がったんだ。
せっかくのバカンスなのに、目の前で何度も何度も同じものを弾かれるのを…
確かに嫌だと思う。
練習って同じことを何度も繰り返すから…。まるで壊れたラジオみたいに…リピートするから…。情緒もへったくれも無いんだよね…
そんなもの、聞かされたら…嫌なのは分かっている。
だから、持ってこなかった…俺のバイオリン。
ただ、音楽だけは耳に留めておこうと…毎日聞くようにしている。
そうしないと、強迫観念にさらされて、パニックになってしまいそうだから…
一日練習しないだけで、どれほど訛るか…俺は知っているから。
怖いんだ。
弾かない時間が…弾けない時間が…
数々の期待に応えて、バイオリン、ピアノ、チェロ…、その練習に明け暮れる毎日。
将来のサクセスまで決められた以上、それに沿わない訳にはいかなくて…ただ毎日鬱屈して生きているのが俺だ。
唯一友達と居る時だけ、楽しくて…求められることも、時間も、忘れて過ごせるんだ。
だから、今は少し休息と思って、のんびり過ごしたい。
大好きな星ちゃんの傍で…両親の事を忘れて、過ごしたい。
そう思って来てみたら、エッチな事に没頭して理性の無くなる自分に笑えて来る。
こんなに激しく誰かを求めるなんて…笑えて来る。
それの発端が、セックスだなんて…
親が知ったらどう思うだろうか…
星ちゃんが知ったら…どう思うだろうか。
ただ、優しくて…愛してくれる人が…こんなに必要だったなんて、笑えて来る。
「北斗、お風呂どうぞ~。」
歩に声を掛けられて我に返る。
「は~い」
そう返事をして、二階の寝室にタオルと着替えを取りに向かう。
寝室に着くと、既に星ちゃんはベッドで本を読んで寛いでいた。
俺はタオルと着替えを持って、星ちゃんの体にダイブする。
「も~、危ないだろ?」
「危なくない。星ちゃんは俺が痛くない様にしてくれるって、知ってるから!」
俺はそう言ってケラケラ笑った。
散らばったタオルと着替えを集めて、部屋を出るふりをしてまた飛び掛かる。
「あはは!星ちゃん…!おっかしいね~!」
俺が笑うと、星ちゃんも笑って言った。
「早く、風呂に行って…!」
俺は追い出されるようにしてお風呂場に向かった。
洗面所のカギをかけて、ヘッドホンを外して、服を脱ぐ。
浴室に入って、体を洗う…
他人に触れられた自分の体を洗って、綺麗にする。
お尻の中を弄られた感覚を思い出して、下半身がゾクゾクしてくる。
泡の付いた体を見下ろして、そっと自分のモノを撫でる。
耳元で囁かれた低い振動を思い出して、ゆっくり扱いてみる。
あっという間に腰が砕けて、立っていられないくらいに快感が押し寄せてくる。
「はぁはぁ…ダメだ、すごく気持ちいい…」
膝をついて石畳の床に座り込んで、自分のモノをヌルヌルした手で扱く…
彼の体の弾力、腕の力強さ…すべてありありと思い出して、すぐに絶頂に向かう。
「あっああ…、きもちい、イッちゃう…!!」
小さく喘いで、腰を震わせると激しく俺のモノが射精する。
思春期だから…なのかな…
だから、こんなにいつも抜かないと…おかしくなっちゃうのかな…
もし女の人とエッチしたら、やっぱり毎日したくなるのかな…
おちんちんって…何なんだろう。
自分の股間にある、吐き出したばかりのモノを眺める。
触ると…気持ちいいんだ。
シャワーで体を流して湯船に肩までつかる。
「歩の叔父さんは、何て名前なんだろう…まだ聞いていなかったな…」
そう呟いて、考える。
知った所で、どうするんだろう…
ただの遊びで抱いて来る相手の名前など、知ってどうするんだろう…
手のひらでお湯に波紋を作って、思考を停止させるように鼻歌を歌う。
そして風呂から上がって、洗面所で新しい下着を着る。
部屋着を着て、星ちゃんの待つ寝室に階段を走って上がる。
「星ちゃ~~ん!」
廊下で叫びながら彼の部屋まで突進する。
ベッドで驚いた顔をして怖がる彼を見る。
うしし!
そのまま彼に飛びつくと、ベッドが揺れて、ガタン!と凄い音がした。
「北斗!」
星ちゃんに怒られても楽しくて仕方がないんだ…
「あはは!ごめ~ん。」
そう言って笑うと、彼は許してくれるから…俺は甘えてしまう。
ともだちにシェアしよう!