43 / 55

8月27日(木)_02

「まもちゃんはそれ持ってね、俺はこのくらい持つから。」 そう言ってお土産を沢山手に持って、まもちゃんのお店から歩の別荘まで歩く。 「チーズケーキもおいしかった。」 俺がそう言ってまもちゃんを見ると、彼は嬉しそうに俺を見て言う。 「北斗はちょっとしか舐めて無いのに、分かるの?」 「分かる。甘かったもん。」 そう断言して、まもちゃんを見ると、彼は微妙な表情をして言った。 「大抵のスイーツは甘いんだよ?北斗の判定は甘いな…。」 星ちゃんみたいなことを言うんだな。 星ちゃん… あぁ…星ちゃん、どうしてるかな。 怒っていないかな… この前、あんな風になって以来、彼には会っていない。 大丈夫かな…怒っていないかな。 左手に広がる湖の水面を見ながら、煌めく水面に星ちゃんを思う。 「北斗、星ちゃんなら大丈夫だよ…」 まるで、俺の心が分かるみたいに、まもちゃんはそう言うと、可愛く笑った。 星ちゃん… 「お~い!」 歩の別荘の前に着くと、みんなは外に置かれたテーブルに座って、ワイのワイのとおしゃべりをしていた。 また、飽きずに湖で遊んでたの? 「あ、北斗だ~!」 そう言って春ちゃんが俺を呼ぶ。 自然に星ちゃんを目で探して、春ちゃんの隣に座る彼と目が合う。 俺が少し笑うと、彼も少し笑って答えた。 ぎこちない俺達を、博と渉が見て笑う。 「お前、星ちゃんも怒らせたのかよ。最低だな!北斗!」 ディスりカップルは健在だな。 お前たちには恵んでやらないぞ! 俺はそう思いながら、お土産の袋をテーブルに置いた。 「違うよ。俺が、北斗を怒らせたんだ…ごめんな…北斗。」 そう言って俺を見上げる星ちゃん… その顔は、とても寂しそうだった… 「星ちゃん!」 俺はそう言って彼の傍に行くと、正面から抱きついて、鼻をスンスン鳴らした。 「星ちゃん…星ちゃん!」 そう言って彼の頭にグリグリと顔を摺り寄せて泣く。 「これ…沢山貰ったから、みんなで食べようと思って持ってきたよ?」 まもちゃんがそう言って、みんなが喜んで騒いでも、俺は星ちゃんを放さなかった。 込み上げてくる疑問をそのまま彼にぶつける。 「どうして…どうしてあんな事言ったんだよ…」 俺は彼の顔を覗き込んで尋ねた。 星ちゃんは少し困った顔をして言った。 「北斗の事が…大好きみたいだ。だから、まもちゃんさんに…嫉妬した。」 「星ちゃん!」 あっけらかんと星ちゃんはそう言って、俺の髪の毛をいつもの様に撫でる。 「ふふ…やっぱり北斗は可愛いね…大好きだ。」 やめてくれ。 どうして…今更なんだ…! 遅いよ…遅すぎるじゃないか…!! 遅すぎるんだよ!! 「ダメだよぉ…星ちゃん…ダメなんだよぉ…」 俺はそう言いながら星ちゃんの体に抱きついて、甘える様に体を添わす。 いつもの様に…彼に甘えるように体を預ける。 「そうだね…ダメなんだ…」 星ちゃんはそう言って、俺の髪を撫で続ける。 俺の気持ちは完全にまもちゃんにしか行っていないんだ。 今更、はい、そうですかって…簡単に出来ないんだよ。 星ちゃんもそれが分かってるから…後悔したのかな。 だから、後悔したから、苦しんでいるのかな…。 「北斗…ペンデュラムウェーブって知ってる?」 星ちゃんが俺の頭の上で難しい事を言い始める。 ペンデュラム…知ってる。失踪した人を探す番組で見た事がある。地図の上で振り子を振って、特定する不思議な振り子だ…。 それが…ウェーブ…?何それ…ソニックブームなら知ってる。戦闘機が超音速になるときに出る衝撃波だ!バブンッ!って凄い音が鳴るんだ… 俺は顔を上げて星ちゃんを見ながら、首を傾げた。 星ちゃんは俺の顔を見て吹き出すと、説明してくれた。 「構造としては、長さの違う振り子を…こう、斜めになる様に吊るしてね、揺らすんだよ。」 ほうほう…なるほどね。 それがどうしたんだろう… 俺はまた星ちゃんの顔を見て、アホ面で説明を仰いだ。 「振り子の長さが同じなら振り子の先に付いた重さに関係なく、往復にかかる時間が同じって、ガリレオ・ガリレイが気付いたんだ。」 ほうほう…ほ?…ほうほう? ガリレオ…ガリレイ…G.Gだな。うん。 「振り子の特時性って言ってね、メトロノームだってこの特時性を利用してるんだよ?振り子の長さが同じなら、正確に同じリズムを刻むんだ。」 ふぅん…G.Gが気付いたんだな。特時性ってやつに… 物理って感じだ。 「その特時性を利用して作ったのがペンデュラムウェーブ。長さの違う振り子が一定のタイミングになると、ピタリと合う瞬間が生まれるんだ。」 俺は星ちゃんが言わんとしている事が、全く分からないよ。 難しい顔のまま、とりあえず星ちゃんの話を最後まで聞く姿勢を保つ。 「俺は、その瞬間を待つことにする。」 そう言い切って、星ちゃんはスッキリした顔をして笑った。 は? なに? 全然分かんない! 周りで聞いていたみんなも首を傾げたり、聞いていないふりをして誤魔化してる… まもちゃんに至っては、ガリレオと聞いた瞬間、湖を見始める始末だ。 「うん…わ、分かった~。」 「嘘つけ!」 俺が星ちゃんにそう言って頷くと、誰のか分からないヤジが飛んだ。 気にしない。 俺は星ちゃんの言った意味は分からないけど、言った言葉は覚えた。 きっとその時が来たら思い出すんだろう。 その為にしっかりと要点だけ覚えた。 揺れてる玉がピタッと会う瞬間を待つって事だ。 「星ちゃんは何食べる?」 俺は話を戻して、星ちゃんの隣に座り直すと、袋から残ったスイーツを全て出して広げた。 だって、星ちゃんは見てから決めるタイプだからだ。 「ん~、じゃあ、これにする。」 ふふ、それは後藤さんがくれた焼きプリンだ。 