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8月29日(土)_02
彼の車に乗って、バイオリンケースを膝の上に乗せる。
窓を開けて、外を眺めながらぼんやりする。
「疲れた?」
運転席に座るまもちゃんが、俺の膝を撫でて聞いて来る。
「いや…」
俺はそう短く答えて、彼の運転する彼の車に乗る。
腕枕して、顔を落として、あっという間に通り過ぎる景色をぼんやりと眺める。
歩の別荘前では、まだ片付け作業が行われていた…
一体何をどうすれば、網戸の掃除になるんだよ…
俺は心の中で突っ込んで、目の前に見える湖の湖面を眺めた。
「まもちゃん…?」
背中の彼に声を掛ける。
「なぁに?」
返事が返ってきて、なんとなく聞いてみる。
「俺が帰った後も、こうしてここの道を通るの?」
俺はそう言って彼の返事をぼんやりと待ってる。
なかなか返ってこない返事を不思議にも思わないで…
ただ目の前の通り過ぎて行く景色を眺める。
「…北斗、やめなさい。」
厳しい声でそう言って、まもちゃんが強い口調で言う。
「そんな事を考えるな。今は目の前にいる。手を伸ばせば届く。そうだろ?」
その言葉を聞いて、どこかに身を潜めていた感情が、沸々と沸きあがって涙が落ちる。
窓の外の景色を眺めながら、下に敷いた自分の腕がビショビショになる位泣いて、
揺れる肩をそのまま揺らす。
「あ~ぁ。やだな…やだなぁ…」
この彼との日常が無くなるのが…嫌だ…
朝起きて走りに行く彼を見送って、一緒に朝ご飯を食べて、お店の手伝いをする。
後藤さんをいなして、ランチの戦争を一緒に乗りきる。
休憩時間に一緒にゴロゴロして…アルバイトのお姉さんが来る。
お店が終わると、二階の俺の所に…彼が帰って来る。
疲れた顔をして、腑抜けになった彼を愛して愛される。
それが、俺の日常になってしまった…
「北斗…泣くな。おばあちゃんにご挨拶するんだろ?心配される。泣くな。」
そう言う彼の声も、心なしか震えて聞こえる。
明日で最後なんだ…
「あ~あ…やだなぁ…うっ…うう…やだなぁ…」
止める気なんて無い。
涙は勝手に出てくる。
感情も勝手に出てくる。
俺に止められる訳無いんだ。
だってこんなに悲しいのに…止められる訳ない。
「北斗?落ち着いて深呼吸してごらん?」
おばあちゃんの家の前に着いた車の中。
まもちゃんが俺に向かい合って話す。
俺は未だに涙が止まらない…
「でも、しゃべれるよ?」
俺がケロッとそう言うと、まもちゃんが苦笑いして言う。
「泣きながらしゃべられたら困るだろ?」
そうかな…
「とりあえず行ってみる。」
俺はそう言ってバイオリンを手に持つと、車を降りる。
まもちゃんと一緒に玄関までのアプローチを歩く。
俺の顔を覗き込んで、まもちゃんはしきりにティッシュで目元を拭く。
「良いんだ。流しとけば良いんだ。」
俺はそう言って、彼の鬱陶しい手を振り払う。
ドアの前に来て、コンコンと馬の蹄鉄の形をしたドアノッカーを叩く。
まもちゃんは相変わらず俺の涙を拭く。
全く!
ドアが開いて、執事のお爺さんが出てくる。
「こんにちは。突然にすみません。お約束はしていないのですが、僕は明後日、東京に戻ります。その前におばあちゃんにご挨拶がしたくてお伺いしました。」
俺は泣きながらそう言って、執事のお爺さんにギョッとされる。
「ど、どうされました?」
俺の様子に心配そうに執事のお爺さんが言うから、俺は笑って答えた。
「帰りたくなくて、涙が止まらなくなったんです…でも、しゃべれます。」
俺がそう言うと、少し目が笑って、俺に柔らかいハンカチを貸してくれた。
「少々お待ちください。」
そう言われて、まもちゃんと玄関で待つ。
「このハンカチ…柔らかい。まもちゃんのお店のナフキンくらい。」
俺はそう言って、借りたハンカチをまもちゃんに触らせる。
「ふふ…本当だね。」
まもちゃんは優しく笑うと、そのハンカチで俺の涙を拭う。
「お待たせいたしました…どうぞ」
意外とすぐに通してもらえて、俺はまもちゃんに涙を拭われながらおばあちゃんの所へ向かう。
以前も訪れた事のある広い部屋。
猫足の調度品が埋め尽くす、スタンウェイのグランドピアノが鎮座する、美しい部屋。
「北斗君…会いに来てくれて嬉しいわ。」
そう言っておばあちゃんはソファから立ち上がった。
俺は急いで彼女の元に駆け付けて、手を取る。
おばあちゃんは、足が悪いんだ。
「あら、どうしたの…涙がポロポロ落ちているわよ?」
俺の頬を包んで、心配そうな目をしておばあちゃんが尋ねてくる。
だから、俺は彼女を見て笑いかけて言った。
「明後日、東京に戻りたくなくて…涙が止まらなくなっちゃった…でも、しゃべれるよ?」
俺がそう言うと、おばあちゃんの隣に居たさとちゃんが笑った。
「北斗君…本当に面白いんだ!」
