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第15話
「――というか、恋人が貴方だったら誰も浮気なんてしませんよ」
今にも崩れそうな顔をひた隠し、俺は挑むように言った。
「そうか? でも、どこかの誰かサンは以前、ことある事に、俺とは違う男を選ぼうとしていたじゃないか?」
グレーの瞳を細め、上へ跨ったままの翔琉は俺を咎める。
「それは……」
誰もが羨む超人気俳優相手に、平凡どころか貧乏な大学生の俺では、その横に相応しくない。
過去、本気でそう思っていたことで、心変わりしそうになったこともあった。
否、そう思うことで翔琉を好きになっていく己を、無意識にブレーキ掛けていたのだ。
全て相手から強引に唇を奪われ、それ止まりだったが。
今だったら分かる。
本当は、出逢った時からずっと惹かれていたんだ。
この男に。
最上級の男、龍ヶ崎翔琉に――。
「否定、しないのか?」
眉根を寄せ、翔琉の眉間に深く皺が入る。
「言っておくが、俺は颯斗と出逢ってから、一度も心身共に浮気をしたことはない。そして、これからも――」
俺の手を取ると、今ではただ独りにしか誓いを立てていない、隠れていても分かるとびきり熱いその中心へと導く。
決して、俺の熱とは比べ物にならない。
最上級の存在感を放ち、果実なんて可愛いことを言ってられない獰猛過ぎるソレ。
いつも俺にだけ、俺を啼かせる為だけに、熱が灯り、俺の全てを滅茶苦茶にしていく。
「俺も――」
切羽詰まったように、切なそうな目をして翔琉は口を開いた。
ドクンと、俺の胸はそれだけで甘酸っぱく高鳴る。
「俺も、颯斗とシてないから、ココ――もう、痛いくらいに熱くなっている」
すり、と果てたばかりの俺へ布越しに擦り付けてくる。
「バ、バカっ! 高そうな服が汚れるだろ!」
密着する大きな身体を、慌てて俺は両手で剥がそうとした。
百八十オーバーの男と、それより十センチ近くも小さい俺。体格の差があるせいでそれは叶わず、ムスクの香りが濃く薫るほど翔琉の爆発しそうな熱情をソコで感じていた。
「ふっ……ァあ」
インディゴのデニム生地で、しかも熱く膨らむソコに擦られ、もどかしい。
先程果てたばかりだというのに、もう俺自身も熱くなってくるのは、きっと翔琉のことが好き過ぎるせいだからだ。
「颯斗もまた、熱くなってきた」
嬉々として囁く翔琉に、「もう!」と頬を膨らませ反論しようとしたが、事実だからそれ以上の抵抗を止める。
「……仕方、ないじゃないですか……だって、ずっとご無沙汰……だったですし……」
恥ずかしそうに言うと、そっと張り詰めた翔琉の前を開放させようと合せに手を掛けた。
「颯斗――」
腰にくる、セクシーで甘美な声が俺の名を呼ぶ。
すっかり俺は、再びその気になってしまう。
「あの、今度は――その、挿入(い)れて……くれませんか?」
目を伏せながら恐る恐る俺は尋ねると、翔琉の瞳は一瞬にして眼光を鋭くさせた。
「ああ、もう!」
舌打ちすると、翔琉は自らそのデニムを脱ぐ。
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