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第8話

「ミルクの出は、いいようだな。濃いミルクがたくさん出ていた」 咽頭がゴクッと動き、それを全て翔琉が飲み下したことを俺は視覚する。 「……何です、か……そ、れっ。バカっ……翔琉っ」 肩で大きく息せき切りながら、俺は涙目で睨み言葉を返した。 「――ご馳走様」 涼しい顔して告げる翔琉の口の端は、俺のミルクで淫猥に艶めいている。 何度目にしても、この光景はいつも恥ずかしい。 瞳を潤ませていると、翔琉はそっとこちらへ微笑み、あろうことかそのまま俺の唇へチュッと音を立て、素早くキスをした。 ぎゃっ! お、俺のアレと俺が……!! 若者の中で流行っている言葉でいうところの、心中が「ぴえん」な状態となった俺は、しばしその場で独り硬直してしまう。 「ほら、美味だろう?」 上機嫌に問うた翔琉の顔は、決して冗談を言っているように見えない。 だからこそ、俺は余計渋い顔をしてしまう。 「なんて顔、してるんだ」 苦笑した翔琉は、汗で額に張り付いていた俺の前髪を優しく梳いた。 「……だって、俺の、飲んだ後でキス、するんですから……それはやっぱり……」 抵抗、あるじゃないですか。 そう言いかけたところで、再度、翔琉から唇を奪われてしまう。 今度は濃厚な舌を絡めるキスだ。 瞬時に俺は息を呑み、時が止まったような錯覚を覚えた。 それでも翔琉は、俺の残滓が遺る舌を強引に絡ませる。 「いいか。このミルクは今もこれからも、絶対に俺だけのモノだ。他のヤツには、一滴足りとも飲ませやしない」 息する合間に、翔琉の低い声が念を押すように告げた。 そんなこと、言われなくても……そんなことをするのは、翔琉だけ……しかいない、ですって。 言葉にならない悶え声で俺は、そう返す。 「……ゃっ……ァっ、ああ……っ」 同時に、俺の下腹部の熱は密かに息を吹き返すように首を擡げていく。 ふるっと揺れ動く俺のソレに、強固に聳え立つ灼熱の翔琉自身が離すまいとして、再び密着をする。 翔琉の、まだあっつい。 そうだ。 俺だけ先に、気持ち快くなっちゃった……から。 「ぁあっ」 たちまち翔琉が触れた処から全身へ、甘い快感が伝播していく。 「――キスしたこと……考えられないくらい、また熱くなったか?」 唇を舌舐めずりし、翔琉は問う。 「……っ、バカっ」 小声で俺はそう言うと、目を伏せ、翔琉の熱雄に両手を添えた。 「颯斗、何をする?」 途端、翔琉は焦りを見せる。 「今度は翔琉の番、ですから」 驚愕する翔琉に、俺は更に続けた。 「旦那を気持ち快くさせるのは、俺――の努め……でしょう?」 恥ずかしさを堪え、俺は上気した頬のまま、上目遣いで翔琉に言った。 普段であれば、絶対に言わない言葉だ。 全て、発情期のせいにしてしまえば問題ない。 発情期が見せた幻なのだと。 すると、目の前の男は口の端をニヤリと薄ら引き上げ、俺の手を優しく取り去った。 「――だったら、そろそろ子作りするとしようか」 改めて、これ見よがしに立派過ぎるソレを、翔琉は俺の眼前に突きつけるようにひけらかした。 全身へ緊張と共に高揚感が走る。 「たっぷり双子分を、そこへ注いでやる。覚悟するんだ――」 翔琉はそう言うと、ずっと待ち侘び震えていた俺の孔へ、はち切れそうな規格外の熱の先を突き進めたのであった。

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