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第42話
「そう言えば頂いてきた腹帯、独りで巻くのは大変だろう? 俺が手伝おう」
不敵な笑みを浮かべたまま、翔琉は俺の上着の一番上のボタンに手をかける。
顔を真っ赤にしていた俺は、返事の代わりにこくんと小さく頷く。
腹帯の入った紙袋はここにはない。
実際にはそのつもりでないことくらい、もちろん俺は承知の上で、だ。
「では、遠慮なく」
元は自身のものである、俺にとってはゆったりとしたサイズの、白いリネンシャツのボタンを上から手際良く外し、脱がせていく。
お腹を冷やさない為に、インナーとして着ていた黒いTシャツが露わとなる。
こちらも翔琉のもので、本来であればその体格差からゆったりとして見えるはずだが、その腹部だけは少し前を窮屈そうにさせていた。
じっとそこへ翔琉の視線が注がれる。
「男の身体でこれって、何か、不格好ですよね」
いたたまれなくなった俺は、自嘲した。
すると翔琉は、Tシャツの裾をその膨らみの始まりまで、ゆっくりとたくし上げる。
「そんなことはない。美しい」
一言告げると、まだ実際にはそこまでの弧を描いていない生命の膨らみに、翔琉は接吻をした。
美しいって。
俺の、この身体が美しい?
そんな。
そんなこと、あるのか?
途端、翔琉に触れられているところが熱を帯びる。
熱くて、あつくて。
酷く、熱くて。
その内、触れられている処よりもっと下にも、力強い熱を感じ始める。
「こちらより、もっと窮屈そうな膨らみがそこに見えるな」
上の弧から唇を離した翔琉は、その下で不自然に飛び出た俺の熱の膨らみに、布越しからキスをした。
「あれ? 颯斗のココ、もう合わせが降りているのか。これだと、濡れ濡れなのが一目で分かるな」
厭らしく、翔琉は口元を綻ばせる。その瞳はもう、ギラギラと情熱的に光り、この先に何が起きるのであろうか。
予期させるには決して申し分のない、非常に獰猛なものであった。
「下は今日、自前のズボン……なんです。だから、お腹まわりが少しキツくて……で、シャツに隠れるから前を開けていてもいいかと思って」
布越しに、俺はぺろぺろとそこを舐められる。
直接的ではない擦れたもどかしい刺激が、却って俺の官能をくすぐった。
「はっ……あっ! っ! っァ!!」
布の上からでも分かる血管が浮き出たそこを、翔琉の舌が下から上へと這う。
微かにせり出た俺の腹部が、くん、と快感の仕業で腰ごと前へ突き出るように揺れ動いた。
俺の濡れた先端が、翔琉の頬を叩くように布越しからキスをする。
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