「じゃあ、俺はこれにしよう~」 俺はそう言って、チーズケーキを取り出すと、星ちゃんの隣でまもちゃんみたいにムシャムシャ食べ始めた。 「美味しいね。星ちゃん。」 隣の星ちゃんにそう言って笑いかけると、星ちゃんは俺の口に着いたクリームを指で拭って、ペロリと舐めた。 「んふふ、可愛いね~」 俺がそう言って笑うと、星ちゃんもフフッと笑った。 「何があったか知らないけど、星ちゃんが歩の叔父さんに嫉妬する事無いよ。だって、あの人は大人だし、北斗の事なんてただの食いしん坊にしか思ってないんだ。」 博は滑らかプリンを口に運びながらそう言った。 ふふん!馬鹿め。 「ふふ…そうだね。」 星ちゃんはそう言って博に話を合わせると、まもちゃんをちらりと見た。 まもちゃんは湖の方へ行って、遠くを見てる。 遠くから見ても、俺のまもちゃんは素敵だった… あの、ちょっと癖のあるフワフワした髪の毛が素敵なんだ。 触ると柔らかくて、とってもかわいいんだ。 歩の家のトイプードルみたいなんだ。 「まもちゃんは要らないの~?」 俺は大きな声で彼を呼んだ。 俺の方を振り返って、首を横に振ると、また湖の方を向いて遠くを見た。 「まもちゃん…黄昏てるな…」 ポツリと言って、チーズケーキを食べ終えると、星ちゃんが言った。 「見ない様にしてるんだよ。」 そうなんだ… 星ちゃんといる所を見ない様にしてるんだ… 俺って罪深いな。 でも、それだったら思う存分星ちゃんにベタベタしよう。 余った滑らかプリンを星ちゃんと半分こして食べる。 「はい、あ~ん!」 俺はスプーンで一口すくって星ちゃんの口に運ぶ。 「ん~、滑らかだね?」 パクリと口に入れて、星ちゃんがそう言って笑う。 可愛い…! 相変わらずの可愛さなんだ。 でも、不思議と邪な気持ちを抱かなくなった。 無理やりにでもキスしてやろうとも、思わなくなった…。 浄化されたのかな。 「星ちゃん…?お母さんがね、9月は休みなしでレッスンを入れたんだ。9/26にアメリカに行く。本番は向こうの9/30だよ。」 俺がそう言うと、星ちゃんは俺を見て言った。 「そうか…忙しいんだね。じゃあ、向こうから帰って来てから餃子を食べに行こう?」 そう言って俺の頭を撫でる。 「俺は9月からまた部活だ~!」 春ちゃんがそう言って、嫌そうな顔をしながら伸びをする。 バスケットボール部の次期キャプテンって決まってるんだ。 歩も春ちゃんと同じ部活。バスケットボール部。 渉はサッカー部で、博はお店の手伝いがあるから俺と同じ帰宅部。 星ちゃんは、俺の代わりに吹奏楽部に入って、チューバを吹いてる。 低音が良く似合う…良い男なんだ。 いつか星ちゃんと合奏できたら良いな。 みんなと別れて、まもちゃんと一緒に帰る。 手を繋いで、遊歩道をおしゃべりしながら帰る。 俺は縁石に乗って、まもちゃんと手を繋いでふらふら歩く。 「まもちゃん?星ちゃんの言ってた話、意味分かった?」 俺が不思議そうな顔で聞くと、まもちゃんは俺を見て言った。 「分かったよ…」 嘘だ…絶対まもちゃんに分かる訳がないよ。だって馬鹿なんだもん。 「タイミングが来るまで、待つって事だよ。」 まもちゃんはそう言うと、繋いだ俺の手を上に持ち上げた。 「タイミング~?何の?」 俺は縁石の上でフラフラしながら、まもちゃんの顔を覗き込んで聞く。 「いつか北斗が自分の元に来るって…自信があるんだね…星ちゃんは。」 そう言って笑うまもちゃんは、まるで大人みたいに見えた。 「そう思う?」 俺は足を止めて、彼に向かい合うと、やや近くなった目線の彼に尋ねた。 なぜか、彼の答えが欲しかった。 「北斗が星ちゃんの方に行くって?」 まもちゃんが俺を見て首を傾げながら聞くから、俺は頷いて彼の答えを求めた。 じっと見つめ合って、俺の瞳を見つめる彼の瞳の中に俺を見つける。 彼は俺に両手を広げると大きく抱きしめて言った。 「思わない。多分…一生来ないよ。」 そう言って、強く抱きしめると、首にハフハフした。 俺はそれが嬉しくて、彼の体を抱きしめた。 「俺も…そう思う。」 そう言って、まもちゃんの体にしがみ付いて、抱っこしてもらう。 大好きだ…まもちゃん。 そのまま二階の部屋まで上がる。 「頑張れ~!護!」 俺はそうやって声援を送る。 「血圧が…」 オジジと同じ事言ってる。おっかしいな。 本当にそっくりなんだ。 重ちゃんのおばあちゃんも気付いちゃうくらいに、そっくりなんだ。 鍵を開けて、ドアを開けて、俺を下ろす。 「凄い!力持ちだね!」 そう言って靴を脱ぐと、大きなスピーカーに携帯を繋げて音楽を流す。 スピーカーの前に座り込んで、耳を澄ます。 鼓膜が震える… 「あぁ…良い音だ…」 そう言って、うっとりする俺を、傍に来て見つめるまもちゃん。 「北斗のその顔が好きだよ…」 そうか… それは…良かった。 そう思って、彼の頬に手を伸ばしてそっと触れる。 大好きな彼の表情が曇って、心配そうな目をする。 「北斗…泣いてるの?」 分からない。 彼の首に手を回しながら、抱きしめて彼の胸に顔を埋める。 そのまま彼の胸に顔を擦り付ける。 「嫌なんだよ…もう、みんな9月の事を話すのが…嫌なんだ。」 ごねる様に言う俺の髪を撫でて、まもちゃんは体を強く抱きしめてくれた。 「まもちゃん…前にも言ったでしょ?俺は自分の事を自分で決められないんだ。まるで…籠の中の鳥だ…。拒否権なんて無いんだ。スケジュールだって親が決める。」 まもちゃんは静かに俺の話を聞いてくれる… ただ、俺を抱きしめる手は力強く、体を温める様に強く抱きしめてくれる。 「もう…嫌だぁ。嫌だよぉ…」 そう言って彼の胸に甘えてグズグズにトロける。 「この先…俺が自由に出来る事ってなんだよ…何も…何も無いんだ。」 