「そんな事言わないで!彼はとっても悲しいのよ?ね?北斗君。」
優しい…おばあちゃん、めっちゃ優しい…
「アハハ…何でかな、涙が止まらなくて…参ってるんです。」
俺はそう言ってまもちゃんの所に行って、また涙を拭いてもらう。
そして彼からバイオリンケースを受け取るとおばあちゃんに言う。
「突然訪問して失礼とは存じますが、私から一曲。贈らせて頂けませんでしょうか?」
俺がそう言うと、おばあちゃんは俺の目を見て大きく頷いて答えた。
「もちろん!」
俺はバイオリンのケースを開いて、弓を取り出す。
「酷い目に遭ったんだよね…あの怪我はもう大丈夫なの?」
さとちゃんがそう聞いて来る。
「ええ、男の子ですから…」
俺はそう短く答えて、バイオリンを取り出すと首に挟んでおばあちゃんを見つめた。
そして弓を美しく構えて、コンクールで弾く予定のソナタを弾く。
無伴奏のソナタはバイオリンの音が全てをつかさどるんだ。
頭の中にピアノの伴奏が流れる訳でも無い…。
楽団の中の一節でも無い…。
俺の…この、バイオリンの為だけの…ソナタ。
細かく弓を動かして、バイオリンの音色を美しく響き渡らせる。
それは空気を振動させて、この部屋の中を駆け巡る。
美しく巧妙な旋律にうっとりしながら、曲を味わって届ける。
綺麗だ…
来る前よりも格段に曲を把握して、堪能しながら弾き込んでいける。
不思議だ…何かを得た訳でも無いのに…練習を山ほどした訳でも無いのに…
こんなにも弾き方が変わるんだ…
それは技術だけじゃない、技巧だけじゃない、何かを俺に教えてくれる。
誰かのために思いを込めて弾くことの大切さを教えてくれる。
俺は曲を弾き終えると弓を下ろして、バイオリンを首から離した。
そして、おばあちゃんに向かって丁寧にお辞儀をする。
「数々の御厚意ありがとうございました。」
そう言って一礼すると、にっこりと微笑んでおばあちゃんを見つめる。
「また、会いましょう。」
そう言っておばあちゃんは立ち上がると、俺の方へ歩いて来る。
俺は慌てて迎えに行って、彼女を正面から支える。
目と目を合わせて、彼女は笑う。
「あなたの留守の間、私が責任を持って大切な物を預かります。」
そう言ってまもちゃんを見てにっこりと笑う。
あぁ…
この人は本当に…
「ふふ…よろしくお願い致します。」
俺はそう言って笑うと、おばあちゃんを優しく抱きしめた。
後ろでさとちゃんも手を広げて待っているけど、それは見なかった事にする。
「おばあちゃん、また来るね!」
俺はそう言って、彼女のお屋敷を後にする。
何て勘の鋭い女傑だ…
影響力は弱まったとしても、さっちゃんの血族が居るこの土地に、彼を置いていくのが心配だった…。
何かされやしないか気がかりだった気持ちを…読まれたんだ。
凄い人もいるんだな…
そう思いながら、すっかり涙のおさまった俺は車の窓を開ける。
「まもちゃん、帰りにスーパーに寄ってチーズを買って、チーズハンバーグを作ってよ。」
俺は視線も移さずに、運転席のまもちゃんにそうお願いする。
「ほ~い」
彼はいつもの様に気の抜けた返事をして、俺の足を撫でる。
シチリアの道を下って、軽井沢に戻って来る。
「まもちゃん?何か困った事があったらおばあちゃんに相談するんだよ?」
俺はそう言って、馬鹿なまもちゃんに言い聞かせる。
「ふふ…なんだ、北斗は俺の親みたいだな…」
違う。妻だ。
まもちゃんはそう言って笑うと、頷いて答えた。
「分かった~。ママ~!」
「違う!妻だ!」
俺はそう言って彼の腕をペシペシ叩く。
すぐにふざけるんだ。この大人は!
いつものスーパーについて、俺がカートを押して、まもちゃんがポンポン商品を入れていく。
「明日の朝ご飯は、おにぎりを握って高原で食べよう?」
俺がそう言うと、まもちゃんはにっこり笑って頷いた。
「じゃあ、おにぎりの具を買って行こう。」
俺はそう言って先を進むまもちゃんの後ろを追いかけていく。
「たらこ?こんぶ?シーチキン?梅は…要らな~い。」
俺がそう言うと、まもちゃんは梅干しを手に取ってカゴに入れる。
要らないって言ったのに…
人の話を聞いていないんだ。
夕方のスーパーはほどほどに混雑して、カートを動かすのも気を付けないとぶつかってしまいそうだった。
「ねぇ?明日の夜の演奏…楽しみだね。」
そう言って、隣を歩くまもちゃんの背中を撫でる。
彼は俺が前買ったお菓子をカゴに入れて、適当に相槌して頷く。
こんな日常も…明日で最後なんだ。
寂しいよ、まもちゃん。
すごく、寂しいんだ。
お会計をして、袋に食材を詰める。
向こうから歩と春ちゃんがやって来る。
「お!バカップルがいる。」
春ちゃんがそう言って歩に指を差して教えてる。
俺と目が合うと歩が笑顔で手を振った。
俺は良いよ?言われ慣れてるし。
でも、さすがに年上の男の人に…馬鹿はまずいんじゃないの~?
