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8月27日(木)_02
「まもちゃんはそれ持ってね、俺はこのくらい持つから。」
そう言ってお土産を沢山手に持って、まもちゃんのお店から歩の別荘まで歩く。
「チーズケーキもおいしかった。」
俺がそう言ってまもちゃんを見ると、彼は嬉しそうに俺を見て言う。
「北斗はちょっとしか舐めて無いのに、分かるの?」
「分かる。甘かったもん。」
そう断言して、まもちゃんを見ると、彼は微妙な表情をして言った。
「大抵のスイーツは甘いんだよ?北斗の判定は甘いな…。」
星ちゃんみたいなことを言うんだな。
星ちゃん…
あぁ…星ちゃん、どうしてるかな。
怒っていないかな…
この前、あんな風になって以来、彼には会っていない。
大丈夫かな…怒っていないかな。
左手に広がる湖の水面を見ながら、煌めく水面に星ちゃんを思う。
「北斗、星ちゃんなら大丈夫だよ…」
まるで、俺の心が分かるみたいに、まもちゃんはそう言うと、可愛く笑った。
星ちゃん…
「お~い!」
歩の別荘の前に着くと、みんなは外に置かれたテーブルに座って、ワイのワイのとおしゃべりをしていた。
また、飽きずに湖で遊んでたの?
「あ、北斗だ~!」
そう言って春ちゃんが俺を呼ぶ。
自然に星ちゃんを目で探して、春ちゃんの隣に座る彼と目が合う。
俺が少し笑うと、彼も少し笑って答えた。
ぎこちない俺達を、博と渉が見て笑う。
「お前、星ちゃんも怒らせたのかよ。最低だな!北斗!」
ディスりカップルは健在だな。
お前たちには恵んでやらないぞ!
俺はそう思いながら、お土産の袋をテーブルに置いた。
「違うよ。俺が、北斗を怒らせたんだ…ごめんな…北斗。」
そう言って俺を見上げる星ちゃん…
その顔は、とても寂しそうだった…
「星ちゃん!」
俺はそう言って彼の傍に行くと、正面から抱きついて、鼻をスンスン鳴らした。
「星ちゃん…星ちゃん!」
そう言って彼の頭にグリグリと顔を摺り寄せて泣く。
「これ…沢山貰ったから、みんなで食べようと思って持ってきたよ?」
まもちゃんがそう言って、みんなが喜んで騒いでも、俺は星ちゃんを放さなかった。
込み上げてくる疑問をそのまま彼にぶつける。
「どうして…どうしてあんな事言ったんだよ…」
俺は彼の顔を覗き込んで尋ねた。
星ちゃんは少し困った顔をして言った。
「北斗の事が…大好きみたいだ。だから、まもちゃんさんに…嫉妬した。」
「星ちゃん!」
あっけらかんと星ちゃんはそう言って、俺の髪の毛をいつもの様に撫でる。
「ふふ…やっぱり北斗は可愛いね…大好きだ。」
やめてくれ。
どうして…今更なんだ…!
遅いよ…遅すぎるじゃないか…!!
遅すぎるんだよ!!
「ダメだよぉ…星ちゃん…ダメなんだよぉ…」
俺はそう言いながら星ちゃんの体に抱きついて、甘える様に体を添わす。
いつもの様に…彼に甘えるように体を預ける。
「そうだね…ダメなんだ…」
星ちゃんはそう言って、俺の髪を撫で続ける。
俺の気持ちは完全にまもちゃんにしか行っていないんだ。
今更、はい、そうですかって…簡単に出来ないんだよ。
星ちゃんもそれが分かってるから…後悔したのかな。
だから、後悔したから、苦しんでいるのかな…。
「北斗…ペンデュラムウェーブって知ってる?」
星ちゃんが俺の頭の上で難しい事を言い始める。
ペンデュラム…知ってる。失踪した人を探す番組で見た事がある。地図の上で振り子を振って、特定する不思議な振り子だ…。
それが…ウェーブ…?何それ…ソニックブームなら知ってる。戦闘機が超音速になるときに出る衝撃波だ!バブンッ!って凄い音が鳴るんだ…
俺は顔を上げて星ちゃんを見ながら、首を傾げた。
星ちゃんは俺の顔を見て吹き出すと、説明してくれた。
「構造としては、長さの違う振り子を…こう、斜めになる様に吊るしてね、揺らすんだよ。」
ほうほう…なるほどね。
それがどうしたんだろう…
俺はまた星ちゃんの顔を見て、アホ面で説明を仰いだ。
「振り子の長さが同じなら振り子の先に付いた重さに関係なく、往復にかかる時間が同じって、ガリレオ・ガリレイが気付いたんだ。」
ほうほう…ほ?…ほうほう?
ガリレオ…ガリレイ…G.Gだな。うん。
「振り子の特時性って言ってね、メトロノームだってこの特時性を利用してるんだよ?振り子の長さが同じなら、正確に同じリズムを刻むんだ。」
ふぅん…G.Gが気付いたんだな。特時性ってやつに…
物理って感じだ。
「その特時性を利用して作ったのがペンデュラムウェーブ。長さの違う振り子が一定のタイミングになると、ピタリと合う瞬間が生まれるんだ。」
俺は星ちゃんが言わんとしている事が、全く分からないよ。
難しい顔のまま、とりあえず星ちゃんの話を最後まで聞く姿勢を保つ。
「俺は、その瞬間を待つことにする。」
そう言い切って、星ちゃんはスッキリした顔をして笑った。
は?
なに?
全然分かんない!