彼の体に抱きしめられて、守ってもらいたい。 花びらの中の胚珠の様に…体に包んで隠してもらいたい。 東京に戻ったら…両親の元に戻ったら、また自由が無くなる。 自由がないんだ…! 「嫌だよ…嫌だよぉ…」 そう言って彼に甘えて、死んでしまいたくなる。 このまま…存在を消してしまえたら、どんなに楽なんだろう… 体が震えて、恐怖が止まらない。 「音楽は素晴らしい…大好きだ。でも…でも!俺の…大切な物と、天秤に掛けたくないんだ…。それらを除いたら…俺には…何も…うっく、うっ…うう…何も残らないんだ…」 まもちゃん…守ってよ…もう籠の中に戻りたくないんだ。 「北斗…なにが怖いの?」 まもちゃんが俺の顔を撫でて、目を見つめながら優しく聞いて来る。 その目は穏やかで…優しくて…甘くて、あったかい。 「俺の手にした大切な物が…蔑ろにされる事が怖い。ここに…もう来れなくなる事が…1番……怖い!」 彼の目を見つめながら、顔を歪めて吐露する。 弱くて…しょぼい自分を、さらけ出す。 「小学生の時…理久が居なくなった後、新しい先生に慣れる事が出来なくて、母親に理久じゃないと嫌だと…ごねた。そうしたら風呂に顔を突っ込まれて、死にかけた…。何もかもに絶望して、学校帰りに屋上へ行った。星ちゃんが止めたけど…俺は屋上から落ちた。星ちゃんと一緒に落ちたんだ…。ネットが張ってあって助かったけど…俺は死にたいんだ。ずっと、ずっと…死にたがってる。もう、うんざりなんだ!」 ただ…自由になりたいんだ。 俺がそう言うと、まもちゃんは俺を大きく包み込む様に抱きしめた。 そうして押し殺すような…泣くのを我慢しているような、そんな声で言った。 「北斗…ごめんね。俺はお前のバイオリンが大好きだ。ピアノもチェロも…お前が奏でる音、全てが大好きなんだ。それは籠の中で、お前が自由と引き換えに苦しみながら得たものなんだよね。」 そうして、続けて言った。 「それでも、俺はお前のバイオリンが大好きなんだ…!だから…自由にならないでくれ…。苦しんで、素敵な音色をこれからも出してくれ…。」 まもちゃんが酷い事を言う。 潔すぎてわらけて来る… 「ふふ…俺に死ねって言ってるの?」 そう言ってまもちゃんの体にしがみ付いてクスクス笑う。 まもちゃんは俺の頭をそっと撫でて言った。 「ちがう。籠から出してもらう取引をするべきだ。」 取引…? 俺はまもちゃんの顔を見上げて聞いた。 「どうやって…相手は、音楽に偏執的な母親と父親だ…」 俺の顔を見ると、まもちゃんは涙目を拭って、悪い大人の顔になって言った。 「大人の悪知恵だ。良いかい?あのチェロの二人を利用しろ。彼らは有名なチェリストだ。彼らと親交があると聞いたら、きっと箔が付くと思うだろう。彼らの写真をのりちゃんに撮って貰っている。それを見せて言うんだ。軽井沢でチェロを教えてもらってるって。」 俺は唖然とした…その為に、あの二人の写真を…撮っていたの? それと、と付け加えてまもちゃんは言った。 「財閥の…重ちゃんのおばあちゃんの名前も出して、彼女も利用しろ。お前と写っている写真をちゃんと撮ってある。この人にお世話になったって言うんだ。そして、報酬を貰ったことも話すんだよ?お前に資本的なバックボーンが出来たと知ったら、また必ずここに来ることを許すはずだ。」 悪い顔をしたまもちゃんを見つめながら思った。 この人は…俺が苦しんでる事を知っていたんだ。 がんじがらめで、自分の自由に出来ない人生を呪っている事を、知っていたんだ… だから、密かに画策していたんだ。 俺がグズグズに甘える前から…準備していたんだ。 「まもちゃぁ~ん!!」 俺はだらしなく泣きながら、彼に抱きついた。 「やってみる…俺、やってみるよ…まもちゃん、まもちゃん…!」 俺はそう言って微かな希望を胸に抱いた。 「北斗は…大物と仲良くなるのは上手なのに…その後、自分の為に利用しない。だから純粋なんだ…。でも、少し悪い子になりなさい。俺の為に、少しだけ悪い子になりなさい。」 この時ほど、まもちゃんが頼りになると思った事は無い。 なんて…なんて悪い大人なんだ…!! そして最高の大人だ! 「まもちゃん、まもちゃん!俺、まもちゃんの言う事ちゃんと聞くよ…!!」 そう言って彼の頬を掴んで、熱いキスをする。 大好きだ…!! もしかしたら…いや、絶対に食いつくはずだ。 あの両親なら、絶対に食いつくはずだ!! 「んふふ、まもちゃん…カルビ、美味しいよ?」 「そう、良かったね?」 2人、向かい合ってお祝いの焼き肉を食べている。 ちょっと遠かったけど、まもちゃんがビールを飲むので歩いてやって来た。 「昔は飲酒運転なんて大したこと無かった。」 そう言って法律違反を話す大人を無視して、俺はお肉を網いっぱいに広げる。 タン塩は後で焼く。 俺は最初はこってり行くんだ。 「北斗、チョレギサラダは食べないの?」 まもちゃんに聞かれて即答する。 「要らない。」 全く、焼き肉屋に来てるのにサラダなんて頼む訳がない! 「ん~ふふ、カルビ美味しい。これはA5ランクのお肉なの。」 俺はそう言ってメニューを見せる。 まもちゃんは少し顔を固めて笑う。 「良いよ。いっぱい食べな。」 そう言うと思ったよ。 でも、さっちゃんと結婚しないなら、まもちゃんは貧乏だ。 しかも、きままなレストランだから、そんなに儲かっていない筈だ。 「まもちゃん…貧乏になっちゃったね。」 俺はそう言いながらライスのお代わりをする。 まもちゃんは俺を見て笑うと言った。 「別にお金が無くても良い。北斗がいれば、それだけで良い。」 本当に…結婚してあげよう。 俺はそう思った。 俺の携帯にメールが着信する。 