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第29話

「こら、先に独りでイくんじゃない」 苦笑した翔琉は、どくりとより一層存在感を増すと、時間差で俺の口腔内で吐精した。 長く痙攣するソレは、いつになく濃く、飲み下すことができないほど、多く流れ出ている。 けほっと噎せた俺を見兼ねて、翔琉はまだ力を保ったままの自身をずりゅっと抜く。 「ァあ……」 唐突に、異物を狭い内から引き摺り出された俺は、たまらず嬌声を上げた。 眼前には、白濁で妖しく煌めいた翔琉の熱が披露される。 なんて、光景だ。 ドキドキと激しく震える鼓動を感じながら、俺は思った。 「一生にイきたかったのだが……」 俺の口の端から溢れ落ちる、自身の残滓を拭いながら翔琉は残念そうな顔をする。 「颯斗、立って」 諭すように翔琉は言うと、俺の手を取り、立ち上がりを促した。 「そして、ここへ手をついてくれ」 指示通り、玄関のドアへ両手を拡げた俺は、若干の不安を感じる。 「な、何ですか?」 背後を怯えながら、ちらりと窺う俺の下衣を、翔琉は躊躇うことなく下ろしていく。 「挿入()れないから、今度は一緒にイこう」 翔琉はそう言うと、俺の大腿をギュッと閉じさせると、完全に勢いを取り戻した自身をそこへ潜り込ませたのであった。 あ……。 コレ、もしかしなくても……素、ま……た? 背後から突かれると、実際にしているような感覚になってしまう。 「はっ、あっ……っ! ……ぅァあ……!」 擦れ合う肉の感触、音に、俺の熱雄は瞬く間に腹へつくほど熱を帯びる。 「ママになった颯斗、超エロい」 耳元で翔琉は囁くと、上着の裾から胸の膨らみを探し始めた。 「颯斗のココ、ふっくらしているのはΩの妊娠ホルモンの影響だったんだな」 胸の突起への刺激は子宮収縮へ繋がる為、あまり触れてはいけない。 医師よりそう注意を受けていた翔琉は、その先端には触れず、執拗にその周囲の膨らみだけを優しく揉む。 「あっ! ……ああ! ァっ!」 快感から、俺の膝はガクガクと大きく震える。 あ、もう……ダメ! ダメ!! 自力で立っているのは、もう不可能だった。 激しい抽挿を繰り返していた翔琉は、目の前で崩れ行く俺の腰を、瞬時に両手で受け止める。 「もう、ダメそうか?」 それでも止まらぬ翔琉の抽挿に、俺はこくんと小さく頷く。 「では、今度こそ一緒に――」 翔琉はそう言うと、より強く俺の大腿へ擦り付け、とりわけ低く唸ると俺と同じタイミングで、今度は達したのである。 「安定期に入ったら、もっとたくさん仲良くしよう。お腹の中の子どもたちが妬けるくらいに――今から、楽しみだな」 大きな腕の中へ寄り掛かるように抱き締められていた俺は、頬を赤く染め「はい」と嬉しそうに答えたのであった。

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