周りで聞いていたみんなも首を傾げたり、聞いていないふりをして誤魔化してる…
まもちゃんに至っては、ガリレオと聞いた瞬間、湖を見始める始末だ。
「うん…わ、分かった~。」
「嘘つけ!」
俺が星ちゃんにそう言って頷くと、誰のか分からないヤジが飛んだ。
気にしない。
俺は星ちゃんの言った意味は分からないけど、言った言葉は覚えた。
きっとその時が来たら思い出すんだろう。
その為にしっかりと要点だけ覚えた。
揺れてる玉がピタッと会う瞬間を待つって事だ。
「星ちゃんは何食べる?」
俺は話を戻して、星ちゃんの隣に座り直すと、袋から残ったスイーツを全て出して広げた。
だって、星ちゃんは見てから決めるタイプだからだ。
「ん~、じゃあ、これにする。」
ふふ、それは後藤さんがくれた焼きプリンだ。
「じゃあ、俺はこれにしよう~」
俺はそう言って、チーズケーキを取り出すと、星ちゃんの隣でまもちゃんみたいにムシャムシャ食べ始めた。
「美味しいね。星ちゃん。」
隣の星ちゃんにそう言って笑いかけると、星ちゃんは俺の口に着いたクリームを指で拭って、ペロリと舐めた。
「んふふ、可愛いね~」
俺がそう言って笑うと、星ちゃんもフフッと笑った。
「何があったか知らないけど、星ちゃんが歩の叔父さんに嫉妬する事無いよ。だって、あの人は大人だし、北斗の事なんてただの食いしん坊にしか思ってないんだ。」
博は滑らかプリンを口に運びながらそう言った。
ふふん!馬鹿め。
「ふふ…そうだね。」
星ちゃんはそう言って博に話を合わせると、まもちゃんをちらりと見た。
まもちゃんは湖の方へ行って、遠くを見てる。
遠くから見ても、俺のまもちゃんは素敵だった…
あの、ちょっと癖のあるフワフワした髪の毛が素敵なんだ。
触ると柔らかくて、とってもかわいいんだ。
歩の家のトイプードルみたいなんだ。
「まもちゃんは要らないの~?」
俺は大きな声で彼を呼んだ。
俺の方を振り返って、首を横に振ると、また湖の方を向いて遠くを見た。
「まもちゃん…黄昏てるな…」
ポツリと言って、チーズケーキを食べ終えると、星ちゃんが言った。
「見ない様にしてるんだよ。」
そうなんだ…
星ちゃんといる所を見ない様にしてるんだ…
俺って罪深いな。
でも、それだったら思う存分星ちゃんにベタベタしよう。
余った滑らかプリンを星ちゃんと半分こして食べる。
「はい、あ~ん!」
俺はスプーンで一口すくって星ちゃんの口に運ぶ。
「ん~、滑らかだね?」
パクリと口に入れて、星ちゃんがそう言って笑う。
可愛い…!
相変わらずの可愛さなんだ。
でも、不思議と邪な気持ちを抱かなくなった。
無理やりにでもキスしてやろうとも、思わなくなった…。
浄化されたのかな。
「星ちゃん…?お母さんがね、9月は休みなしでレッスンを入れたんだ。9/26にアメリカに行く。本番は向こうの9/30だよ。」
俺がそう言うと、星ちゃんは俺を見て言った。
「そうか…忙しいんだね。じゃあ、向こうから帰って来てから餃子を食べに行こう?」
そう言って俺の頭を撫でる。
「俺は9月からまた部活だ~!」
春ちゃんがそう言って、嫌そうな顔をしながら伸びをする。
バスケットボール部の次期キャプテンって決まってるんだ。
歩も春ちゃんと同じ部活。バスケットボール部。
渉はサッカー部で、博はお店の手伝いがあるから俺と同じ帰宅部。
星ちゃんは、俺の代わりに吹奏楽部に入って、チューバを吹いてる。
低音が良く似合う…良い男なんだ。
いつか星ちゃんと合奏できたら良いな。
みんなと別れて、まもちゃんと一緒に帰る。
手を繋いで、遊歩道をおしゃべりしながら帰る。
俺は縁石に乗って、まもちゃんと手を繋いでふらふら歩く。
「まもちゃん?星ちゃんの言ってた話、意味分かった?」
俺が不思議そうな顔で聞くと、まもちゃんは俺を見て言った。
「分かったよ…」
嘘だ…絶対まもちゃんに分かる訳がないよ。だって馬鹿なんだもん。
「タイミングが来るまで、待つって事だよ。」
まもちゃんはそう言うと、繋いだ俺の手を上に持ち上げた。
「タイミング~?何の?」
俺は縁石の上でフラフラしながら、まもちゃんの顔を覗き込んで聞く。
「いつか北斗が自分の元に来るって…自信があるんだね…星ちゃんは。」
そう言って笑うまもちゃんは、まるで大人みたいに見えた。
「そう思う?」
俺は足を止めて、彼に向かい合うと、やや近くなった目線の彼に尋ねた。
なぜか、彼の答えが欲しかった。
「北斗が星ちゃんの方に行くって?」
まもちゃんが俺を見て首を傾げながら聞くから、俺は頷いて彼の答えを求めた。
じっと見つめ合って、俺の瞳を見つめる彼の瞳の中に俺を見つける。
彼は俺に両手を広げると大きく抱きしめて言った。
「思わない。多分…一生来ないよ。」
そう言って、強く抱きしめると、首にハフハフした。
俺はそれが嬉しくて、彼の体を抱きしめた。
「俺も…そう思う。」
そう言って、まもちゃんの体にしがみ付いて、抱っこしてもらう。
大好きだ…まもちゃん。
そのまま二階の部屋まで上がる。
「頑張れ~!護!」
俺はそうやって声援を送る。
「血圧が…」
オジジと同じ事言ってる。おっかしいな。
本当にそっくりなんだ。
重ちゃんのおばあちゃんも気付いちゃうくらいに、そっくりなんだ。
鍵を開けて、ドアを開けて、俺を下ろす。
「凄い!力持ちだね!」
そう言って靴を脱ぐと、大きなスピーカーに携帯を繋げて音楽を流す。
スピーカーの前に座り込んで、耳を澄ます。
鼓膜が震える…
「あぁ…良い音だ…」
そう言って、うっとりする俺を、傍に来て見つめるまもちゃん。
「北斗のその顔が好きだよ…」
そうか…
それは…良かった。
そう思って、彼の頬に手を伸ばしてそっと触れる。
大好きな彼の表情が曇って、心配そうな目をする。
「北斗…泣いてるの?」
分からない。
彼の首に手を回しながら、抱きしめて彼の胸に顔を埋める。
そのまま彼の胸に顔を擦り付ける。
「嫌なんだよ…もう、みんな9月の事を話すのが…嫌なんだ。」
ごねる様に言う俺の髪を撫でて、まもちゃんは体を強く抱きしめてくれた。
「まもちゃん…前にも言ったでしょ?俺は自分の事を自分で決められないんだ。まるで…籠の中の鳥だ…。拒否権なんて無いんだ。スケジュールだって親が決める。」
まもちゃんは静かに俺の話を聞いてくれる…
ただ、俺を抱きしめる手は力強く、体を温める様に強く抱きしめてくれる。
「もう…嫌だぁ。嫌だよぉ…」
そう言って彼の胸に甘えてグズグズにトロける。
「この先…俺が自由に出来る事ってなんだよ…何も…何も無いんだ。」
彼の体に抱きしめられて、守ってもらいたい。
花びらの中の胚珠の様に…体に包んで隠してもらいたい。
東京に戻ったら…両親の元に戻ったら、また自由が無くなる。
自由がないんだ…!