「あ、理久からだ~」 そう言ってまもちゃんに見せる。 “明日4:00にサロンで一緒に合奏しませんか?” 「でた!サロンドプロだ。」 まもちゃんがそう言って、嫌な顔をしながら俺に携帯を返す。 「理久はサロンドプロが好きなんだよ。」 俺はそう言って、タン塩を焼き始める。 トントロは怖いから焼かない。 この前、直生と伊織と来た時に、トントロから溢れる油に引火して、炎が上がったのがトラウマになった。 直生は驚くだけで、伊織は逃げ出した…店員さんが来て助けてくれたけど、トントロが危険だと知った出来事だった。 “いいよ~” 俺は理久にそう返信して、タン塩をお皿に乗せた。 まもちゃんはユッケとカクテキをつまみにビール3杯目に突入してる。 ビールだけなら、帰れなくなる程酔わないって言ってるけど、本当なの? 「北斗?30日、一緒にディナーに出かけないか?」 まもちゃんは俺の顔を覗き込んでそう言った。 ディナー…? 「夜ご飯のこと?良いよ~!しゃぶしゃぶにする?」 俺がそう言ってワクワクすると、まもちゃんが言った。 「違う!紳士と淑女が行くようなお店に行くんだ。見て?」 そう言って渡してきた一枚のチラシ… 「なになに~?お洒落でリッチな時間を大切な人と…?フハハ!なんだこれ。」 俺はそう一蹴して、まもちゃんにチラシを返した。 まもちゃんはチラシを手に取って、俺にしつこく見せる。 「ここ、読んだ?海外某有名交響楽団出身者、クインテットによる生演奏あり。って部分、読んだ?」 俺は目を丸くして、笑顔になって言った。 「行きたい!行きたい行きたい!!」 まもちゃんは大笑いして頷くと、俺に言った。 「そう思ってもう予約してあるんだよ。だから、綺麗な服を用意しないとね。ドレスコードがあるんだ。フフフ。楽しみだ。ね?北斗。楽しみだね?」 うん。めちゃめちゃ楽しみだ!! クインテットは5人構成の事。4人だと、カルテットって呼ぶ。3人だと、トリオだ。 海外某有名交響楽団!なんてすばらしい経歴なんだ! きっと素晴らしい演奏を聴かせてくれるに違いない!! 「ん~!!楽しみだ!」 俺はそう極まって、豚バラを焼き始める。 端っこでキムチを焼いて、えごまの葉っぱを頼んだ。 「サムギョプサルにして食べるんだ~!」 「ヤンニャムが無いじゃん…」 まもちゃんがそう言って水を差すから、言ってあげた。 「まもちゃんが調味料を駆使して、良いお味の作ってよ。」 早速まもちゃんがカクテキのヤンニャムと調味料を配合し始める。 でもね、思うの。 えごまがあれば何でも良いって…そう思うんだよ。 焼けた豚バラをえごまの葉っぱに乗せて、焼いたキムチとまもちゃん配合の特製ダレを乗せる。 くるっと巻いてパクリと食べる。 「ん~ふふふ!美味しいじゃん!」 俺はそう言って満足した笑顔になる。 「どれどれ~」 まも~るも食べたがるから、作ってあげる。 くるっと巻いて彼の口に運ぶ。 「あ~ん…」 俺がそう言うと、間抜けな顔になって口を開ける。 パクリと食べて、キラキラ目を輝かせる。 「ん~、良い感じに出来たな。」 そう言って、満足してる。 でも、もう食べない方が良いよ?豚バラの油は年寄にはきついんだ。 「のりちゃん、明日またヨーロッパの方に行くって。」 まもちゃんがそう言って俺を見る。 「忙しいね、ヨーロッパって具体的にどこら辺なの~?」 俺がそう言うと、まもちゃんがニヤニヤ笑って言った。 「北斗の好きなポルカの所。」 「フィンランドか!良いね。何しに行くの?」 俺がそう聞くと、まもちゃんがビールを飲み干して言った。 「北斗のポルカを聴いたら、行ってみたくなったんだとさ。本場のポルカを聴いて来るって…言ってたよ?ふふふ、影響されやすいんだよ。昔から。」 分かってないな…まも~るは分かってない。 ポルカはそういう物なんだ。 心の奥から楽しくなるようなリズムなんだ。 のりちゃん…良いポルカに出会えるといいね。 ズンチャ!ズンチャ!ってリズムに乗せて体を動かすと、堪らなく楽しくなってくるんだ。きっと…のりちゃんも、あのリズムにやられたんだ。 「オジジも俺のポルカが好きだよ?工房のみんなも好きだし、おばあちゃんも好きだ。んふふ、まもちゃんも好きだろ?」 俺がそう言うと、まもちゃんはとっても嬉しそうににっこり笑って、俺の頬を撫でて言った。 「大好きだ。」 だろ? 俺は頬にあてられた彼の左手に頬ずりして、彼を見つめて言う。 「俺も…大好きだ。」 そのまま、顔を近づけてまもちゃんと鉄板の上でキスする。 他の客さんなんてどうでも良いんだ。 嗜んだレディーが2、3人いれば…それで良いんだ。 「北斗?明日レンタル衣装屋さんに行って、かっこいいスーツを借りてこようね?」 手を繋いで歩いて家まで帰る。 フラフラするお爺ちゃんが一緒だからな。 「かっこいいスーツってどんなの~?」 俺はお爺ちゃんに話を聞いた。 まもちゃんは俺の方を見てニヤニヤしながら言う。 「ダブルの…セクシーな…黒い、ネクタイの…」 「はは!まもちゃんは古いな!今どきダブルのスーツを着てるのはダサいホストだけだよ?笑っちゃうね。そのセンス。」 そう言って被せてまもちゃんのセンスを全否定する。 「じゃあさ、北斗はどんなのがかっこいいスーツなんですかって、話ですよ?」 そう言ってまもちゃんが俺に圧し掛かってくる。 「そうだな…俺が思うかっこいいスーツは…まもちゃんに似合うやつかな。」 そう言って、彼を見上げて微笑む。 「ズキュン!」 まもちゃんが大人しくなって、俺と手を繋いでまっすぐ歩き始めた。 「北斗ちゃん…」 「なぁに?」 「嬉しい…」 何だよ、可愛いかよ。 俺はまもちゃんを見て言った。 「まもちゃん…可愛いね?」 