俺はそう思ってまもちゃんを見上げる。
彼は俺を見下ろして、ウルウルした目をして言う。
「やだ~。あれって…俺達の事だよね?んふふ。」
喜んじゃうんだ?!
まずいよ、それは。
「フン!あっかんべだ。行こう!まもちゃん!」
俺はそう言ってまもちゃんと手を繋いでお店を後にする。
「ほ~んと、やんなっちゃうよね?バカップルなんて…ふふ…カップルなんて…」
喜んでんじゃん!
「まもちゃん?俺達はもう夫婦だから、カップルじゃないんだよ?」
俺は馬鹿なまもちゃんに教えてあげる。
俺がそう言うと、まもちゃんがピタリと立ち止まった。
「まもちゃん?」
俺は立ち止まった彼を見上げる。
「なにしたの?」
そう聞くと、彼は駐車場で突然跪いた。
「どしたの?どこか痛いの?」
慌てて俺が顔を覗き込むと、まもちゃんは買ったばかりのチョコを手に持って、俺に差し出しながら言った。
「北斗…俺と、結婚して下さい!」
今?!
今なの?!
それは夕方の混雑するスーパーの前…
クラクションこそ鳴らされないが…駐車場を行き来する車の渋滞を作って、彼は俺にプロポーズした。
「な、な、ななな…なに言ってるの…」
俺はまもちゃんの体を揺すって立ち上がらせようと試みる。
でも、全然立ち上がらない!
石のように固くなってる!
無駄に体幹が優れている!
「まもちゃん!今じゃないでしょ?!」
俺はそう言って体を動かそうとするけど、彼はドキドキ…と口で言いながらチョコを差し出し続ける。
もう!本当に馬鹿なんだ!
俺は彼の正面に回って、チョコを受け取ると言った。
「…うん。良いよ…」
「やった~!」
まもちゃんはそう叫んで、俺を抱き上げるとクルクルと回った。
両手にぶら下げた買い物袋の遠心力によって、彼の体は横にブレて行き、自分の車にゴツンと卵が当たる音がした。
「あ~あ…」
俺はそう言って、彼の頭をペシッと叩いた。
「割れて無いよ。その為の卵パックだ。」
まもちゃんはそう言って、後部座席に買い物袋を入れる。
あんなに脆いパックで守られると思ってること自体、馬鹿の証明なんだ。
「まもちゃん?プロポーズって言うのはさ、もっと雰囲気の良い所でするもんじゃないの?」
俺はそう言って助手席に座る。
どうせごっこ遊びだ。
だけど、雰囲気は大切にしたいだろ?
スーパーの駐車場なんて、ごっこ遊びにしても杜撰だよ。
「だって…北斗が俺達は夫婦だって言うから…まだちゃんと言ってなかったしぃ~、だから~、エイ!って勢いで~言っちゃったの~。」
軽くさっちゃんの物まねをしてディスりながらまもちゃんが言う。
本当に、最低な大人だ。
「そうなの?良いよ?別に。」
俺はそう言って、窓を開ける。
だって、どうせごっこ遊びだ。
それよりも卵の方が気になる。
絶対、何個か割れてるに決まってる…
家に着いて、お店の冷蔵庫に食材をしまう。
「ほら!やっぱり!」
俺はそう言って卵をまもちゃんに見せる。
「割れてるよ?4つも割れてる!」
まもちゃんは卵パックを開けると割れた卵をお皿に移した。
「卵、大好きだもん!」
そう言いながら、他の食材を冷蔵庫に入れていく。
全く!とんでもない大人だ。
厨房の俺の椅子に座って、まもちゃんがチーズハンバーグを作るのを見てる。
「こうやってコネコネすると美味しくなるよ?」
そう言って俺にひき肉を見せてくる。
朱里ちゃんの家からもらってるお肉。美味しいんだよね。
「まもちゃん?小さいのじゃなくて大きいのを作ってね?」
俺はそう言って、指示を的確に出していく。
「ほ~い」
ひき肉の中にチーズを入れて、フライパンで焼いていく。
既に美味しそうな予感しかしない。
「ん~!楽しみだな~!」
俺はそう言って、まもちゃんの背中に抱きついて足をバタバタする。
「じっくり焼いて行こう~」
まもちゃんはそう言って蓋をしてタイマーをセットする。
その間に野菜を茹で始める。俺はまもちゃんの背中に付いたまま、腕に当たる熱い蒸気を感じてる。
「俺はブロッコリーが小さな木にしか見えないよ?」
俺がそう言うと、まもちゃんが吹き出して笑う。
「確かに…小さな木に見えてくる…じわじわ来る…」
そう言いながらブロッコリーを茹でる。
ザルにあげて、お皿に野菜たちを盛り付けていく。
そして最後に、蒸し焼きにされた俺のチーズハンバーグを乗せる。
「はい、出来た。どうぞ、召し上がれ。」
まもちゃんはそう言って、厨房の一角に置いたランチョンマットの上にお皿を置く。
俺はまもちゃんから離れると、ナイフとフォークを持って、椅子に座る。
「んふふ~!美味しそうだ!」
俺はそう言って、ナイフでハンバーグの真ん中に切り込みを入れる。
中からチーズがトロっと出てきて…
「うは~!」
歓喜の声をあげながら、半分にしたハンバーグを一口で食べた。
「あっ!北斗!」
まもちゃんの眉毛が上がって、怒ってる!