「嫌だよ…嫌だよぉ…」
そう言って彼に甘えて、死んでしまいたくなる。
このまま…存在を消してしまえたら、どんなに楽なんだろう…
体が震えて、恐怖が止まらない。
「音楽は素晴らしい…大好きだ。でも…でも!俺の…大切な物と、天秤に掛けたくないんだ…。それらを除いたら…俺には…何も…うっく、うっ…うう…何も残らないんだ…」
まもちゃん…守ってよ…もう籠の中に戻りたくないんだ。
「北斗…なにが怖いの?」
まもちゃんが俺の顔を撫でて、目を見つめながら優しく聞いて来る。
その目は穏やかで…優しくて…甘くて、あったかい。
「俺の手にした大切な物が…蔑ろにされる事が怖い。ここに…もう来れなくなる事が…1番……怖い!」
彼の目を見つめながら、顔を歪めて吐露する。
弱くて…しょぼい自分を、さらけ出す。
「小学生の時…理久が居なくなった後、新しい先生に慣れる事が出来なくて、母親に理久じゃないと嫌だと…ごねた。そうしたら風呂に顔を突っ込まれて、死にかけた…。何もかもに絶望して、学校帰りに屋上へ行った。星ちゃんが止めたけど…俺は屋上から落ちた。星ちゃんと一緒に落ちたんだ…。ネットが張ってあって助かったけど…俺は死にたいんだ。ずっと、ずっと…死にたがってる。もう、うんざりなんだ!」
ただ…自由になりたいんだ。
俺がそう言うと、まもちゃんは俺を大きく包み込む様に抱きしめた。
そうして押し殺すような…泣くのを我慢しているような、そんな声で言った。
「北斗…ごめんね。俺はお前のバイオリンが大好きだ。ピアノもチェロも…お前が奏でる音、全てが大好きなんだ。それは籠の中で、お前が自由と引き換えに苦しみながら得たものなんだよね。」
そうして、続けて言った。
「それでも、俺はお前のバイオリンが大好きなんだ…!だから…自由にならないでくれ…。苦しんで、素敵な音色をこれからも出してくれ…。」
まもちゃんが酷い事を言う。
潔すぎてわらけて来る…
「ふふ…俺に死ねって言ってるの?」
そう言ってまもちゃんの体にしがみ付いてクスクス笑う。
まもちゃんは俺の頭をそっと撫でて言った。
「ちがう。籠から出してもらう取引をするべきだ。」
取引…?
俺はまもちゃんの顔を見上げて聞いた。
「どうやって…相手は、音楽に偏執的な母親と父親だ…」
俺の顔を見ると、まもちゃんは涙目を拭って、悪い大人の顔になって言った。
「大人の悪知恵だ。良いかい?あのチェロの二人を利用しろ。彼らは有名なチェリストだ。彼らと親交があると聞いたら、きっと箔が付くと思うだろう。彼らの写真をのりちゃんに撮って貰っている。それを見せて言うんだ。軽井沢でチェロを教えてもらってるって。」
俺は唖然とした…その為に、あの二人の写真を…撮っていたの?
それと、と付け加えてまもちゃんは言った。
「財閥の…重ちゃんのおばあちゃんの名前も出して、彼女も利用しろ。お前と写っている写真をちゃんと撮ってある。この人にお世話になったって言うんだ。そして、報酬を貰ったことも話すんだよ?お前に資本的なバックボーンが出来たと知ったら、また必ずここに来ることを許すはずだ。」
悪い顔をしたまもちゃんを見つめながら思った。
この人は…俺が苦しんでる事を知っていたんだ。
がんじがらめで、自分の自由に出来ない人生を呪っている事を、知っていたんだ…
だから、密かに画策していたんだ。
俺がグズグズに甘える前から…準備していたんだ。
「まもちゃぁ~ん!!」
俺はだらしなく泣きながら、彼に抱きついた。
「やってみる…俺、やってみるよ…まもちゃん、まもちゃん…!」
俺はそう言って微かな希望を胸に抱いた。
「北斗は…大物と仲良くなるのは上手なのに…その後、自分の為に利用しない。だから純粋なんだ…。でも、少し悪い子になりなさい。俺の為に、少しだけ悪い子になりなさい。」
この時ほど、まもちゃんが頼りになると思った事は無い。
なんて…なんて悪い大人なんだ…!!
そして最高の大人だ!
「まもちゃん、まもちゃん!俺、まもちゃんの言う事ちゃんと聞くよ…!!」
そう言って彼の頬を掴んで、熱いキスをする。
大好きだ…!!
もしかしたら…いや、絶対に食いつくはずだ。
あの両親なら、絶対に食いつくはずだ!!
「んふふ、まもちゃん…カルビ、美味しいよ?」
「そう、良かったね?」
2人、向かい合ってお祝いの焼き肉を食べている。
ちょっと遠かったけど、まもちゃんがビールを飲むので歩いてやって来た。
「昔は飲酒運転なんて大したこと無かった。」
そう言って法律違反を話す大人を無視して、俺はお肉を網いっぱいに広げる。
タン塩は後で焼く。
俺は最初はこってり行くんだ。
「北斗、チョレギサラダは食べないの?」
まもちゃんに聞かれて即答する。
「要らない。」
全く、焼き肉屋に来てるのにサラダなんて頼む訳がない!
「ん~ふふ、カルビ美味しい。これはA5ランクのお肉なの。」
俺はそう言ってメニューを見せる。
まもちゃんは少し顔を固めて笑う。
「良いよ。いっぱい食べな。」
そう言うと思ったよ。
でも、さっちゃんと結婚しないなら、まもちゃんは貧乏だ。
しかも、きままなレストランだから、そんなに儲かっていない筈だ。
「まもちゃん…貧乏になっちゃったね。」
俺はそう言いながらライスのお代わりをする。
まもちゃんは俺を見て笑うと言った。
「別にお金が無くても良い。北斗がいれば、それだけで良い。」
本当に…結婚してあげよう。
俺はそう思った。
俺の携帯にメールが着信する。
「あ、理久からだ~」
そう言ってまもちゃんに見せる。
“明日4:00にサロンで一緒に合奏しませんか?”