まもちゃんは顔を赤くすると笑って言った。 「北斗…大好きだよ。」 知ってる。 そして俺の方が何倍もまもちゃんの事が大好きだ。 彼の左手を握りながら、家まで帰る。 帰ったら頂き物のアイスを食べる予定だ。 「俺はチョコ~!まもちゃんは抹茶ね?」 俺がそう言うと、まもちゃんが言った。 「お姉さんは、俺にチョコだと思って買ってきたんだと思う。北斗は抹茶っぽいもん。」 絶対嘘だね。 「反対だよ。若い俺用にチョコを買って、年寄のお爺ちゃんの為に抹茶を買ってくれたんだ。ほら苦いの好きだろ?コーヒーもそうだし、ビールもそうだ。だから、まもちゃんは抹茶なんだよ?」 俺がそう言うと、ぐうの音も出なくなったのか、まもちゃんは実力行使に出る。 早歩きして、先に家に着こうとするから、俺は頑張って走った。 「はぁはぁ…何で…こんなに、足が遅いんだ…!」 まもちゃんは早歩きしてるだけなのに、俺は走っても追いつけない。 しかも、アハハハ!って笑いながらなのに、凄く早いんだ… どんどん先に行っちゃうから、俺は悲しくなって立ち止まった。 「やだ!や~だ!!」 そう言って、まもちゃんが戻ってくるまで立ち止まって待ってる。 「アハハハ!」 声をフェードインさせて、俺の目の前に戻ってきた…ウケる。 「早歩きしないで!まもちゃん!早歩き、嫌だ!」 俺は怒って、目の前のまもちゃんに言った。 そして、彼の左手の方に手を差し伸べた。 「繋いで!」 俺がそう言うと、まもちゃんはにっこり笑って左手を差し出した。 そうして、一緒に歩いて帰る。 歩の別荘の前を通過して、遊歩道を歩く。 そして、お店が見えてくる… この景色も…もうすぐ、見なくなるのか… まもちゃんの体にピッタリ抱きついて、えっちらおっちら歩いて、お店の前まで行く。 階段を上って、鍵を開けてもらう。 玄関に入って靴を脱いで、振り返って、まもちゃんにキスする。 ビールの苦い味がして嫌なのに、まもちゃんの舌が気持ち良くて、そのまましつこくキスする。 うっとりとキスを外すと、まもちゃんが俺の顎を掴んで言った。 「北斗…チョコアイス食べないの…?」 何だよ…そんなエッチな声出して… 俺は彼の言葉を無視して、もう一度キスをする。 そのまま両手で彼の肩に抱きついて、何度も唇を食みながら彼を誘う。 靴を脱ぎ損ねたまもちゃんが、足で一生懸命靴を脱ごうともがいてる。 でも知ってるんだ… それ、靴紐を結構しっかりと絞めて履いてたよね… 沢山歩くからって…靴紐…しっかり絞めてたよね。 笑いそうになるのを堪えながら、まもちゃんを誘うようにキスをする。 彼の柔らかい髪を手のひらで撫でてすくって、うっとりと目を見つめながら、舌でねっとりとまもちゃんの唇を舐める。 堪らなくなったのか、まもちゃんは俺の腰を抱くと、靴を履いたままベッドに直行する。 「アハハハ!まもちゃん!土禁だよ?ここは土禁だよ!」 俺はそう言って、笑いながらまもちゃんの腹を蹴飛ばす。 「吐いちゃうでしょ~!」 そう言って怒ると、まもちゃんは玄関に戻って靴を脱ぎ始める。 俺はすかさず服を脱いでシャワーを浴びに行く。 だって、体が肉臭くなったんだ。 靴を脱ぎ終えて、俺がベッドに居ない事を知ったまもちゃんが絶叫してる。 「北斗~~~!!」 アハハ!おっかしい! 体を洗い終えた頃、浴室の曇りガラスの向こうに大きな人影を確認する。 ホラー映画みたいに微動だにしない影に、だんだんと怖くなってくる。 「ま~もちゃん?」 髪を洗いながら呼び掛ける。 応答がない… 立ちながら寝ちゃってるのかな? 「ま~もちゃん?」 もう一度呼び掛けてみるけど、やっぱり応答がない。 髪を流して、顔を洗って、浴室のドアを開く。 目の前に立ち尽くす怒った顔のまもちゃんがいた。 「なぁんで怒ってるの?怖いのやだ。やだ。」 俺はそう言って、彼の頬を掴んで、笑顔になる様に上に押し上げる。 「んふふっ!」 全然可愛くない笑顔に吹き出して笑う。 そのまま裸の姿でまもちゃんに抱きつく。 「まもちゃん…拭いて?ねぇ、綺麗にふいてよぉ~」 そう言って甘える。 「北斗…まもちゃんはギリギリだったんだよ?置いていくのはダメなんだよ?」 そう言いながら、まもちゃんは俺の体を拭きながら舐める。 「んふっ…あっ、ん…まもちゃん…まもちゃんも体洗って…?」 だって肉臭いんだもん。 「え…良いよ。後で、良いよ。」 そう言ってしゃがみながら俺の腰を抱き寄せて、自分の足の間に入れて、俺のモノをねっとりと咥え始める。 足が震えて腰が逃げる。 まもちゃんの大きな手によって、ガッチリつかまれた腰が逃げ場を失って、引き寄せられる。 「あっ…まもちゃん!ダメ、倒れちゃう…!」 俺はそう言って、彼の肩に手を置いて、快感を堪えて震える。 俺がそう言ってるのに、まもちゃんは俺を抜くまで離さないみたいに、言う事を聞かない。 「んん…っ!まもちゃぁん…あっ、あっああん…気持ちい…はぁはぁ…だめぇ、転んじゃう…まもちゃん…」 そう言って彼の背中を叩いても、俺のモノを咥えて離さない。 気持ちいい…ダメだ…イッちゃいそう! 俺は体を起こして、フラッとよろけて後ろに倒れそうになる。 まもちゃんは俺のモノから口を離して、倒れそうになった俺の体を支える。 「危ないだろ…?北斗ちゃん…ダメだよ。」 そう言って、俺に熱いキスをしながら俺のモノを扱いた。 あぁ…イカせたいんだ… 彼を弄んだ俺へのお仕置きだ。 俺はまもちゃんの肩に両手で抱きついて、彼の体に足を絡ませた。 そして、緩く腰を揺らして体を仰け反らせる。 自分の乳首を撫でながら、いやらしくまもちゃんを見つめる。 「ま、まもちゃぁん…乳首きもちぃよ…」 「北斗ちゃん!!」 