「ああ!やはい!やはい!」
俺はそう言いながら、厨房の中を、口を開けながら、ひょこひょこ歩いて行く。
熱いんだ!熱い上に、チーズがなかなか冷めない!
「北斗は学習しないんだね…毎回毎回…そうやって…はぁ…」
まもちゃんは自分の分の食べ物を作り始める。
あの割れた卵を使うみたいだ。
本当に卵が大好きなんだな…
俺は口の中のハンバーグを冷ましながら食べてる。
これは計算されつくした妙技だ。
お行儀はめちゃくちゃ悪いんだろうね。でも、一口で食べる醍醐味を味わってしまうと、病みつきになるんだよ?
お爺ちゃんのまもちゃんは卵スープを作って、鶏肉をフライパンで焼いてる。
「まもちゃん、見て?食べれたよ?凄いだろ?」
俺は口の中をまもちゃんに見せて威張った。
「…明日やったらダメだよ?」
分かってる。
俺はTPOの分かる男だって…何回も言ってるじゃないか!
やり遂げた俺は、意気揚々と自分の椅子に戻る。
そう、自分の椅子。
厨房に置かれたまもちゃんが休むための椅子。その隣にもう一つ俺の椅子がある。
俺の座る椅子に随分前に、まもちゃんがクッションを付けてくれた。
朝ご飯を食べる時、お尻が痛いから猫柄のクッションを買ってもらったんだ。
俺がいなくなったらこの椅子、どうするのかな…
そんな事を思いながら、椅子に腰かけて、隣に座るまもちゃんの体に寄り掛かる。
俺の分の卵スープもランチョンマットの上に置かれた。
やった!
「北斗の食べ方がおかしいから、チーズハンバーグのチーズが固まって来たじゃないの…!」
まもちゃんがそう言うから、俺は大笑いして教えてあげた。
「まもちゃん?チーズは熱いと溶けて、冷めると固まるんだ。俺のせいじゃない。」
俺がスカしてそう言うと、まもちゃんはジト目をして言った。
「お口が達者だね~?北斗はお口が達者だね~?」
褒められてるの?
俺はまもちゃんの体に寄り掛かって、甘ったれた声で言った。
「お口が上手なんだよ?それで今日、まもちゃんも抜いてあげた!」
ぶふっ!
まもちゃんが大きく吹き出して笑う。
「もういい、食べちゃいなさい!」
まもちゃんはそう言うと、さっさとご飯を食べ始める。
笑ったのに…なんだよ。
俺の旦那さんは気難しいな…やっぱり職人だからだ。
底意地が悪いんだろうな…ふふ。
俺は彼の体にもたれて膝を立てながら、ハンバーグの残りを小さく切り分けて食べて、卵スープを飲んだ。
「ん、美味しい!」
俺がそう言うと、まもちゃんが膝を下に降ろさせる。
俺は気にしないよ?
だって、これは愛情だからね。
ご馳走様して、お皿を洗って、二階に上がる。
「明日は~高原で~朝ご飯だよ~?」
俺がそう言って踊ると、まもちゃんが手を伸ばす。
一緒にくるっと回って、抱き合ってキスをする。
「俺達って…息が合いすぎだと思わない?」
おでこを付けて彼に尋ねる。
「ふふ…そうなんだよ。北斗…」
まもちゃんはそう言って口元を緩ませて笑う。
「俺と北斗は、本当に息が合うんだよ。」
そう言って俺の体を持ち上げて抱きしめて言う。
「運命の人なんだ~!」
まさかそんな言葉を言うとは思わなかったよ。
意外と乙女な心を持っているんだね…まもちゃん。
ウケる。
「でも、絶対シーツは乾いてないと思う。」
俺はそう言って彼を見下ろした。
まもちゃんは俺を抱っこしたまま、ベランダに向かう。
「乾いてたら、北斗は俺ににゃんにゃんしてね?」
にゃんにゃんならいつもしてる。
「いいよ?」
俺はそう言ってベランダに出ると、タタッと走って行って、シーツを触ってみた。
「お!」
驚いた!
こりゃ、乾いてるぞ!
