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第44話
どくどくと、俺の鼓動が早鐘を打つ音が耳へ届く。
向かい合ったグレーの瞳が、俺を射抜くように鋭く見つめる。
「颯斗が安定期に入るまで、十分、俺は我慢したつもりなんだが」
足の間に屹立したそそり立つソレを、見せびらかすように翔琉は胡座をかく。
ああ……。
翔琉のアレが。
アレがあんなにも、もう。
ゴクリと喉を上下させ、俺はその昂りを見守っていた。
「そろそろ、双子たちもこちらの声が聞こえる頃だろう? だから、俺たち夫夫がとびきり仲良しであることを、今から教えてあげないと」
ベッドサイドに置かれた小さなチェストへ手を伸ばし、翔琉は一番上の引き出しから何かを取り出す。
「妊娠中は、コレを必ず使えってネットに書いてあったから」
手に持っていたものを、翔琉は俺の手へ握らせる。
「――え?」
渡されたものを確認すると、それは久しぶりに見たご無体なサイズのセーフティーグッズだった。
「俺のに、ソレ――つけてくれないか?」
妖艶に微笑む翔琉に、ゴムのパッケージを持つ俺の手は高まるドキドキから自然と震えてくる。
何で俺、こんなにも緊張しているんだ?
もう何度も、翔琉の熱なんて見て来たはずだというのに。
久しぶり、だから?
否、俺自身もずっと……翔琉と愛し合うことを全身で待ち望んでいたから?
だから――。
「あ……」
パッケージを破ろうとするも、緊張から指先はじっとりと汗ばみ、上手に封が切れない。
無言で翔琉は、その様子をじっと眺めている。
「貸してみろ」
再度、自身の手に戻すと器用にそれを開け、俺へ返した。
お腹に気をつけながら、俺は前傾姿勢で翔琉の切っ先に嵌めていく。
俺の手が下へ降りて行く度に、翔琉の熱雄はびくんびくんと激しく揺れた。
それでも、努めて冷静であろうとしているのがこちらにも伝わってくる。
だが、時々乱れた荒い呼吸から、翔琉の興奮がかなり限界へ達しているのでは、と俺は察した。
根元まで嵌めたところで、翔琉は俺の脇を抱えると、自身の大腿の上へ乗せ、こちらの重心を少し後ろへ反らした対面座位の形を取る。
もちろん、腰はしっかりと翔琉の両手に支えられて安定していた。
「お腹に負担がかからない体位は、これが良いらしい」
ネットからの受け売りだが、と話す翔琉は、妊夫の俺の為に色々と調べてくれているようだ。
「颯斗の下の口も、もうだいぶ濡れてるんじゃないか?」
後孔にぐぷっと翔琉の中指と薬指が侵入する。
「はァあっ!」
懐かしい翔琉の指の感触に、俺は緩やかな自身の腹部の傾斜を前へ突き出す。
「扇情的な眺めだ」
厭らしい目で腹部からその下へ屹立する俺の熱雄、それから更にその奥で潤んだ秘処を舐めるように眺めると、翔琉は自身の指を勢い良く引き抜く。
「準備、万端だな」
たっぷり濡れたその指を眼前へ突きつけると、翔琉は天を仰ぐ自身の熱雄の上に、腰を沈めるよう俺をリードした。
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