極まったまもちゃんが、俺をイカせるのを諦めて、大急ぎでベッドに運ぶ。 「嫌だ!肉臭い!」 俺はそう言って、まもちゃんの体を足で抑える。 「肉臭くない!みんなもともと肉なんだ!」 まもちゃんはそう言うと、来ていた服を脱ぎ始める。 「肉臭いまもちゃんなんて嫌だ!」 俺はそう言って布団にくるまる。 「北斗…北斗もお肉なんだよ?」 まもちゃんはそう言って、全裸になると、俺の包まる布団を掴んで捲っていく。 「いやだ!あっちに行け!肉臭くなくなったら戻っておいで!」 俺はそう言ってダンゴムシのように丸まる。 まもちゃんは何とか糸口を探そうと、全裸で布団を探っている。 俺はギュッと体を縮めて肉臭い男の攻撃から体を守ってる。 俺の足の裏に彼の手が触れて、ギュッと握られる! 「んっ!」 「あは!」 まもちゃんのキラ!っとした顔が目に浮かびそうな弾む声を聴いた。 次の瞬間、まもちゃんの手はどんどん俺の足を上って来る。 肩まで強引に入れてダンゴムシになった布団をほぐすと、まもちゃんはとうとう俺のダンゴムシを攻略した。 「だめだ!肉臭いんだもん!ヤダ!」 そう言って暴れる俺の上に覆いかぶさって、肉のまもちゃんは俺の体を舐め始める。 「モグモグ~美味しいお肉だよ~。」 そう言いながら、俺の太ももを噛んでアムアムする。 「ん、やぁだ!ばか!」 彼の頭を叩いても、もう止まらないんだ… 「モグモグ~、北斗?ここはどこのお肉かなぁ~?」 最悪だ…本当に最悪なんだ… 俺の股間に顔を近づけて、首を傾げながら俺に聞いて来る。 「いやだ!知らない!」 俺は体を捩って逃げようとするけど、本気を出したまも~るに敵う訳もなく… 「アハ~!ウインナーソーセージだ!」 最低だ、大嫌いだ! まもちゃんはそう言って、また俺のモノを口に入れて扱き始める。 それはさっきよりも、いやらしく音を立てて俺を刺激する。 「あっあん!…んん…まもちゃん…ああっ!だめぇ…お風呂入ってよぉ…」 俺がそう言うと、まもちゃんが、ふふッと笑う。 「北斗…可愛い…こんなに気持ち良くなってるのに…まだそんな事言うの?本当に…可愛いな…」 その声色がエッチで、俺の頭を痺れさせる。 まもちゃんは俺のお尻の下から両手を入れて、腰をガッチリホールドすると、そのまま手を上に這わして、乳首を摘まんで撫でる。 「はぁはぁ…!あっ!あっ…あん!まもちゃん…だめ、だめ…すぐイッちゃう…!」 首を振って、襲ってくる快感を散らす。 俺の乳首を優しく撫でたりつまんだりして遊ぶ彼の手の甲に、手を当てて軽く握る。 体がどんどん仰け反って、堪らなく興奮する…! 「んんっ!まもちゃぁん!だめぇ…ん!イッちゃうからぁ!あっ、あっ、あっああん!!」 そう言って、腰を震わせて俺がイクと、まもちゃんはやっと顔を上げて、ペロリと舌なめずりをする。 そのまま俺の顔の方にのそのそとやってきて、トロけた瞳で俺を見下ろす。 「北斗…可愛い」 そう言って俺にキスしながら、体を俺の隣に倒して、横になりながら俺を愛撫する。 大きな手のひらで体を満遍なく撫でる。 鳥肌が太ももに立って、背中が仰け反る。 キスし続ける口の端から吐息が漏れて、いやらしく自分の耳をくすぐる。 優しく鎖骨を撫でられて、指先で、ツーッと下に撫でて降ろす。 そのまま乳首を撫でて、さらに脇腹を撫でて、俺のモノを握って掴む。 「まもちゃぁん…んん…」 何をされても気持ちよくって、彼の首に顔を埋めて、小さく喘ぐ。 体が疼いてビクビクする。 それを面白がるみたいにまもちゃんが低い声で言う。 「北斗…本当にエッチで可愛い…食べちゃいたいよ…」 そう言って、俺の太ももに勃起したモノを擦り付けながら、いやらしく俺のモノを扱いて、小さな喘ぎ声をあげる俺を愛おしそうに見つめながら、一緒に感じてるみたいに喘ぎ声を出すまもちゃん。 やばい…凄くエロい…! 「んん…まもちゃ…良い…きもちいの…はぁはぁ…ん、んあっ…はぁはぁ…」 「ん…きもちいの…はぁはぁ…まもちゃんの…気持ちいの…北斗…はぁはぁ…」 俺は太ももにあたる彼のモノを握ると、ゆっくり扱いた。 まもちゃんの息がどんどん荒くなって、腰が揺れていく。 「あぁ…北斗、きもちい…はぁはぁ…もっと強くして…もっと、強く…」 そう言って俺の体に顔を埋めてまもちゃんが喘ぎ始める… 俺は彼のモノをもっと強く握ると、ゆっくり扱いてみた。 彼は俺の手の上から、自分の手を重ねて自分のモノを扱いてみせる。 「北斗…このくらい…はぁはぁ…このくらい強くして…」 やばい…エロい… おねだりするまもちゃんが、やたらエロくて、俺の頭がおかしくなった。 「まもちゃん…!可愛い…!!」 俺は極まって、まもちゃんの言った通りの強さで彼のモノを扱いた。 我慢できなくなって、彼のモノを舌で舐めて、じっくりと愛した。 「あぁ…北斗…良いよ、良いよ…気持ちいい…」 そう言って俺にお任せするまもちゃんに、俺と同じようにしてあげる。 彼の大きな足の下から手を入れて、乳首まで伸ばそうとするけど…尺が足らない! 「ふふ…」 笑うな! 俺は頑張って、もう一度足の下から手を伸ばして、彼の腹に触ることに成功した。 まもちゃんは体を起こして、彼の股間で奮闘する俺を見下ろす。 俺は頑張って彼のモノを口で扱いてる。 俺の肩を掴んで顔を上げさせると、まもちゃんは俺の口にキスする。 「まもちゃん…気持ち良くなかった…?」 彼の顔に顔を擦り付けながら聞くと、まもちゃんは口元を緩めて笑う。 「北斗…おいで…」 そう言って、俺の手を引いて自分の膝の上に跨らせると、まもちゃんは自分のモノと俺のモノを一緒に扱いた。 「ん~!」 体が仰け反って、後ろに倒れそうになる。 俺の腰を大きな手で掴んで、まもちゃんが扱き続ける。 