「ん!乾いているようだ!」
俺がそう言うと、まもちゃんがガッツポーズをした。
湖の風のあたりが強いのは、洗濯物にとっては良いみたいだ。
飛ばされさえしなければ、良いみたいだな。
俺の洗濯物もすっかり乾いていた。
「うわ~、良かった。」
俺はそう言って、まもちゃんと洗濯物を取り込んだ。
これで帰りの荷物に洗い物を入れなくて済む。
ベランダのウッドデッキをトコトコと俺が歩いている間、まもちゃんが洗濯物を取り込んでくれる。働き者なんだ。
「はい!にゃんにゃんして?」
洗いたてのシーツをかけたベッドに腰かけて、まもちゃんが俺に言う。
俺はまもちゃんの目の前に行って、可愛くポーズして上目遣いで言った。
「にゃんにゃん!」
「違う!」
は?
信じらんない。塩対応の“違う”の意味が分からない…
まもちゃんは両手を組んで、首を傾げながらブツブツ文句を言ってる。
俺が呆然としていると、まもちゃんが俺を見上げて言った。
「まず、服を着てることが間違ってる。」
ありえない!
「じゃあ、まもちゃんがお手本見せてよ…」
俺はそう言って彼の膝に正面から跨って座ると、首を傾げて聞いた。
「…今は…ほら、北斗が乗ってるから…ちょっと、出来ないな。」
そうやってムスくれた振りをして、彼は言葉を濁した。
なんだよ、それ!
「じゃあ俺が退いたら…にゃんにゃんのお手本見せてくれるの…?」
そう言ってまもちゃんの肩に手を置いて、彼とおでこを付けて、囁くように聞いてみる。
「ふふ…、いや…、どうかなぁ…」
ニヤニヤしながら曖昧な答えを返して、俺の唇を舌で舐めてくる。
まもちゃんはそのまま両手を俺の腰に回して、ぎゅっと抱きしめる。
「にゃんにゃんを分からないまま離れるなんて…できないよ…まもちゃん。」
俺はそう言いながら彼の唇に舌を這わせて、食むようにキスして挑発する。
「はぁっ!北斗ちゃん!」
まもちゃんの負けだ!
「んふふ!」
まもちゃんは俺を抱きかかえるとベッドに押し倒した。
俺のTシャツをまくって体を見る。
「昨日よりも、痣が濃くなった気がするねぇ…。」
そう言いながら指先で俺の胸を撫でる。
「んふふ!」
俺はそれがこしょぐったくて、足をばたつかせて喜ぶ。
「ここの痣も…あれ?お腹がこんなにポヨポヨしてるよ?」
まもちゃんはそう言って俺のお腹に口を付けて呼びかけてる。
「お~い!だれかいますか~?」
馬鹿なんだ…本当に、馬鹿なんだ…!
俺はまもちゃんの頭を抱えて言った。
「さっちゃんに蹴られて内臓が破裂してるんだ。だからブヨブヨしてる…もうすぐ死ぬよ?」
俺はそう言って、お腹を抑えて呻き出した。
「うう…もう、ダメだ…!バタン…」
そう言って倒れて、手の先だけピクピク動かした。
「グフッ!あぁ…俺の大切な人が…!!うわ~ん!うわ~ん!」
まもちゃんって馬鹿なんだ…こうやっていつもふざけて。
本当、面白くて…大好き。
「俺、死んじゃったよ…?」
うつ伏せに寝転がってそう言うと、まもちゃんは隣に寝転がって、俺の髪を撫でた。
そして優しく目を細めて突然語り始める。
「ここは…天国です。天使のマモ~ルは可愛い男の子に出会いました。」
いきなり即興でお話を始めた…!!
「ぷぷっ…」
俺は笑いをこらえて話の続きを聞く。
「なぁんでこんな所に、こんなかわいい子が居るんだぁ?マモ~ルは不思議とその子が大好きになりました。」
苦しい…笑いをこらえるのが辛い…
でも、俺が笑ったらこの話が終わっちゃう…!
俺はまもちゃんの得意げに語る姿を見ながら、必死に笑いをこらえた。
「でも、その子はとっても危険な子で、マモ~ルは何度も死にかけました。」
ふふ…もしかして、この話って…
俺は彼の顔を見つめながら、目を輝かせて、お話の続きを聞く。
「もうやだ!マモ~ルはこの子が怖くなりました。なぜなら、その子はマモ~ルの心の中が全て分かる子だったのです!」
俺は彼の得意げな顔を見つめて、大人しく、お話の続きを聞いてる。
だって、彼のお話はどうやら、俺とまもちゃんのお話みたいなんだ…
気になるじゃないか…
「認めたくない事…気付きたくない事…全て、その子がマモ~ルに見せて来ます。それは時に強引に、時に優しく…」
俺の笑った目の端から、自然と涙が落ちていく。
彼の手を握って、彼を見つめると、彼も俺を見つめて微笑む。
「マモ~ルはとうとう観念しました。その子には嘘は付けないのです。なぜなら、その子もまた特別な存在だからです…」
最後どうなの…それ…笑わせに来てるだろ…?