「でた!サロンドプロだ。」
まもちゃんがそう言って、嫌な顔をしながら俺に携帯を返す。
「理久はサロンドプロが好きなんだよ。」
俺はそう言って、タン塩を焼き始める。
トントロは怖いから焼かない。
この前、直生と伊織と来た時に、トントロから溢れる油に引火して、炎が上がったのがトラウマになった。
直生は驚くだけで、伊織は逃げ出した…店員さんが来て助けてくれたけど、トントロが危険だと知った出来事だった。
“いいよ~”
俺は理久にそう返信して、タン塩をお皿に乗せた。
まもちゃんはユッケとカクテキをつまみにビール3杯目に突入してる。
ビールだけなら、帰れなくなる程酔わないって言ってるけど、本当なの?
「北斗?30日、一緒にディナーに出かけないか?」
まもちゃんは俺の顔を覗き込んでそう言った。
ディナー…?
「夜ご飯のこと?良いよ~!しゃぶしゃぶにする?」
俺がそう言ってワクワクすると、まもちゃんが言った。
「違う!紳士と淑女が行くようなお店に行くんだ。見て?」
そう言って渡してきた一枚のチラシ…
「なになに~?お洒落でリッチな時間を大切な人と…?フハハ!なんだこれ。」
俺はそう一蹴して、まもちゃんにチラシを返した。
まもちゃんはチラシを手に取って、俺にしつこく見せる。
「ここ、読んだ?海外某有名交響楽団出身者、クインテットによる生演奏あり。って部分、読んだ?」
俺は目を丸くして、笑顔になって言った。
「行きたい!行きたい行きたい!!」
まもちゃんは大笑いして頷くと、俺に言った。
「そう思ってもう予約してあるんだよ。だから、綺麗な服を用意しないとね。ドレスコードがあるんだ。フフフ。楽しみだ。ね?北斗。楽しみだね?」
うん。めちゃめちゃ楽しみだ!!
クインテットは5人構成の事。4人だと、カルテットって呼ぶ。3人だと、トリオだ。
海外某有名交響楽団!なんてすばらしい経歴なんだ!
きっと素晴らしい演奏を聴かせてくれるに違いない!!
「ん~!!楽しみだ!」
俺はそう極まって、豚バラを焼き始める。
端っこでキムチを焼いて、えごまの葉っぱを頼んだ。
「サムギョプサルにして食べるんだ~!」
「ヤンニャムが無いじゃん…」
まもちゃんがそう言って水を差すから、言ってあげた。
「まもちゃんが調味料を駆使して、良いお味の作ってよ。」
早速まもちゃんがカクテキのヤンニャムと調味料を配合し始める。
でもね、思うの。
えごまがあれば何でも良いって…そう思うんだよ。
焼けた豚バラをえごまの葉っぱに乗せて、焼いたキムチとまもちゃん配合の特製ダレを乗せる。
くるっと巻いてパクリと食べる。
「ん~ふふふ!美味しいじゃん!」
俺はそう言って満足した笑顔になる。
「どれどれ~」
まも~るも食べたがるから、作ってあげる。
くるっと巻いて彼の口に運ぶ。
「あ~ん…」
俺がそう言うと、間抜けな顔になって口を開ける。
パクリと食べて、キラキラ目を輝かせる。
「ん~、良い感じに出来たな。」
そう言って、満足してる。
でも、もう食べない方が良いよ?豚バラの油は年寄にはきついんだ。
「のりちゃん、明日またヨーロッパの方に行くって。」
まもちゃんがそう言って俺を見る。
「忙しいね、ヨーロッパって具体的にどこら辺なの~?」
俺がそう言うと、まもちゃんがニヤニヤ笑って言った。
「北斗の好きなポルカの所。」
「フィンランドか!良いね。何しに行くの?」
俺がそう聞くと、まもちゃんがビールを飲み干して言った。
「北斗のポルカを聴いたら、行ってみたくなったんだとさ。本場のポルカを聴いて来るって…言ってたよ?ふふふ、影響されやすいんだよ。昔から。」
分かってないな…まも~るは分かってない。
ポルカはそういう物なんだ。
心の奥から楽しくなるようなリズムなんだ。
のりちゃん…良いポルカに出会えるといいね。
ズンチャ!ズンチャ!ってリズムに乗せて体を動かすと、堪らなく楽しくなってくるんだ。きっと…のりちゃんも、あのリズムにやられたんだ。
「オジジも俺のポルカが好きだよ?工房のみんなも好きだし、おばあちゃんも好きだ。んふふ、まもちゃんも好きだろ?」
俺がそう言うと、まもちゃんはとっても嬉しそうににっこり笑って、俺の頬を撫でて言った。
「大好きだ。」
だろ?