「あっああ…まもちゃ…あぁん…はぁ、はぁあ…ん、あっ…」 快感が強くて、体を捩って逃げ出そうとする俺の腰を引き寄せて、仰け反った胸の乳首をペロリと舐め上げる。 「ん~!だめぇ!まもちゃん…だめ、だめぇ…イッちゃうからぁ!あぁん!!」 彼の頭に両手を着いて、離そうと全力を出すのに、全然離れて行かない! どうなってるの?! その間もまもちゃんは俺のモノを彼のモノを一緒に扱いて、快感を与え続ける。 仰け反る胸の乳首を口に含んで舌先で転がして、たまに軽く噛んで来る…! その度に俺のモノがビクビク震えて…今にもイキそうになる。 「はぁ~可愛い…」 そう言ってまもちゃんは、俺の手によって髪の毛をグチャグチャにされながら、俺の全身をくまなく愛する。 「だめぇ!だめぇ!あぁあん!イッちゃう、イッちゃう~!」 俺はそう言って彼の頭にしがみ付きながら、体を震わせてイッてしまった… 「まもちゃん…?俺の…気持ち良くなかったの…?」 俺はまだ引きずってる。 途中で降板させられたこと。 「気持ちいいけど…まもちゃんはなかなかイカないから、それよりも北斗にエッチな事がしたかったんだよ?」 そう言ってケロッとするまもちゃん… 本当かな… もっと上手に出来たらまもちゃんもあっという間にイクのかな… それとも… 彼の膝の上で、彼の顔を見ながら考え事をしていると、まもちゃんが笑って言った。 「北斗…気にしてるの…?かぁわいい~!」 そう言って、向かい合いながら彼の膝の上の俺のお尻のほっぺを持ち上げて、両手で揉みしだく。 俺はまもちゃんにピッタリと、くっ付いて揉みしだかれる。 「プリプリ~!プリプリ~!」 最低だ… まもちゃんは俺のお尻をモミモミしながらそう言ってはしゃぐ。 「もう!やめてよぉ!」 俺はそう言って、体を捩ってまもちゃんの手を叩く。 俺が後ろを向いてると、まもちゃんが俺の乳首をペロリと舐める。 「んっ!やぁだ!」 そう言って彼の方を向くと、俺の背中をギュッと抱きしめて、顔を密着させて俺の胸に息を吹きかける。 ブーーーッと音を鳴らしてケラケラ笑う。 もう!…俺みたいな事する…!! そのまま彼の頭をペチペチ叩いていると、まもちゃんの手が俺のお尻の奥へと入って行く。 「ん…まもちゃん、やぁ、やだぁ!」 俺がそう言って恥ずかしがっても、まもちゃんはそのまま指を中に入れてくる。 「あっ!あっあ…ん…はぁはぁ…だめ…ん、はぁはぁ…あっ、あっ…」 いつもと違う体勢で、彼の顔を見下ろしながら指を入れられて、違和感に苦しむ。 俺のお尻を突き出させるように腰を持ち上げて、奥まで指を入れてくる。 「はぁはぁ…あっあっ…あん…まもちゃ…はぁ…んん…」 俺はすっかり快感に大人しくなって、まもちゃんの頭にしがみ付いて体を仰け反らせていく。 俺の腹から胸を舐めて食むようにしつこく吸って、体を抱きしめて中を刺激してくる。 足が震えて力が入らなくなる… 「北斗…まもちゃんに寄り掛かって良いよ。」 お言葉に甘えて、俺は完全にまもちゃんに寄り掛かって快感だけ感じてよがる。 俺の中に入る指が増えていく… いつもと違う体勢のせいか…気持ちよくなる部分が違くて、初めての感覚に頭がクラクラしてくる… 俺の体を舐める彼の舌も、吸われる感覚も、どれもズキズキするくらい気持ち良くて頭が真っ白になっていく… 「あっああ…まもちゃぁん!気持ちい…んん~まもちゃ…ああん!」 彼の顔を見下ろして、うっとりとだらしない顔でキスする。 堪らなく気持ちよくしてくれるこの人が愛しい… もっと気持ち良くして欲しくて…懇願する様に、熱心にキスする。 「はぁはぁ…かわい…」 そう言ってまもちゃんは俺の中から指を抜くと、自分のモノを扱いた。 指の抜けた後でも余韻を味わう様に腰が震えて、ゆるゆると動いてしまう… 「北斗…まもちゃんの上に座ってごらん。」 そう言ってまもちゃんは自分のモノを支えながら、俺の腰を掴んで下に落としていく。 穴の下にまもちゃんのモノが当たって、怖くて立ち止まる。 「無理だよ…まもちゃん…」 俺がそう言って、まもちゃんの顔を見ると、まもちゃんはギラギラした目つきで俺の乳首を舐めて、俺の体を震わせる。 そのまま俺の腰を掴んで、ゆっくり落としていく。 「んん…あっ、まもちゃ…あっあっ…ん!や、やだぁ…あああ!」 まもちゃんは自分の腰を上に動かして俺の中に入って来る。 そのままグイグイと強引に入って来ると、俺の腰を両手で掴んで自分の上に座らせていく。 「はぁはぁ…あっああ…入ったぁ…入ったけど…どう…するの…まもちゃん…」 体をビクつかせて目の前のまもちゃんに聞くと、彼は俺を見て言った。 「北斗ちゃんが…動いて…まもちゃんを気持ちよくさせて…」 マジか… 俺は潤んだ瞳でまもちゃんを見つめる。 俺の中の彼がドクンと硬くなって俺を満たす… 彼の胸に手を置いて、ゆっくり腰を浮かせる。 「あっああ…はぁはぁ…まもちゃん…だめ、きもちいの…できないよぉ…」 俺はそう言いながら腰を浮かせたまま固まってしまう。 まもちゃんは俺の腰を両手で掴んで、ゆっくり下に降ろした。 「ああっ!ダメ…まもちゃ…だめ…だめ…」 俺は両手で顔を覆って、初めての快感に悶える。 まもちゃんは俺のお尻を掴んで、ゆっくりと上に上げたり下げたりして動かす。 「あぁ…気持ちい…北斗…まもちゃんの顔見て…」 そう言われて、フルフルと震える両手を顔から離して、彼の肩に置く。 ダメだ…本当にどうやったらいいのか分からない…AVで見た事はある。でも、女の人はどうやってこんな気持ちが良いのを我慢してるのかが…分からない。 「北斗…見て…」 顔のすぐ下で呼ばれて、俺はトロけた瞳で彼の顔を見下ろした。 