ちょっと口元が緩むけど、堪えてまもちゃんの即興のお話を聞く。
「マモ~ルはまだまだその子の事が知りたくて、天使を止めて、その子と一緒に人間になる事にしました。でもそれは簡単な道じゃありませんでした。」
まもちゃん…
「人間に戻ると言う事は、マモ~ルにとって、とっても怖い事だからです。今まで逃げて来た事、見ない様にしてきた事を清算しなければいけないからです。でも、その子が一緒に居てくれるなら…マモ~ルは怖くても頑張れました。」
まもちゃん…
「でも、その計画を知ったマモ~ルの天使の友達が、その子を付け狙って虐めました。なんと、その子にあげたマモ~ルの命を狙って壊そうとしたのです。」
俺はまもちゃんの体に抱きついて、彼の胸に顔を埋める。
その後の結末なら知ってる…
「その子は体を張ってマモ~ルの命を守りました。でも、そのせいで…とってもかわいい子に、傷が付いてしまいました…可哀想に。…マモ~ルは責任を取ってその子をお嫁さんにする事にしました。そして二人はいつまでも末永く幸せに暮らしましたとさ。おしまい!」
そう言ってまもちゃんは俺の顔を覗いて来る。
俺は彼の顔を見上げて言った。
「すごく…良いお話だね。」
俺が笑ってそう言うと、まもちゃんはにっこりと笑って、俺にキスをくれた。
天使からのキスだ。
彼はキスをしながら、俺に覆いかぶさって服の下を弄ってきた。
とんでもない天使だ…
でも、それが良いんだ。
「まもちゃん…大好きだよ。」
俺はそう言って彼の柔らかい髪を撫でる。
潤んだ瞳で俺を見下ろして、切ない表情に胸が痛くなる。
彼の眉毛を撫でて、下がった眉を戻そうとする。
「とても…悲しそうに見えるよ…でも、綺麗だ。」
俺はそう言って、彼の唇にキスする。
明日の朝は高原まで行って朝ご飯を食べるんだ…
その前にお店でおにぎりを握るんだ…
でも、その前に激しく愛し合うんだ。
体を起こして、彼の顔を覗き見る。
彼の頬を撫でて、彼の唇にキスする。
可愛い人…
俺の腰を強く抱きしめて、俺の首に顔を埋めて、まもちゃんが泣いた。
「まもちゃんは…夜が嫌いなの…?…俺は、朝が嫌いだ。」
俺はそう言って彼の顔を覗いて見る。
不細工なった俺の天使…
「朝が来ると…嫌でも次の日になってる。…東京に戻る日が近づいてる。だから朝が嫌いだ。」
俺はそう言ってまもちゃんに熱いキスをあげる。
彼の息が出来ないくらいにしつこくて、甘くて、トロけるようなキスをする。
大好きだよ…泣かないで。
そのまま彼のTシャツを剥ぎ取って、押し倒す。
彼の胸板に何度もキスして、彼の体を記憶する。
「まもちゃん…寂しいよ。離れなきゃいけないなんて…寂しいよ…」
そう言って涙を落としながら、俺は彼の体にキスする。
彼の泣き声が聞こえると、すぐ優しくキスしてあげる。
だって、彼は寂しがりなんだ…
俺と同じ、寂しがりなんだ…
そのまま彼のズボンを脱がせて、彼のモノを優しく撫でてあげる。
彼の足に跨って、彼の顔を見て、自分のモノと彼のモノを一緒に扱く。
「はぁはぁ…まもちゃん…」
彼の目を見て、彼を欲しがって、彼によがって喘ぐ。
「北斗…行かないで…置いて行かないで…!」
そう言って泣きながら俺の体にしがみ付いて、まもちゃんは俺を激しく求める様にベッドに沈める。
俺の首に喰らいついて、何度も吸って印をつける。
俺の仰け反った首を舐めて滑る舌に、腰が疼いて緩く動く。
彼の背中に手を這わせて、彼の肉を感じる。
俺のモノを優しく押し付けて撫でながら、俺の青たんにキスする。
口元が緩んで、顎が上がる。
「はぁはぁ…あっ…ああ…」
緩い快感に頭が興奮して、彼を誘う様に喘いで腰を緩く動かす。
彼の腰を掴んで、いやらしく撫で下ろして、彼のモノに手の甲で触れる。
そのまま両手で彼のモノを優しく包んで扱いてあげる。
彼の唇が俺の顎にキスをする。
そのまま舌を這わせて唇まで上がると、俺の唇を食むようにして吐息を漏らしながら熱いキスをする。
頭があっという間に真っ白になって、彼の舌の快感をもっと欲しがる。
もっと…もっと欲しい…
彼の頭を両手で掴んで、むさぼる様にキスをする。
「まもる…まもる…愛してる…」
トロけた瞳で彼の目を見つめて愛を告白する。
「ふふ…」
彼の目が笑って、俺にもっと強く愛をくれる。
頭が痺れる…!