俺は頬にあてられた彼の左手に頬ずりして、彼を見つめて言う。
「俺も…大好きだ。」
そのまま、顔を近づけてまもちゃんと鉄板の上でキスする。
他の客さんなんてどうでも良いんだ。
嗜んだレディーが2、3人いれば…それで良いんだ。
「北斗?明日レンタル衣装屋さんに行って、かっこいいスーツを借りてこようね?」
手を繋いで歩いて家まで帰る。
フラフラするお爺ちゃんが一緒だからな。
「かっこいいスーツってどんなの~?」
俺はお爺ちゃんに話を聞いた。
まもちゃんは俺の方を見てニヤニヤしながら言う。
「ダブルの…セクシーな…黒い、ネクタイの…」
「はは!まもちゃんは古いな!今どきダブルのスーツを着てるのはダサいホストだけだよ?笑っちゃうね。そのセンス。」
そう言って被せてまもちゃんのセンスを全否定する。
「じゃあさ、北斗はどんなのがかっこいいスーツなんですかって、話ですよ?」
そう言ってまもちゃんが俺に圧し掛かってくる。
「そうだな…俺が思うかっこいいスーツは…まもちゃんに似合うやつかな。」
そう言って、彼を見上げて微笑む。
「ズキュン!」
まもちゃんが大人しくなって、俺と手を繋いでまっすぐ歩き始めた。
「北斗ちゃん…」
「なぁに?」
「嬉しい…」
何だよ、可愛いかよ。
俺はまもちゃんを見て言った。
「まもちゃん…可愛いね?」
まもちゃんは顔を赤くすると笑って言った。
「北斗…大好きだよ。」
知ってる。
そして俺の方が何倍もまもちゃんの事が大好きだ。
彼の左手を握りながら、家まで帰る。
帰ったら頂き物のアイスを食べる予定だ。
「俺はチョコ~!まもちゃんは抹茶ね?」
俺がそう言うと、まもちゃんが言った。
「お姉さんは、俺にチョコだと思って買ってきたんだと思う。北斗は抹茶っぽいもん。」
絶対嘘だね。
「反対だよ。若い俺用にチョコを買って、年寄のお爺ちゃんの為に抹茶を買ってくれたんだ。ほら苦いの好きだろ?コーヒーもそうだし、ビールもそうだ。だから、まもちゃんは抹茶なんだよ?」
俺がそう言うと、ぐうの音も出なくなったのか、まもちゃんは実力行使に出る。
早歩きして、先に家に着こうとするから、俺は頑張って走った。
「はぁはぁ…何で…こんなに、足が遅いんだ…!」
まもちゃんは早歩きしてるだけなのに、俺は走っても追いつけない。
しかも、アハハハ!って笑いながらなのに、凄く早いんだ…
どんどん先に行っちゃうから、俺は悲しくなって立ち止まった。
「やだ!や~だ!!」
そう言って、まもちゃんが戻ってくるまで立ち止まって待ってる。
「アハハハ!」
声をフェードインさせて、俺の目の前に戻ってきた…ウケる。
「早歩きしないで!まもちゃん!早歩き、嫌だ!」
俺は怒って、目の前のまもちゃんに言った。
そして、彼の左手の方に手を差し伸べた。
「繋いで!」
俺がそう言うと、まもちゃんはにっこり笑って左手を差し出した。
そうして、一緒に歩いて帰る。
歩の別荘の前を通過して、遊歩道を歩く。
そして、お店が見えてくる…
この景色も…もうすぐ、見なくなるのか…
まもちゃんの体にピッタリ抱きついて、えっちらおっちら歩いて、お店の前まで行く。
階段を上って、鍵を開けてもらう。
玄関に入って靴を脱いで、振り返って、まもちゃんにキスする。
ビールの苦い味がして嫌なのに、まもちゃんの舌が気持ち良くて、そのまましつこくキスする。
うっとりとキスを外すと、まもちゃんが俺の顎を掴んで言った。
「北斗…チョコアイス食べないの…?」
何だよ…そんなエッチな声出して…
俺は彼の言葉を無視して、もう一度キスをする。
そのまま両手で彼の肩に抱きついて、何度も唇を食みながら彼を誘う。
靴を脱ぎ損ねたまもちゃんが、足で一生懸命靴を脱ごうともがいてる。
でも知ってるんだ…
それ、靴紐を結構しっかりと絞めて履いてたよね…
沢山歩くからって…靴紐…しっかり絞めてたよね。
笑いそうになるのを堪えながら、まもちゃんを誘うようにキスをする。
彼の柔らかい髪を手のひらで撫でてすくって、うっとりと目を見つめながら、舌でねっとりとまもちゃんの唇を舐める。
堪らなくなったのか、まもちゃんは俺の腰を抱くと、靴を履いたままベッドに直行する。
「アハハハ!まもちゃん!土禁だよ?ここは土禁だよ!」
俺はそう言って、笑いながらまもちゃんの腹を蹴飛ばす。
「吐いちゃうでしょ~!」
そう言って怒ると、まもちゃんは玄関に戻って靴を脱ぎ始める。
俺はすかさず服を脱いでシャワーを浴びに行く。
だって、体が肉臭くなったんだ。
靴を脱ぎ終えて、俺がベッドに居ない事を知ったまもちゃんが絶叫してる。
「北斗~~~!!」
アハハ!おっかしい!
体を洗い終えた頃、浴室の曇りガラスの向こうに大きな人影を確認する。
ホラー映画みたいに微動だにしない影に、だんだんと怖くなってくる。
「ま~もちゃん?」
髪を洗いながら呼び掛ける。
応答がない…
立ちながら寝ちゃってるのかな?
「ま~もちゃん?」
もう一度呼び掛けてみるけど、やっぱり応答がない。
髪を流して、顔を洗って、浴室のドアを開く。
目の前に立ち尽くす怒った顔のまもちゃんがいた。
「なぁんで怒ってるの?怖いのやだ。やだ。」
俺はそう言って、彼の頬を掴んで、笑顔になる様に上に押し上げる。
「んふふっ!」
全然可愛くない笑顔に吹き出して笑う。
そのまま裸の姿でまもちゃんに抱きつく。
「まもちゃん…拭いて?ねぇ、綺麗にふいてよぉ~」
そう言って甘える。
「北斗…まもちゃんはギリギリだったんだよ?置いていくのはダメなんだよ?」
そう言いながら、まもちゃんは俺の体を拭きながら舐める。
「んふっ…あっ、ん…まもちゃん…まもちゃんも体洗って…?」
だって肉臭いんだもん。
「え…良いよ。後で、良いよ。」
そう言ってしゃがみながら俺の腰を抱き寄せて、自分の足の間に入れて、俺のモノをねっとりと咥え始める。
足が震えて腰が逃げる。
まもちゃんの大きな手によって、ガッチリつかまれた腰が逃げ場を失って、引き寄せられる。
「あっ…まもちゃん!ダメ、倒れちゃう…!」
俺はそう言って、彼の肩に手を置いて、快感を堪えて震える。
俺がそう言ってるのに、まもちゃんは俺を抜くまで離さないみたいに、言う事を聞かない。
「んん…っ!まもちゃぁん…あっ、あっああん…気持ちい…はぁはぁ…だめぇ、転んじゃう…まもちゃん…」
そう言って彼の背中を叩いても、俺のモノを咥えて離さない。
気持ちいい…ダメだ…イッちゃいそう!
俺は体を起こして、フラッとよろけて後ろに倒れそうになる。
まもちゃんは俺のモノから口を離して、倒れそうになった俺の体を支える。
「危ないだろ…?北斗ちゃん…ダメだよ。」
そう言って、俺に熱いキスをしながら俺のモノを扱いた。
あぁ…イカせたいんだ…
彼を弄んだ俺へのお仕置きだ。
俺はまもちゃんの肩に両手で抱きついて、彼の体に足を絡ませた。
そして、緩く腰を揺らして体を仰け反らせる。
自分の乳首を撫でながら、いやらしくまもちゃんを見つめる。
「ま、まもちゃぁん…乳首きもちぃよ…」
「北斗ちゃん!!」
極まったまもちゃんが、俺をイカせるのを諦めて、大急ぎでベッドに運ぶ。
「嫌だ!肉臭い!」
俺はそう言って、まもちゃんの体を足で抑える。
「肉臭くない!みんなもともと肉なんだ!」
まもちゃんはそう言うと、来ていた服を脱ぎ始める。
「肉臭いまもちゃんなんて嫌だ!」
俺はそう言って布団にくるまる。
「北斗…北斗もお肉なんだよ?」
まもちゃんはそう言って、全裸になると、俺の包まる布団を掴んで捲っていく。
「いやだ!あっちに行け!肉臭くなくなったら戻っておいで!」
俺はそう言ってダンゴムシのように丸まる。
まもちゃんは何とか糸口を探そうと、全裸で布団を探っている。
俺はギュッと体を縮めて肉臭い男の攻撃から体を守ってる。
俺の足の裏に彼の手が触れて、ギュッと握られる!
