60 / 82

第60話

無言で俺は自身を抱き締める大きな手を、酷く疼く下腹部へと導いた。 「――颯斗も、もう苦しそうだな」 嬉しそうに翔琉は言うと、スーツのスラックスの合わせを慎重に下ろしていく。 すでに酷く湿めったその中を、翔琉の筋張った指が隠された熱雄を布の上から辿る。 「……っぅア」 布との摩擦が快感となり、不意打ちで善がる声が上がってしまう。 呼応するように翔琉の熱雄も俺の臀部の間で、ぐんと嵩を増す。 「はァっ」 大声が出そうだった俺の口を、翔琉が咄嗟に手で塞ぐ。 「声を出してはダメだ。子どもたちが起きてしまう」 「で、でも……」 「だったらその口が暴走しないよう、俺が塞ごう」 翔琉はそう言うと、ぐるりと俺の身体を反転させ、キスで唇を塞いだ。 そんな……。 そんな、キスじゃ俺……気持ち好くなって……。 翔琉の舌が俺の唇の間を割り入る。 「アっ……」 静かにするなど、翔琉の強引なキスの前では到底無理だった。 発情期のように全身が熱くなり、下腹部が何もせずとも酷く潤むのが分かる。 「もしかして発情期、来たのか?」 キスの合間に、翔琉は微かな声で尋ねた。 「わかんなっ……」 こうしている間にも自身の熱雄に触れて欲しくて、今度こそ布の中へ翔琉の手を持っていく。 否、触れて欲しいだけでなく、翔琉自身も最奥で感じたかった。 「発情期が来たとしたら、俺の子を――また、孕んで欲しいんだが」 俺の先端から溢れ出す涙蜜を掬うと、二人が繋がれる場所へそれを塗り込む。 とは言っても、既に俺の後孔はぐずぐずに蕩けており、意味をなさなかったのだが。 「今度は女の子が欲しい」 もどかしかく俺の下腹部へまとわりついていた布全てを、翔琉は取り払う。 いつの間にか露わとなっていた熱雄を俺の窄まりへ充てがうと、ぬぷんとストレスなく一気に根元まで納めた。 「はァっ、あっ……やっ、子どもたちの前でっ……ァ……それに、これから就職するからまだ子どもはっ……」 甘い嬌声がとめどなく洩れてしまいそうな俺は、必死で抵抗する。 「では、リビングへ行こうか」 翔琉はそう言うと、向き合うように俺の身体を自身の方へ回転させた。 「そのまま、落ちないようにしがみついていろ」 「え?!」 ずんとより奥を一突きすると、翔琉は繋がったまま俺を抱きかかえ、リビングまで移動する。 歩く振動で、より熱くなった大きな翔琉を奥で感じてしまう。 「あっ、あっ、ァあっ」 ベッドルームから離れたことで、俺は快感を素直に声として出す。 幸い、ベッドルームには子どもたちの為の見守りカメラがついている。 モニターがリビングにあり、今のところぐっすり眠っているようだ。 安堵した俺は、リビングのソファの上で翔琉に跨り、際限なく愛を貪り合ったのである。

ともだちにシェアしよう!