彼の耳たぶを撫でて、訳もなく耳の穴に指を入れる。
両耳を俺の指で塞がれて、困惑した表情の彼に見下ろされていると、無性におかしくなって、声を出して笑い始める。
「んふふ!んははは!!」
「なぁんでこんな事するの?せっかく盛り上がってるのに…!」
まもちゃんに怒られる。
だって、面白かったんだ…
「良くいるだろ?自転車でさ、こっちを見ながらぶつかって来ちゃう人。あの心理に似ている。ダメだと分かってて、意識しすぎるあまりにそうしちゃうんだ。それと同じだ…。」
俺が笑いながら彼にそう言うと、まもちゃんは俺を真顔で見下ろして鼻の穴に指を入れて来た。
「んふふ!!」
俺は吹き出して笑う。
でも、同時に涙も溢れてくる。
だって、こんな変な事するの、彼しかいないから。
「あぁ…何て面白い人なんだろう…大好きだ。護が大好きだ。」
俺はそう言いながら、まもちゃんの顔を撫でて、彼の目を覗く。
そして、彼の目の奥の自分に話しかける。
「北斗…もう1人じゃないね…安心したろ?」
俺がそう言うと、彼の目が揺れて大粒の涙が俺の顔に落ちてくる。
「北斗…愛してるよ…」
そう言って彼の熱いキスを受け取る。
彼の指が俺の中に入ってきて、俺を快感に登らせていく。
この堪らない快感も…しばらくお預けになるんだな…
最悪だ。
俺は彼のくれる快感を忘れない様に、体に丁寧にしみ込ませる。
「まもちゃん…気持ちい…気持ちいよぉ…」
そう言ってめいっぱい甘えて、彼の愛情を独り占めする。
彼の体に頬を摺り寄せて、最高にトロけて行く。
「北斗…可愛いね…」
そう言う彼の目を潤んだ瞳で見つめて、もっと甘える。
「まもちゃぁん…早く…早くちょうだいよぉ…もう我慢できない…」
そう言って彼の指の入った腰をいやらしく動かす。
歪んだ表情の彼にキスをして、もっと欲しがって彼の体を引き寄せる。
よろける彼に口端を緩めて笑いながら、もっともっと欲しがる。
彼の体をベッドに押し倒して、跨って乗る。
彼のモノを扱いて勃たせる。
そのままその上から自分のお尻を落としていく。
堪んない…
ググっとお腹に圧がかかって、苦しい違和感と、いつもの快感の狭間を感じて喘ぐ。
「あぁ…北斗!」
極まったまもちゃんが体を起こして、俺の腰を抱きしめる。
俺は彼に抱かれたまま腰をゆっくり動かして、体を仰け反らせて、喘ぐ。
「んんっ!まもちゃぁん!あっ、あっ…!!」
それは自分で調整のできる便利なポジションだった。
押し寄せる快感さえ耐えられれば、俺は自在に快感をコントロール出来る!
気持ち良くなり過ぎたら、止まれば良いんだ。
でも、俺はそのギリギリを行く…!
トロけた瞳のまま、彼を見下ろしてだらしない口でキスする。
「はぁはぁ…ぁああ…らめだぁ…んん!きもちい…」
腰が震えて堪らない。
体に力が入らなくなって、動けなくなるのをどん欲さでカバーする。
もっと…もっと欲しい!
「まもちゃぁん!!」
そう言って彼が翻弄されてるのを見ながら笑って、自分だけ気持ち良くなっていく。
「あはぁ…!らめぇ…ん、はぁはぁ…あっ、あっ、あぁああ…」
まもちゃんが俺の腰をがっちり掴んで、暴れないようにする。
中で自分のモノがもげるんじゃないかって、心配したのかな…ウケる。
「んふふ…んふふ…らめだぁ、これ…きもちい。まもちゃ…はぁああん!」
俺はそう言って体を仰け反らすと、彼の足に手を突いて、激しく腰を動かす。
だめ、だめ…めっちゃいい!!
「あぁ!北斗!?ちょっとタイム!」
護監督のタイムが入りました。
まもちゃんは暴れる俺を宥めて、優しく言った。
「北斗?ちょっと待ってね。あのね、気持ち良いのは良いんだけど、あんまり激しくすると、まもちゃんのおちんちんが骨折しちゃうかもしれないだろ?」
「んふふ!んふふふ!!」
彼の話を笑いながら聞く。
「おちんちんが骨折って…んふふふ!!あはは!あははは!!」
俺が笑うと、まもちゃんは苦笑いして言う。
「本当に!だから、こういう動きだけしてごらん?」
そう言ってまもちゃんは俺のお尻を持つと、上下に動かした。
「はぁ…ん、きもちい…まもちゃんの…きもちい…」
俺はそう言ってうっとりした目で彼を見つめる。
「暴れるのはナシで。良い?暴れるのはナシだよ?」
ウケる!!