「んっ!」
「あは!」
まもちゃんのキラ!っとした顔が目に浮かびそうな弾む声を聴いた。
次の瞬間、まもちゃんの手はどんどん俺の足を上って来る。
肩まで強引に入れてダンゴムシになった布団をほぐすと、まもちゃんはとうとう俺のダンゴムシを攻略した。
「だめだ!肉臭いんだもん!ヤダ!」
そう言って暴れる俺の上に覆いかぶさって、肉のまもちゃんは俺の体を舐め始める。
「モグモグ~美味しいお肉だよ~。」
そう言いながら、俺の太ももを噛んでアムアムする。
「ん、やぁだ!ばか!」
彼の頭を叩いても、もう止まらないんだ…
「モグモグ~、北斗?ここはどこのお肉かなぁ~?」
最悪だ…本当に最悪なんだ…
俺の股間に顔を近づけて、首を傾げながら俺に聞いて来る。
「いやだ!知らない!」
俺は体を捩って逃げようとするけど、本気を出したまも~るに敵う訳もなく…
「アハ~!ウインナーソーセージだ!」
最低だ、大嫌いだ!
まもちゃんはそう言って、また俺のモノを口に入れて扱き始める。
それはさっきよりも、いやらしく音を立てて俺を刺激する。
「あっあん!…んん…まもちゃん…ああっ!だめぇ…お風呂入ってよぉ…」
俺がそう言うと、まもちゃんが、ふふッと笑う。
「北斗…可愛い…こんなに気持ち良くなってるのに…まだそんな事言うの?本当に…可愛いな…」
その声色がエッチで、俺の頭を痺れさせる。
まもちゃんは俺のお尻の下から両手を入れて、腰をガッチリホールドすると、そのまま手を上に這わして、乳首を摘まんで撫でる。
「はぁはぁ…!あっ!あっ…あん!まもちゃん…だめ、だめ…すぐイッちゃう…!」
首を振って、襲ってくる快感を散らす。
俺の乳首を優しく撫でたりつまんだりして遊ぶ彼の手の甲に、手を当てて軽く握る。
体がどんどん仰け反って、堪らなく興奮する…!
「んんっ!まもちゃぁん!だめぇ…ん!イッちゃうからぁ!あっ、あっ、あっああん!!」
そう言って、腰を震わせて俺がイクと、まもちゃんはやっと顔を上げて、ペロリと舌なめずりをする。
そのまま俺の顔の方にのそのそとやってきて、トロけた瞳で俺を見下ろす。
「北斗…可愛い」
そう言って俺にキスしながら、体を俺の隣に倒して、横になりながら俺を愛撫する。
大きな手のひらで体を満遍なく撫でる。
鳥肌が太ももに立って、背中が仰け反る。
キスし続ける口の端から吐息が漏れて、いやらしく自分の耳をくすぐる。
優しく鎖骨を撫でられて、指先で、ツーッと下に撫でて降ろす。
そのまま乳首を撫でて、さらに脇腹を撫でて、俺のモノを握って掴む。
「まもちゃぁん…んん…」
何をされても気持ちよくって、彼の首に顔を埋めて、小さく喘ぐ。
体が疼いてビクビクする。
それを面白がるみたいにまもちゃんが低い声で言う。
「北斗…本当にエッチで可愛い…食べちゃいたいよ…」
そう言って、俺の太ももに勃起したモノを擦り付けながら、いやらしく俺のモノを扱いて、小さな喘ぎ声をあげる俺を愛おしそうに見つめながら、一緒に感じてるみたいに喘ぎ声を出すまもちゃん。
やばい…凄くエロい…!
「んん…まもちゃ…良い…きもちいの…はぁはぁ…ん、んあっ…はぁはぁ…」
「ん…きもちいの…はぁはぁ…まもちゃんの…気持ちいの…北斗…はぁはぁ…」
俺は太ももにあたる彼のモノを握ると、ゆっくり扱いた。
まもちゃんの息がどんどん荒くなって、腰が揺れていく。
「あぁ…北斗、きもちい…はぁはぁ…もっと強くして…もっと、強く…」
そう言って俺の体に顔を埋めてまもちゃんが喘ぎ始める…
俺は彼のモノをもっと強く握ると、ゆっくり扱いてみた。
彼は俺の手の上から、自分の手を重ねて自分のモノを扱いてみせる。
「北斗…このくらい…はぁはぁ…このくらい強くして…」
やばい…エロい…
おねだりするまもちゃんが、やたらエロくて、俺の頭がおかしくなった。
「まもちゃん…!可愛い…!!」
俺は極まって、まもちゃんの言った通りの強さで彼のモノを扱いた。
我慢できなくなって、彼のモノを舌で舐めて、じっくりと愛した。
「あぁ…北斗…良いよ、良いよ…気持ちいい…」
そう言って俺にお任せするまもちゃんに、俺と同じようにしてあげる。
彼の大きな足の下から手を入れて、乳首まで伸ばそうとするけど…尺が足らない!
「ふふ…」
笑うな!
俺は頑張って、もう一度足の下から手を伸ばして、彼の腹に触ることに成功した。
まもちゃんは体を起こして、彼の股間で奮闘する俺を見下ろす。
俺は頑張って彼のモノを口で扱いてる。
俺の肩を掴んで顔を上げさせると、まもちゃんは俺の口にキスする。
「まもちゃん…気持ち良くなかった…?」
彼の顔に顔を擦り付けながら聞くと、まもちゃんは口元を緩めて笑う。
「北斗…おいで…」
そう言って、俺の手を引いて自分の膝の上に跨らせると、まもちゃんは自分のモノと俺のモノを一緒に扱いた。
「ん~!」
体が仰け反って、後ろに倒れそうになる。
俺の腰を大きな手で掴んで、まもちゃんが扱き続ける。
「あっああ…まもちゃ…あぁん…はぁ、はぁあ…ん、あっ…」
快感が強くて、体を捩って逃げ出そうとする俺の腰を引き寄せて、仰け反った胸の乳首をペロリと舐め上げる。
「ん~!だめぇ!まもちゃん…だめ、だめぇ…イッちゃうからぁ!あぁん!!」
彼の頭に両手を着いて、離そうと全力を出すのに、全然離れて行かない!