「あぁ…かわい…」 そう言ってまもちゃんは腰を動かして、俺のお尻を勝手に動かす。 「あっ!あっああ…!まもちゃん!や、やだぁ!だめぇ、だめなの…んんっ」 彼の体に項垂れて、腰を勝手に動かされ続ける。 快感がめぐって頭が真っ白になって…クラクラしてくる。 口からよだれが落ちて、顎を伝って落ちていく。 「だめぇ、だめ…まもちゃぁん…あっああ…ん!や、やだぁ…あぁあ…ん!」 俺の首を食みながら、俺の背中を引き寄せて密着させて、まもちゃんが俺の腰を勝手に動かす。 俺のモノが初めての快感に興奮して、ビクビク震えてイッてしまった… 「まぁもちゃぁん!やだぁ!ん、やだぁあん!」 そう言いながら彼のくれる快感に、翻弄されて喘ぐ。 「ん~!北斗…可愛い!」 極まったまもちゃんがさらに興奮して、俺の体に貪る様なキスを浴びせる。 ダメだ…もうあちこちが気持ち良くて…おかしくなりそう…! 彼の体に抱きつきながら喘いでいると、まもちゃんの息がどんどん荒くなっていって、俺の頬に頬ずりしながら、低く呻くとキスをせがむように顔を摺り寄せる。 頭が真っ白になった俺は、彼の気持ち良さそうな顔を見て、口元がだらしなく緩んで来る。そのまま快感に身を任せて、彼の頬を舌で舐めながら口を探していく。 堪らない… 理性が消えて…快感と目の前の男の事しか頭になくて、ただひたすらに気持ち良くなっていく…堪らなく刹那的で、何よりも密だ。 彼の舌が俺の舌に触れて、互いに求め合うみたいに絡ませて自分の口に引き込んでいく。 お前は俺の物だと言わんばかりの激しい感情をキスに込めて、お互いを貪って食ってるみたいだ。 息も漏らさないくらい密着させて、キスして抱き合う。 そうなんだ…俺とまもちゃんのセックスは、まるでウロボロスなんだ… きっと、どちらも貪欲で…意地汚いんだ。 だから良い。 堪らなく…良いんだ。 「あぁ…北斗、まもちゃんイッちゃうよ…」 そう言って、だらしなく笑いながら俺の顔を見上げて、キスをせがんでくる。 俺は快感に満たされて愛しい彼にキスをする。 俺の中で、彼のモノがドクンと跳ねて、慌ててまもちゃんが俺をベッドに寝転がす。 そのままティッシュを俺のお尻の下に数枚敷いて、まもちゃんが俺を見下ろす。 「もっとしたいの…良い?」 そう言って俺の首に顔を埋めると、腰をゆるゆると動かし始める。 「まもちゃん…まもちゃん…」 俺はもう名前しか呼べないよ… だって、他の事がどうでも良くなって、ただ今この瞬間の事しか考えられないんだ。 彼の背中に手を這わせて、自分に引き寄せる。 そして、また俺達はお互いを貪り食うんだ。 どちらもやめない、共食いみたいだな… 「北斗ちゃ~ん、お尻綺麗にしようね~。」 そう言って俺の手を引っ張って、お風呂場に連れて行くふにゃけたまもちゃんも…、さっきみたいに強引に俺を犯すまもちゃんも…どちらも大好き… 「沢山出てくるぅ…」 そう言ってお尻にティッシュをあてながら、お風呂場まで急ぐ。 体を綺麗に洗って、泡で文字当てごっこをする。 そのまま髪の毛を洗って、頭からシャワーを浴びて溺れかける。 「あはは、でも、この前より長く浴びれてたよ…」 そう言って笑うまもちゃんに抱きついてキスする。 「まもちゃん…大好きなんだよ…知ってる?」 俺がそう言うと、まもちゃんは俺を見下ろして優しく笑って言う。 「知ってる…でも、俺の方がもっと好きだよ。」 ふふ…おっかしいな。 俺は対抗しないで、彼の胸に顔を寄せて彼の肌に頬を付ける。 そのまま一緒にお風呂を出て、体を拭いてもらう。 部屋着を着て、歯を磨いて、ベッドの上に再び戻る。 よれたシーツを戻して、ぐちゃぐちゃになった布団をまもちゃんが大きく振ってる。 俺はベッドの上で横になって、その様子を眺めてる。 ベッドメイクをするみたいに、手際良くまもちゃんが俺の上に布団を掛ける。 上から降ってくる布団が、スローモーションで見える。 わぁ、まるでテントだ! 俺は体を起こして座ると、上から降ってくる布団を頭から浴びた。 まもちゃんがまた布団を大きく上に上げる。 ベッドの中心に座って、落ちてくる布団を見上げる俺を覗き込んで、声を出して笑う。 何回も何回もそうして遊んで、最後に大きく布団を上に上げると、 まもちゃんは俺の隣に滑り込んで入って来た。 「あははは!凄い!まもちゃん!」 そう言いながら飛び込んできた彼を受け止める。 そのままギュッと抱きしめて、一緒にベッドに倒れる。 まもちゃんと俺の上に、ふわりと布団が降って落ちる。 「ギリギリセーフだった。」 まもちゃんがそう言って、俺の胸に顔を擦り付ける。 「そうだね。ギリギリセーフだった。」 俺はそう言って、彼の柔らかい髪を撫でる。 そのまま彼にしがみ付くと、まもちゃんが四つん這いになってベッドの中を移動する。 「到着」 まもちゃんにそう言われたから、俺はしがみ付いていた腕と足を離して、ベッドに落ちる。 まもちゃんはそのまま体を横に転がして、仰向けに寝転がった。 俺は彼の体に、すぐに甘えて抱きつく。 「明日は28日だよ…まもちゃん。」 そう言って彼の左手の甲を撫でる。 まもちゃんは俺の前髪を撫でて、何も言わない。 だから俺は彼に背中を向けて、彼の右腕を引っ張って自分を後ろから抱かせる。 「離さないで。」 そう言って自分の体をきつく抱かせて、彼の胸板に体を沈める様に押し付ける。 「まもちゃん、おやすみ…」 彼が俺の髪にキスして、ハフハフしてる。 俺の体、全体を抱くように大事に抱きしめられて、ウトウトとする瞼をそのまま降ろしていく。 「北斗…愛してる。お休み…俺の愛しい人。」 そんな甘い言葉を耳の奥に響かせて、俺は眠りに落ちた。

ともだちにシェアしよう!