そう言ったまもちゃんは、思った以上に真剣な表情で、本気で自分のモノが骨折すると恐怖を抱いたんだと知って、腹の底から笑いが込み上げてくる。
「んふふ、分かった!」
俺はそう元気よく返事して、彼の唇にキスする。
そのまま膝に体重を乗せて、ゆっくり彼の指示した動きをする。
「はぁはぁ…きもちい…」
彼の頭に顔を乗せて、お尻を上げたり下げたりすると、ズリズリと中が擦れて気持ちいいんだ…彼の怯えきったモノがグングン大きくなる。
まもちゃんも気持ち良くなってきたんだ…
彼の肩に両手を置いて、顔を覗き込みながら聞く。
「はぁ…まもちゃ…きもちぃ?ねぇ…ん、あっ…あぁ…北斗はぁ…きもちぃよ…」
そう言って彼の顔をナデナデしまくる。
だめなんだ…気持ち良くて、理性が飛んでく。
「ふふ…まもちゃんも気持ちいいよ…上手だね。」
まもちゃんは俺を誉めると、俺の乳首を舐め始める。
「んんっ!らめぇ!まもちゃ!らめぇ…!あっあっああん!」
腰が震えて、体が仰け反る!
体を駆け巡る快感に、彼の頭にしがみ付いて、ちょっと早く腰を動かしてしまう。
俺の背中を抱いて、まもちゃんが俺の腰に合わせて腰を突き上げてくる。
「あっあぁっ!まもちゃん!!イッちゃう!イッちゃうよ!」
彼とこんな風に向かい合って…抱き合ってエッチすることが…
こんなに興奮するって…思わなかった。
彼の息が俺の顔にかかって、彼の苦悶の表情がこんなに良く見える。
堪らない!
だらしなく口を開けて、俺の与える快感に彼が苦悶する。
「はぁ…あん、あぁあ…まもちゃぁん!!イッちゃう!あっああ!!」
俺はそう言って体を仰け反らせて、腰を震わせると、彼のお腹に射精してイッた…
そのまま項垂れて、彼の肩に顔を置く。
ぼんやりと息を整えながら、彼の背中に生えた産毛を見る…
隆起した彼の首筋に汗が流れて落ちる。
それを指先ですくって、ペロリと舐める。
膝に体重をかけて、彼の体にピッタリくっつきながら、腰を動かす。
「はぁ…北斗…まもちゃんも、イッちゃうよ…」
俺の腰を掴んで、まもちゃんが眉をひそめて、情けない声を出す。
俺は彼の前髪を顔で掻き分けて、彼のおでこに頬ずりする。
そのまま腰を動かして、彼の大きくなったモノを俺の中で扱く。
「…まもちゃ…きもちぃ…」
顎が上がってよだれが垂れて、背中に汗をかく。
ゆっくり…
もっとゆっくり…ねっとりと、彼を追い詰める様に感じさせたい。
「あぁ…気持ちいい…北斗…!」
まもちゃん…大好きだよ。
俺の中でもっと気持ち良くなってよ…
俺の愛をもっと感じてよ…
俺はゆっくりと腰を落として、ねっとり舐める様に緩くしならせて腰を浮かす。
まもちゃんの首が仰け反って、顔が上がる。
俺はその顔を覗き込みながら、彼の唇にキスをする。
「はぁあ!イッちゃう!」
そう言ってまもちゃんが俺を退かそうとするから、俺は彼にしがみ付いて、中でイカせる。
ドクドクと俺の中で彼のモノが暴れて、熱い液を俺の中に広げる。
すぐにまたシーツが汚れて、俺は彼の顔を見て笑う。
そのまま彼の唇にキスすると、彼は俺をベッドに押し倒して、腰を動かし始める。
そうして…明日も早いのに、俺達は明け方近くまで激しく愛し合った。
「じゃあ…歩の別荘の前で食べればいいじゃん…」
お尻を綺麗にしてもらって、俺はそう言うと、パンツも履かずにそのままベッドに突っ伏して寝る。
疲れたんだ…エッチすることに疲れた…
「北斗…全く…そんな格好で寝ると、まもちゃんがまた元気になっちゃうぞ!」
そう言って俺のお尻を撫でてくるから、本気で怖くなる。
「やだ…眠い!」
俺はそう言って彼を蹴飛ばす。
まもちゃんは大笑いして、俺にパンツを履かせてくれた。
Tシャツを被せて着せて、隣に寝転がると、布団を掛けてくれた。
「しないよぉ…まもちゃんだって、疲れたもん~。」
そう言って俺の頬を撫でて、口の中に指を入れて舌を撫でるこの人が、疲れてるように見えない。
きっと変なスイッチが入ったんだ。
徹夜する時に入る、変なスイッチが入ったんだ…。
もう3時じゃん…
「まもちゃん…明日は早起きしないで。」
俺はそう言ってまもちゃんを抱きしめる。
「じゃあ…何時に起きるの?」
「9時…」
「嫌だよ…北斗と一緒に居たいのに…眠りたくない。」
「じゃあ…寝ないで…」
俺はそう言って、コントロール不能になった重い瞼を落とす。
「愛してる。北斗…愛してるよ…」
まもちゃんがそう言って俺の唇にキスをする。
俺は口元を緩めること位しか出来ないよ…
だって…とっても眠いんだ…
「…すみ…まもちゃ…」
そう言って、俺はあっという間に眠りに落ちた。
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