どうなってるの?!
その間もまもちゃんは俺のモノを彼のモノを一緒に扱いて、快感を与え続ける。
仰け反る胸の乳首を口に含んで舌先で転がして、たまに軽く噛んで来る…!
その度に俺のモノがビクビク震えて…今にもイキそうになる。
「はぁ~可愛い…」
そう言ってまもちゃんは、俺の手によって髪の毛をグチャグチャにされながら、俺の全身をくまなく愛する。
「だめぇ!だめぇ!あぁあん!イッちゃう、イッちゃう~!」
俺はそう言って彼の頭にしがみ付きながら、体を震わせてイッてしまった…
「まもちゃん…?俺の…気持ち良くなかったの…?」
俺はまだ引きずってる。
途中で降板させられたこと。
「気持ちいいけど…まもちゃんはなかなかイカないから、それよりも北斗にエッチな事がしたかったんだよ?」
そう言ってケロッとするまもちゃん…
本当かな…
もっと上手に出来たらまもちゃんもあっという間にイクのかな…
それとも…
彼の膝の上で、彼の顔を見ながら考え事をしていると、まもちゃんが笑って言った。
「北斗…気にしてるの…?かぁわいい~!」
そう言って、向かい合いながら彼の膝の上の俺のお尻のほっぺを持ち上げて、両手で揉みしだく。
俺はまもちゃんにピッタリと、くっ付いて揉みしだかれる。
「プリプリ~!プリプリ~!」
最低だ…
まもちゃんは俺のお尻をモミモミしながらそう言ってはしゃぐ。
「もう!やめてよぉ!」
俺はそう言って、体を捩ってまもちゃんの手を叩く。
俺が後ろを向いてると、まもちゃんが俺の乳首をペロリと舐める。
「んっ!やぁだ!」
そう言って彼の方を向くと、俺の背中をギュッと抱きしめて、顔を密着させて俺の胸に息を吹きかける。
ブーーーッと音を鳴らしてケラケラ笑う。
もう!…俺みたいな事する…!!
そのまま彼の頭をペチペチ叩いていると、まもちゃんの手が俺のお尻の奥へと入って行く。
「ん…まもちゃん、やぁ、やだぁ!」
俺がそう言って恥ずかしがっても、まもちゃんはそのまま指を中に入れてくる。
「あっ!あっあ…ん…はぁはぁ…だめ…ん、はぁはぁ…あっ、あっ…」
いつもと違う体勢で、彼の顔を見下ろしながら指を入れられて、違和感に苦しむ。
俺のお尻を突き出させるように腰を持ち上げて、奥まで指を入れてくる。
「はぁはぁ…あっあっ…あん…まもちゃ…はぁ…んん…」
俺はすっかり快感に大人しくなって、まもちゃんの頭にしがみ付いて体を仰け反らせていく。
俺の腹から胸を舐めて食むようにしつこく吸って、体を抱きしめて中を刺激してくる。
足が震えて力が入らなくなる…
「北斗…まもちゃんに寄り掛かって良いよ。」
お言葉に甘えて、俺は完全にまもちゃんに寄り掛かって快感だけ感じてよがる。
俺の中に入る指が増えていく…
いつもと違う体勢のせいか…気持ちよくなる部分が違くて、初めての感覚に頭がクラクラしてくる…
俺の体を舐める彼の舌も、吸われる感覚も、どれもズキズキするくらい気持ち良くて頭が真っ白になっていく…
「あっああ…まもちゃぁん!気持ちい…んん~まもちゃ…ああん!」
彼の顔を見下ろして、うっとりとだらしない顔でキスする。
堪らなく気持ちよくしてくれるこの人が愛しい…
もっと気持ち良くして欲しくて…懇願する様に、熱心にキスする。
「はぁはぁ…かわい…」
そう言ってまもちゃんは俺の中から指を抜くと、自分のモノを扱いた。
指の抜けた後でも余韻を味わう様に腰が震えて、ゆるゆると動いてしまう…
「北斗…まもちゃんの上に座ってごらん。」
そう言ってまもちゃんは自分のモノを支えながら、俺の腰を掴んで下に落としていく。
穴の下にまもちゃんのモノが当たって、怖くて立ち止まる。
「無理だよ…まもちゃん…」
俺がそう言って、まもちゃんの顔を見ると、まもちゃんはギラギラした目つきで俺の乳首を舐めて、俺の体を震わせる。
そのまま俺の腰を掴んで、ゆっくり落としていく。
「んん…あっ、まもちゃ…あっあっ…ん!や、やだぁ…あああ!」
まもちゃんは自分の腰を上に動かして俺の中に入って来る。
そのままグイグイと強引に入って来ると、俺の腰を両手で掴んで自分の上に座らせていく。
「はぁはぁ…あっああ…入ったぁ…入ったけど…どう…するの…まもちゃん…」
体をビクつかせて目の前のまもちゃんに聞くと、彼は俺を見て言った。
「北斗ちゃんが…動いて…まもちゃんを気持ちよくさせて…」
マジか…
俺は潤んだ瞳でまもちゃんを見つめる。
俺の中の彼がドクンと硬くなって俺を満たす…
彼の胸に手を置いて、ゆっくり腰を浮かせる。
「あっああ…はぁはぁ…まもちゃん…だめ、きもちいの…できないよぉ…」
俺はそう言いながら腰を浮かせたまま固まってしまう。
まもちゃんは俺の腰を両手で掴んで、ゆっくり下に降ろした。
「ああっ!ダメ…まもちゃ…だめ…だめ…」
俺は両手で顔を覆って、初めての快感に悶える。
まもちゃんは俺のお尻を掴んで、ゆっくりと上に上げたり下げたりして動かす。
「あぁ…気持ちい…北斗…まもちゃんの顔見て…」
そう言われて、フルフルと震える両手を顔から離して、彼の肩に置く。
ダメだ…本当にどうやったらいいのか分からない…AVで見た事はある。でも、女の人はどうやってこんな気持ちが良いのを我慢してるのかが…分からない。
「北斗…見て…」
顔のすぐ下で呼ばれて、俺はトロけた瞳で彼の顔を見下ろした。
「あぁ…かわい…」
そう言ってまもちゃんは腰を動かして、俺のお尻を勝手に動かす。
「あっ!あっああ…!まもちゃん!や、やだぁ!だめぇ、だめなの…んんっ」
彼の体に項垂れて、腰を勝手に動かされ続ける。
快感がめぐって頭が真っ白になって…クラクラしてくる。
口からよだれが落ちて、顎を伝って落ちていく。
「だめぇ、だめ…まもちゃぁん…あっああ…ん!や、やだぁ…あぁあ…ん!」
俺の首を食みながら、俺の背中を引き寄せて密着させて、まもちゃんが俺の腰を勝手に動かす。
俺のモノが初めての快感に興奮して、ビクビク震えてイッてしまった…
「まぁもちゃぁん!やだぁ!ん、やだぁあん!」
そう言いながら彼のくれる快感に、翻弄されて喘ぐ。
「ん~!北斗…可愛い!」
極まったまもちゃんがさらに興奮して、俺の体に貪る様なキスを浴びせる。
ダメだ…もうあちこちが気持ち良くて…おかしくなりそう…!
彼の体に抱きつきながら喘いでいると、まもちゃんの息がどんどん荒くなっていって、俺の頬に頬ずりしながら、低く呻くとキスをせがむように顔を摺り寄せる。
頭が真っ白になった俺は、彼の気持ち良さそうな顔を見て、口元がだらしなく緩んで来る。そのまま快感に身を任せて、彼の頬を舌で舐めながら口を探していく。
堪らない…
理性が消えて…快感と目の前の男の事しか頭になくて、ただひたすらに気持ち良くなっていく…堪らなく刹那的で、何よりも密だ。
彼の舌が俺の舌に触れて、互いに求め合うみたいに絡ませて自分の口に引き込んでいく。
お前は俺の物だと言わんばかりの激しい感情をキスに込めて、お互いを貪って食ってるみたいだ。
息も漏らさないくらい密着させて、キスして抱き合う。
そうなんだ…俺とまもちゃんのセックスは、まるでウロボロスなんだ…
きっと、どちらも貪欲で…意地汚いんだ。
だから良い。
堪らなく…良いんだ。
「あぁ…北斗、まもちゃんイッちゃうよ…」
そう言って、だらしなく笑いながら俺の顔を見上げて、キスをせがんでくる。
俺は快感に満たされて愛しい彼にキスをする。
俺の中で、彼のモノがドクンと跳ねて、慌ててまもちゃんが俺をベッドに寝転がす。
そのままティッシュを俺のお尻の下に数枚敷いて、まもちゃんが俺を見下ろす。
「もっとしたいの…良い?」
そう言って俺の首に顔を埋めると、腰をゆるゆると動かし始める。
「まもちゃん…まもちゃん…」
俺はもう名前しか呼べないよ…
だって、他の事がどうでも良くなって、ただ今この瞬間の事しか考えられないんだ。
彼の背中に手を這わせて、自分に引き寄せる。
そして、また俺達はお互いを貪り食うんだ。
どちらもやめない、共食いみたいだな…
「北斗ちゃ~ん、お尻綺麗にしようね~。」
そう言って俺の手を引っ張って、お風呂場に連れて行くふにゃけたまもちゃんも…、さっきみたいに強引に俺を犯すまもちゃんも…どちらも大好き…
「沢山出てくるぅ…」
そう言ってお尻にティッシュをあてながら、お風呂場まで急ぐ。
体を綺麗に洗って、泡で文字当てごっこをする。
そのまま髪の毛を洗って、頭からシャワーを浴びて溺れかける。
「あはは、でも、この前より長く浴びれてたよ…」
そう言って笑うまもちゃんに抱きついてキスする。
「まもちゃん…大好きなんだよ…知ってる?」
俺がそう言うと、まもちゃんは俺を見下ろして優しく笑って言う。
「知ってる…でも、俺の方がもっと好きだよ。」
ふふ…おっかしいな。
俺は対抗しないで、彼の胸に顔を寄せて彼の肌に頬を付ける。
そのまま一緒にお風呂を出て、体を拭いてもらう。
部屋着を着て、歯を磨いて、ベッドの上に再び戻る。
よれたシーツを戻して、ぐちゃぐちゃになった布団をまもちゃんが大きく振ってる。
俺はベッドの上で横になって、その様子を眺めてる。
ベッドメイクをするみたいに、手際良くまもちゃんが俺の上に布団を掛ける。
上から降ってくる布団が、スローモーションで見える。
わぁ、まるでテントだ!
俺は体を起こして座ると、上から降ってくる布団を頭から浴びた。
まもちゃんがまた布団を大きく上に上げる。
ベッドの中心に座って、落ちてくる布団を見上げる俺を覗き込んで、声を出して笑う。
何回も何回もそうして遊んで、最後に大きく布団を上に上げると、
まもちゃんは俺の隣に滑り込んで入って来た。
「あははは!凄い!まもちゃん!」
そう言いながら飛び込んできた彼を受け止める。
そのままギュッと抱きしめて、一緒にベッドに倒れる。
まもちゃんと俺の上に、ふわりと布団が降って落ちる。
「ギリギリセーフだった。」
まもちゃんがそう言って、俺の胸に顔を擦り付ける。
「そうだね。ギリギリセーフだった。」
俺はそう言って、彼の柔らかい髪を撫でる。
そのまま彼にしがみ付くと、まもちゃんが四つん這いになってベッドの中を移動する。
「到着」
まもちゃんにそう言われたから、俺はしがみ付いていた腕と足を離して、ベッドに落ちる。
まもちゃんはそのまま体を横に転がして、仰向けに寝転がった。
俺は彼の体に、すぐに甘えて抱きつく。
「明日は28日だよ…まもちゃん。」
そう言って彼の左手の甲を撫でる。
まもちゃんは俺の前髪を撫でて、何も言わない。
だから俺は彼に背中を向けて、彼の右腕を引っ張って自分を後ろから抱かせる。
「離さないで。」
そう言って自分の体をきつく抱かせて、彼の胸板に体を沈める様に押し付ける。
「まもちゃん、おやすみ…」
彼が俺の髪にキスして、ハフハフしてる。
俺の体、全体を抱くように大事に抱きしめられて、ウトウトとする瞼をそのまま降ろしていく。
「北斗…愛してる。お休み…俺の愛しい人。」
そんな甘い言葉を耳の奥に響かせて、俺は眠りに落ちた。
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